俳優の妻夫木聡が2日、都内で行われた主演映画「宝島」の舞台あいさつに出席した。

 原作は、真藤順丈氏が2019年に直木賞を受賞した同名小説。

戦後の沖縄で、米軍基地から物資を奪い、住民らに分け与える若者たちの姿を描く。

 公開から約2週間がたち、妻夫木は「映画は公開されると子供が巣立っていくような気持ちになりますけど、この『宝島』という作品は手と手を取り合ってどこまでも歩いていきたい」と告白。「どこまでも一緒に歩いていきたい」と自らに言い聞かせた。

 イベントでは観客の感想が読み上げられた。沖縄の人からの称賛の声を聞くと「沖縄に生まれ育ったわけではない僕たちが描くことにプレッシャーはあった」とポツリ。「誰よりも沖縄の人たちの思いを背負っていく覚悟を持って撮影した。沖縄と真摯(しんし)に向き合ってきたのが届いた証拠かな、と実感しています」とかみ締めた。

 撮影を通して沖縄の歴史にも理解を深めたそうで、「初めて知る事実も多かった」と告白。80年前の戦時中に思いを巡らせ「過去にあったことを過去で終わらせてはいけないなと思いました。僕たちは痛みを知ることができる。『同じ過ちを繰り返してはいけない』と言うことができると思う。教科書を見てなんとなく分かってる気じゃダメなんだと思う」とした上で、涙を流しながら「また僕たちは武器を持ってしまうかもしれない。

でも武器を持っちゃったらまた戦争が始まってしまうかもしれない。その中で失った命は取り戻せないわけで、そういう時代は二度と来てほしくないと思った。自分も子供がいますし、そんな未来は作りたくないですよね、絶対に」と持論を展開した。

 さらに、「先人にいろんなことがあったから、今僕たちがこうやって生きていける。それは当たり前じゃないよってことを僕たちが伝えていかなきゃいけない」と吐露。声を震わせながら「これは責務だと思う。子供たちに何を託せるのか僕たちにかかっていると思う。自分にとって何が大事なのか、何が宝なのか、そういうものをみんなに受け取ってもらえるんだったら、沖縄を題材にした映画が少しでも報われる部分があると思います」と熱弁していた。

編集部おすすめ