日本サッカー協会は28日、国際親善試合メキシコ戦(6日、米・オークランド)、米国戦(9日、米・コロンバス)に向けた日本代表メンバー25人を発表した。23年10月以来、約2年ぶりとなるアジア勢以外との対外試合は26年北中米W杯開催国(米国、カナダ、メキシコで共催)との2連戦となるが、主力級8人が不在となる厳しい陣容に。
世界一を見据えた腕試しの場として、極めて重要な2試合を迎える。来年6月開幕のW杯への本格始動となる米国遠征。FIFAランク17位の日本が13位メキシコ、15位米国に挑むのだから、相手に不足はない。森保一監督(57)は「素晴らしい対戦相手。本番を想定したこともたくさんできる」と見据えた。
指揮官は25人の招集メンバーについて「一言で言えば、今回のベスト」と表現した。「ベスト」ではなく「今回のベスト」。長期離脱中の冨安、伊藤に加え、町田、高井のDF陣、守田、田中、鎌田の中盤勢を欠く。移籍問題で選外の中村も含め、W杯メンバー入りが濃厚な主力級8人がいない。
6人が招集されたCBの陣容は極めて厳しい。
守備を長所とする遠藤の相方にふわさしい、得点直結の動きを持ち味とする攻撃型ボランチはゼロ。久保、上田らが好調を維持しているとはいえ、守田、田中、鎌田の不在はあまりに痛い。
環境面でも試練が多い。西海岸のオークランドでメキシコと戦い、試合翌日にチャーター便で約4時間、直線距離3374キロの大移動。時差3時間のコロンバスで中2日で米国戦に挑む。「W杯でも時差や気候の違いにアジャストしながら、最高のコンディションをつくらないといけない」と指揮官。米国戦は大アウェーが確実視され、熱狂的で知られるメキシコの大応援団も隣国に殺到するだろう。
負けたとしても、言い訳はいくらでもできる。「守田がいれば」「W杯で中2日はない」―。しかし、本当に世界一を目指すならば“三重苦”であれ、必ず勝たなければならない相手だ。
メキシコも米国も「強豪国」ではなく「中堅国」にランク付けされる。W杯優勝候補の1つ下、第2グループに該当する。4年前までのように「世界8強」が目標だったのならともかく、「世界一」を目指すならば、親善試合だとしても勝利が求められる相手と言える。
森保監督は「選手層を広げ、チーム作りの土台を広げながら最強・最高のチームをW杯本大会で作れるように、これまで活動してきた」と胸を張り「親善試合でも一戦必勝」と語気を強めた。来年6月に世界を驚かせるための“予行演習”として「2戦2勝」を目指し、実現しなければならない2連戦だ。(岡島 智哉)
◆森保監督に聞く
―約2年ぶりにアジア勢以外と対戦。
「最終予選では組織的に守備をして、そこからカウンター狙いというところが(相手の狙いに)あったが、メキシコも米国も、おそらくプレッシャーをかけてくると思う。強度が変わってくると思っています」
―中2日での連戦。選手起用は。
「(2試合で)メンバーは大幅に代えていきたいなとは思っています。経験値を上げなければいけない選手もいるし、戦術的にも浸透度を高め、選択肢を広げたい。勝利と選手層、戦術の幅を広げる両方を考えてチャレンジしたい」
―大谷翔平(ドジャース)が活躍する米国での2試合。
「大谷さんは日本国民に夢と希望を与えてくれる素晴らしい選手です。『大谷さんに負けないように』とは全く思っていません。同じスポーツというカテゴリーで社会貢献していく仲間だと思っています」
◆米国代表 FIFAランク15位。英プレミアのトットナムやチェルシー、フランス1部パリSGなどを指揮したアルゼンチン人のポチェッティーノ監督(53)が率いる。25年のゴールド杯準優勝。プレミアリーグのクリスタルパレスDFクリス・リチャーズや、ボーンマスMFタイラー・アダムス、イタリア1部ACミランのFWプリシッチらが主力。24年9月に就任した同監督の下で多くの選手をテストし、組織的な守備から速い攻撃につなげるスタイルの確立を目指している。
◆メキシコ代表 FIFAランク13位。21年東京五輪の3位決定戦で日本を破ったハイメ・ロサーノ監督(46)が指揮。北中米カリブ海サッカー連盟の王者を決める25年7月のゴールド杯で通算10度目の優勝。主力は同大会で最優秀選手に輝いたトルコ1部フェネルバフチェのMFエドソン・アルバレス、昨季までオランダ1部フェイエノールトでFW上田とチームメートだったACミランのFWサンティアゴ・ヒメネスら。高い技術を武器に、オールコートのプレッシングで主導権を握る攻撃的なスタイル。
◆北中米W杯 過去最多の48チームが参加。米国、カナダ、メキシコの3か国、16都市で行われる。会場の内訳は米国が11都市、カナダが2、メキシコが3。時差を伴う長距離移動や気候の変化が生じる場合がある。1次リーグ(L)では12グループを原則3地域(西部、中央、東部)に分け、地域間の移動はなし。1次Lでカナダと同じB組になると、時差が3時間あるカナダ・トロントから米ロサンゼルスまで約5時間のフライト、約4000キロの移動が必要になる場合がある。本大会の抽選は、12月5日(日本時間6日)に首都ワシントンの文化施設ケネディ・センターで行われる。