フジテレビの第三者委員会が認定した元タレント中居正広氏の「性暴力」を巡る一連の問題で、同局は28日、港浩一前社長(73)と大多亮元専務(66)に計50億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したと発表した。

 フジ・メディア・ホールディングスの公式サイトによると、中居氏の事案は2023年6月に発生。

港氏と大多氏は報告を受けていたが、専門的な助言を受けて原因を分析したり、対策チームを設置したりする善管注意義務を怠ったとしている。

 昨年12月の週刊誌報道を機に問題が明らかになり、スポンサーが一斉に離反する事態に。同サイトによると、今年6月末までに453億3503万6707円の損害を被ったとしている。その一部として請求は50億円に。2人の退職金をはるかに超えるとみられるが、同サイトでは「今後損害額が拡大した場合やその他の状況に応じて、請求金額を増額する可能性があります」と予告した。

 提訴の理由については「人権とコンプライアンスを最重要とする企業風土を確かなものにするためには、(2人の)責任を追及することが不可欠であると判断した」としている。

 第三者委の調査報告書によると、フジのアナウンサーだった女性は中居氏から「『業務の延長線上』における性暴力」を受けた。女性は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したが、港氏や大多氏は「男女間のトラブル」と即断した。

 同局の清水社長は6月、両氏の判断を、コンプライアンス推進室などへの情報共有を怠ったと説明。2人を提訴する意向を示していた。

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