ホームの鹿島はC大阪を3―1で下し、3連勝で首位をキープした。先制されたが、FW鈴木優磨(29)を切り札として投入した後半に勝ち越し。

今季最長の8戦負けなしで勝ち点を61に伸ばした。2016年以来、9季ぶりのリーグ優勝で通算21冠目を狙う名門が勢いづいてきた。神戸は東京Vに4―0で大勝し、2位に浮上。京都は町田と1―1で引き分け、勝ち点56の3位。

 後半から出場した鈴木、チャブリッチ、松村ですらも、バタバタとピッチに倒れ込んだ。鹿島は試合終了の笛が鳴るまで、気を抜くことなく戦った。鬼木達監督(51)は「気持ちのこもったゲーム。最後の最後まで走りきってくれた」と誇った。

 0―1の前半31分、先制点献上のPKを与えた知念が汚名返上の同点弾。連戦のため先発を外れた鈴木を投入した後半には、8分にレオセアラが勝ち越し点を挙げ、23分には投入1分後のチャブリッチと松村でダメ押し点を奪う“鬼木マジック”も発動した。

 敵地で苦しみながらも浦和を破り、首位に立った前節のインタビューで、鈴木は厳しい言葉を並べた。「こんな情けない試合じゃ優勝は無理」「もっと主導権を握らないと厳しい」

 最終節で首位を明け渡した17年シーズンの歴史的V逸を知る副主将の言葉は重い。

しかし、この発信を契機にチームが引き締まったわけではない。17戦ぶりの先発で勝利に貢献した21歳の津久井は「あれはみんなが思っていること」とサラリと言った。1ステージ制の直近10シーズンで、残り7節の段階で首位だったチームがそのまま優勝したのは4例のみ。まだ“V率”は40%にすぎない。

 鈴木は「他会場は関係ない。自分たちが勝ち続けて、勝手に相手がプレッシャーを感じてくれればいい。みんな目の前の試合に集中している」。追われる立場の鹿島に、慢心も驕(おご)りも、油断もない。(岡島 智哉)

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