俳優・渡辺謙が1日放送のフジテレビ系水10ドラマ「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」(水曜・午後10時)に声の出演を果たしていることがこの日の第1話放送内で明かされた。
脚本・三谷幸喜氏、主演・菅田将暉、共演・二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波で話題の同ドラマは1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇で、三谷の青春時代の思い出を題材にした完全オリジナルストーリー。
物語の舞台は渋谷・八分坂(はっぷんざか)。渋谷駅から徒歩8分であることからその名称で呼ばれ、案内所、ジャズ喫茶、ラブホテル、ストリップ劇場らがところ狭しと軒を連ねる大人の繁華街である。妖艶なネオンが照らすこの街角に途方に暮れた若き劇団演出家・久部三成(くべ・みつなり/菅田)の姿があった。あまりの粗暴ぶりに自身の劇団から追放されてしまったのだ。当てもなく八分坂へ迷い込んだ久部は案内所のおばば(菊地凛子)に誘われるがままにWS劇場の扉を開く…。
不器用ながらも、生きることに一生懸命な“人間くさい”人たちが、目と目を合わせ、心と心を通わせ、時に激しく衝突しながらもエネルギッシュに生きた「1984年」という時代を、三谷ワールド全開で笑いと涙いっぱいに描いていく。
三谷氏が実に25年ぶりに民放GP帯連ドラ脚本を手がけた本作は豪華俳優陣の共演や当時の渋谷を再現した壮大なオープンセットにも注目が集まり、放送前から今期イチの話題作と呼ばれていたが、放送されるやいなや、たちまちSNSの話題量は最高潮に達した。
そして、今回、世界的に最も有名な日本人俳優のひとりである渡辺が本作に登場するシェイクスピアの“エピグラフ”の声を務めていることが第1話の放送内で明かされた。“エピグラフ”とは書物の冒頭や章の初めに置かれる題辞や引用句のこと。あまり聞き馴染みのない言葉だが、シェイクスピアの色々なモチーフを盛り込んでいる本作では、このエピグラフがまるで小説のように登場する。毎話、ドラマ本編のヒントにもなるシェイクスピアの名言が登場する形だ。
「坂の上の雲」(2009年~11年、NHK)やドキュメンタリー映画「アース」(日本語吹き替え版/07年)のナレーション、さらにはドキュメンタリー番組のナビゲーターなども務める渡辺。
渡辺は世界的大ヒットを記録した米映画「ラストサムライ」(03年)で国外作品初出演を果たすと、その後も「バッドマン ビギンズ」(05年)、「SAYURI」(05年)、「硫黄島からの手紙」(06年)など話題作へ出演、その名を世界へ知らしめた。
直近ではメガヒット中の映画「国宝」(25年)への出演でも話題を呼んでいる。三谷脚本作品には「君たちがいて僕がいる」(92年、フジテレビ系)で主演したほか、映画「ラヂオの時間」(97年)などに出演。また、三谷演出の舞台「ホロヴィッツとの対話」(13年)では主演を務めている。
◆プロデュース・金城綾香コメント
「この台本の初稿から、頭にはシェイクスピアの言葉がありました。それはドラマの船頭のようなものでもあり、三谷さんからのお手紙のようでもあり。気さくで分かりやすいけれど、なるほど・・・と気づかせてくれるところもある、深みがある言葉たちに、毎週台本を受け取るのが楽しみでした。まさか渡辺謙さんがお声を引き受けてくださると思わず、断られることを覚悟でご相談したところ、ご快諾くださって、今でも信じられない気持ちです。時に厳しく、時に楽しく、渡辺謙さんのお声が、物語を見守ってくださっています。その温かいお声が登場人物を見守るシェイクスピア、そして三谷さんのように感じられます。エピグラフ、聞きなれない言葉だと思います。