吉永小百合が主演する新作映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」(10月31日公開、阪本順治監督)が、スペインで開催中の「第73回サン・セバスティアン国際映画祭」のオフィシャルセレクションで現地時間20日に公式上映された。この上映が日本(24日)よりも早いワールドプレミアとなった。
「てっぺん―」は、吉永の124本目の映画出演作。女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功した登山家・田部井淳子さんの激動の半生が描かれる。共演は佐藤浩市、天海祐希、のん他。映画祭には阪本監督、主人公の息子を演じた若葉竜也、田部井さんの息子の田部井進也氏が現地入りしていた。
上映会場に到着すると200人の観客に囲まれる人気ぶり。2000年公開の映画「顔」(藤山直美主演)以来、四半世紀ぶりに同映画祭参加で、吉永と13年ぶりにタッグを組んだ阪本監督は「この作品は山の映画であり、登山の映画でもあるが、それ以上に家族の映画です。主人公は後年、いろんな困難と闘いながら、それを乗り越え、たくましく生きた。その姿が皆さんの心を打てば…。今夜この映画を選んでいただきありがとうございます」と話した。
若葉は「Kaixo. I Ryuya Wakaba.(こんにちは、若葉竜也です)」と現地のバスク語を一言使って、驚かせた。そして「日本で丹精込めて丁寧に作った映画をこうやって世界の皆さんに見ていただくことに強い思いがある。そして、偉大なる田部井淳子さんに感謝しています」。
進也さんは「03年、母がビルバオに来てハイキングしたっていう記録が残っていまして。その地域に来れたことをとても嬉しく思います」と縁ある地だったことを明かし、「母のことをこうやって世界の方に見ていただけること、作品を作ってくれた監督、演じてくれた竜也くん、本当にありがとうございます」とあいさつした。上映が終わり、場内が明るくなると、3人には温かい拍手が送られた。