◇フランス2部 Sランス4―1クレルモン

 フランス2部SランスのFW中村敬斗が、23日のクレルモン戦で今季リーグ戦初先発し、今季初ゴール、さらに2試合連続アシストをマークした。これで中村は初出場した20日のサンテティエンヌ戦との2試合で、1得点2アシストと早速2部の舞台で違いを見せつけた。

 移籍問題での出遅れを、払拭(ふっしょく)するような活躍が始まった。前半3分、中村が左サイドから裏のスペースにパスを送ると、これに抜け出した見方FWを相手DFが倒して退場に。1人多い状況となると、前半14分に左サイドでパスを受け、フリーで完璧なクロスを中央に合わせて先制点をアシストした。さらに前半45分、右サイドからのグラウンダーのクロスにタイミングよくゴール前に侵入すると、右足で合わせてネットを揺らした。後半にも決定的なクロスやシュートも披露し、積極的にプレーした中村。後半39分に交代し、チームの快勝に貢献した。

 今夏、W杯出場のために2部を戦うSランスから移籍を志願し、クラブとの関係が硬直化した。その理由は、ただ中村が個人のわがままを通そうとしたわけではなかった。昨季、負傷を負いながら痛み止めの注射も処置し、残留がかかったシーズン終盤を戦い抜いた。そこにはクラブからの強い要望があったが、一方でクラブとは降格した際にも移籍を認める、といった口約束が交わされていた。しかし2部に降格すると、クラブは移籍を認めず。中村はクラブへの信頼を失って心身の状態を崩し、練習にも参加できない状態に陥った。

 その間、中村には欧州の様々なクラブからオファーが届いたが、Sランスは交渉に応じず。移籍市場が閉まる直前には、スペイン1部ビジャレアルから移籍金30億円級の大型オファーを届いたが、移籍は成立せず。そして移籍市場が閉幕。心身の状態が落ち着いたタイミングでチームも戻り、ピッチで結果を残すことにフォーカスすると決断した。

 9月に日本代表が行った米国遠征には、招集外となった中村。しかし日本代表の森保一監督は「敬斗についても、2部にいたとしても国際舞台で発揮できるパフォーマンスを自チームで見せてくれれば、代表の舞台にはつながってくる」と話していた。中村が招集されなかった米国遠征では、左ウィングのスペシャリストが三笘薫(ブライトン)ひとりで、層の薄さを露呈した森保ジャパン。中村の状態が上がれば、代表復帰への道は確かに開かれている。

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