松竹は1日、東京・歌舞伎座「十二月大歌舞伎」(12月4~26日)の演目、配役を発表した。3部制で行われ、第3部では8月以来、4か月ぶりという極めて異例の早さで「火の鳥」を再演する。
火の鳥役を演じ、演出も手掛ける坂東玉三郎の誠意の証しだ。玉三郎は8月11日、くるぶしの痛みのため、「火の鳥」の出演を断念し、公演中止になった。スポーツ報知の取材に「チケット代を払い戻せばいいというものじゃない。交通費、宿泊費をかけて地方から来てくださる方もいる。お客様を大事に考えてきたので、苦しくて耐えられなかった」と語っていた。突然の休演にも納得してくれた観客の思いに応えるため、早期の再演が実現した。
8月は王子の兄ヤマヒコを市川染五郎、弟ウミヒコを市川團子が演じたが、12月はヤマヒコを染五郎、ウミヒコを尾上左近という配役で上演する。同じく第3部の「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)源氏店」では、お富を玉三郎、与三郎を染五郎で上演する。
第1部は中村獅童とバーチャルシンガーの初音ミクによる「超歌舞伎 Powered by IOWN『世界花結詞(せかいのはなむすぶことのは)』」を上演。獅童が源朝臣頼光/袴垂保輔、ミクが傾城七綾太夫実は将門息女七綾姫を演じる。超歌舞伎10年の記念作品となる。
第2部は、幕府転覆を企てた由井正雪の乱を題材とした講談等をもとに河竹黙阿弥が描いた「慶安太平記」より「丸橋忠弥(まるばしちゅうや)」を上演。