WEリーグの三菱重工浦和は24日、RB大宮戦(28日・浦和駒場)に向け、さいたま市内で練習を再開した。最終ラインを統率するなでしこジャパンDF高橋はなは、同じさいたま市を本拠とするライバルとの対戦に気合十分。

来場者全員に赤い「カポーテ」(闘牛で使うケープ)を配布する企画もあり、一丸で“SAITAMA is RED”を改めて印象づける。

 初秋の虫の音をかき消すように、高橋の声がグラウンドに響く。オフ明けからみっちり2時間。締めくくりには熱のこもったミニゲームが待っていた。主将は鋭いボール奪取、前線へのロングフィードと攻守に奮闘。「今季も一戦必勝で戦っていますけど、『さいたまダービー』は住んでいる方々なら意味合いが分かると思う。小さい頃から(男子の)トップチームの戦いを見てきたので、浦和のエンブレムを背負う以上、負けてはいけない」と力を込めた。

 勝利を後押しするのは、「世界一」と形容するスタンドからの声援だ。男子は20日の鹿島戦で埼玉スタジアムに5万人超を集めて話題になった。高橋も、真っ赤に染まった満員のスタジアムでプレーすることを夢見る。「素直にうらやましいなと思いますし、そういう舞台で自分もプレーできるようになりたい。男子だけでなく、レディースも注目されるように、まずは結果を残さなければ」――プロなら見られてなんぼ。

サポーターを呼び込むのは、勝ち点3しかない。

 営業も大台突破へ努力を重ねる。大宮戦では、先着5000人(ビジター指定席・同自由席除く)に「三菱重工プレゼンツ 来場者プレゼント」としてカポーテを配布する。90年代に男子チームで実施した企画がヒントとなったが、ネット上では「大宮のマスコット“牛”を意識したのでは?」といった臆測も飛んだ。クラブ関係者は「無関係で偶然です」と否定する。硬派な浦和だけに、軟派な企画はなさそう。スタジアムを赤に染めるだけでなく、冷え込みにはストール代わりにも使えそうだ。

 今季はリーグ7試合で3失点と守備はリーグ最少失点を誇る。だが順位はINAC神戸、日テレ東京Vに続く3位。差を広げられないためにも、営業努力に応えるためにも、勝利が必須だ。下部組織育ちの背番号7は「ダービーはサポーターもより気合が入る。まずは自分たち選手が強い気持ちで臨みたい」と決意。

そしてサポーターには「いつもでもたくさんの方々が応援に駆けつけてくださって、レッズレディースのサポーターは世界一です。さいたまダービーもともに戦ってください。一緒に勝ちましょう! よろしくお願いします」と呼びかけた。赤いシャツをまとった闘牛士たちが、カポーテが揺れる聖地・駒場を作り出す。

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