◆プロボクシング▽ウエルター級(66・6キロ以下)8回戦 矢野翔斗(KO 1回2分48秒)アッチャリヤ・ウィロボナスノボン(23日、大阪・堺市産業振興センター)

 日本ウエルター級8位・矢野翔斗(しょうま、26)=ハラダ=が約1年ぶりの再起戦で、元東洋太平洋スーパーライト級1位・アッチャリヤ・ウィロボナスノボン(35)=タイ=に1回KO勝ちした。陣営は来年の日本王座初挑戦初奪取を見据える。

プロ通算成績は矢野が9勝(7KO)2敗、アッチャリヤが16勝(8KO)7敗。

 矢野が圧勝劇で再起した。1年ぶりのリングで、初回から果敢にプレス。右のパンチでアッチャリヤをグラつかせて優位に立つと、ラウンド終盤には「ずっと練習してきた」という左ボディーブローがさく裂した。タイ人ボクサーは崩れ落ち、そのままテンカウント。勝者は「最後の左で倒れた時は驚いた。その前の右に手応えがあってKOできると思った」と復帰戦を飾って笑顔を見せた。

 WBOアジアパシフィック同級3位にいた昨年8月、地元大阪で浦嶋将之(角海老宝石)に判定負け。「完敗。引退も考えた」と明かす。だが、「まだ誰にも恩返しをしていない」と応援してくれた人たちの顔が浮かんだ。元プロボクサーの父・一馬トレーナー(51)のもと、年明けから再始動。

防御面では頭の位置を常に動かして的を絞らせないこと、攻撃面では力み過ぎず脱力することを心がけた。5月に予定された再起戦は相手の棄権により中止。この日のリングで練習の成果を出し、一馬トレーナーも「練習でやってきたことが出せて良かった」と安どした。

 陣営のハラダジム・原田剛志会長は「来年、日本王座を狙わせたい」と期待。メインイベンターとしてジムの看板を背負う矢野も「負けない選手になりたい。自分よりランキングが上の選手に勝って、来年にはベルトを巻きたい」と意気込んだ。過去の敗戦も糧に、矢野がタイトル初挑戦初奪取へ突き進む

 ◆矢野 翔斗(やの・しょうま)1999年3月12日、大阪・八尾市生まれ。曙川小1年時より地元道場で空手を始める。5年時に地元ジムでボクシング転向。大阪学芸高時代はMRジムで練習し、大阪府大会優勝。アマ通算6勝5敗。大商大は1年で中退し21年7月、プロデビュー。

22年、西日本ウエルター級新人王。身長177センチ。右構え。

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