山瀬は一塁ベース上で右手を大きく振り上げた。3点リードの初回2死二、三塁。

甘く入ったスライダーを逃さず左前へ2点適時打とし、今季初打席初安打がプロ6年目で待望の初打点だ。「今シーズン初昇格、初打席にいい形でつないでもらったので、思い切っていきました。走者をかえすことができて良かったです」。今季初スタメンのチャンスを生かし、喜びを言葉に変えた。

 2軍では、球界トップ級の強肩を備えた守備力に加え、打撃でも打率3割台をキープ。だが甲斐、岸田ら12球団屈指の捕手陣に阻まれ、出番が巡ってこなかった。「人事を尽くして天命を待つ」が座右の銘の男は「結果を出し続ければ絶対阿部さんも見てくれている」と9月28日に今季初昇格をつかみ、最終戦で存在感を示した。巨人では井上、西舘らと同じ01年世代。近未来を担う男が新たな一歩を刻んだ。

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