J2北海道コンサドーレ札幌のMF深井一希(30)が26日、今季限りで現役引退することを発表した。計5度にわたる両膝の手術など、ケガに苦しんだ男が出した結論だったが、同日の会見ではすっきりした表情で、今年で13年目を迎えるプロ生活を振り返った。

報道陣との主なやりとりは以下の通り。

 ―引退を決断した理由

 「1つ目は去年から今年にかけて特に膝の痛みが強くて、それに耐えながらやってたんですけど、その痛みに耐え切ることが厳しくなってきたというのと、精神的にもそれに疲れ切ってしまったというのが大きな理由。それと同時に今後指導者になりたいっていう強い気持ちが自分の中にあったので。これはもう次のステップに向かった方がいいかなというのを自分の中で感じました」

 ―状態はずっと厳しかった

 「コンディションというよりは痛みが毎日あって。正直練習にも出られるような状態じゃない中でやってたりというのもありましたし、毎日毎日それが続くというので、自分の中でもう厳しいなと思うようになってきてしまった」

 ―引退を決めた時期は

 「去年のシーズン最後の方で、自分的には正直厳しいかなというのはあったんですけど、契約の話の時にフロントから『ラスト1年、やってみろ』という話を頂いたので。僕としても1年勝負して、もしダメだったら次のステップに行こうと決めました。今年途中少し良くなって、試合に出られたり良い方向に行ったのはあったんですけど、そこから良い方向に行かなくて、最終的に決断しました。本当にたくさんの方にお世話になったので。少しでも早く発表して、そういった方々に感謝の気持ちを伝えられたら」

 ―今の心境

 「正直、伝えられてすごくすっきりしたというのはあります。あと2か月ちょいですけど、ここを戦えば自分の中では痛みとの戦いは終わるので。毎日毎日練習で痛みが出ないかというプレッシャーみたいなのから解き放たれた生活というのは、すごく楽しみ。そこまではしっかりプロとしての責任を持って、チームの目標に向かって一緒に頑張りたい」

 ―5度手術するなど膝のケガに苦しんできたが、もしなかったらと思ったりは

 「考えたことはもちろんありますけど、結局これが自分ですし、こんなに大けがを経験できる選手っていうのはなかなかいないと思うので。

このサッカー人生、悔しい思いもたくさんしましたけど、自分の中では最大限やりきった、最高のサッカー人生だったなと思います」

 ―印象に残る試合

 「やっぱり(2019年)ルヴァンカップの決勝(川崎にPK負け)っていうのは特別な試合でした。どんな状況でもあきらめなければ奇跡は起こるっていうのを自分のゴール(後半ロスタイムに同点弾)で体現できたっていうのは、そこまでたくさん苦しい思いをしましたけど、サッカーを続けて良かったなというシーンだった。最後負けちゃいましたけど、楽しみながらみんなで戦えば、どんな相手でも勝てるチャンスがあるというのを感じられた」

 ―残り8試合へ

 「練習に入り続けて、抜けないようにっていうのがまず自分の中ではある。多少の痛みくらいだったら何とか耐えきって、チームのみんなと一緒に戦って、少しでも若い選手の模範となるようなプレーを見せられればいいなというのと、もちろんコンディション次第では自分も試合に絡みたい」

 ―サポーターへ

 「コンサドーレのサポーターは本当に温かくて優しくて、本当に僕は助けられました。このチームでプレーしてなければ、もしかしたらここまでプレーできなかったかもしれない。ここまで大ケガを乗り越えることができてなかったかもしれない。本当に皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」

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