◆第45回ジャパンC・G1(11月30日、東京・芝2400メートル)追い切り=11月26日、美浦トレセン  

 ダービー馬に輝きが戻った。クロワデュノールは栗東・CWコースでテルヴィセクス(2歳未勝利)、カラペルソナ(2歳1勝クラス)を追走。

青鹿毛の馬体を大きく使って躍動した。最終追い切り後にジャパンCの出否を判断し、状態次第で有馬記念に目標を切り替えるプランだったが、出走が正式決定。斉藤崇調教師は「これなら問題なくいける」と明言した。

 先週は直線での反応が重く、先頭に1馬身半遅れるなど良化途上。だが、今週は2頭の間を勢いよく突き進み、最後までパワフルに伸びた。頭差で最先着し、全体時計も6ハロン82秒4―11秒1と先週より1秒速い。斉藤崇師は「先週だらっと伸びていた部分も、しっかりバランスを取った中で、前進気勢を持って自分から間に入っていました。そこの反応もすごく速かった」と手応えをつかんだ。

 名手の言葉も後押しになった。この日は、主戦の北村友騎手ではなくCデムーロ騎手が騎乗。トップジョッキーが調教のみに乗るのは異例だ。その狙いを指揮官は「(我々は)良かったときのあの馬を追っかけてしまう。

1頭の馬として、どういう風に感じるのかを聞いてみたかった」と第三者の視点を求めての起用だと説明。「『競馬へ行くのに、全然問題ないよ。動きもいい』と言ってくれた」とGOサインを出した。

 期待を背負って挑戦した凱旋門賞では、14着と大敗。トレーナーは「凱旋門賞に対する覚悟みたいなものが足りなかった」と厳しい表情で振り返る。この帰国初戦に向け、「とにかく一戦一戦頑張っていくだけ。また再スタートしたい」と決意を新たにした。

 天皇賞・秋は日本ダービーで2着に負かしたマスカレードボールが制し、皐月賞で敗れたミュージアムマイルが2着だった。「力が抜けている存在というより、ライバルが多い」と、ダービー馬の立場に満足することはない。年長のダービー馬2頭や欧州最強馬も集う祭典。「いい走りができれば、このクラスの日本馬の中でトップだと証明できるんじゃないか」。失意の仏遠征から1か月。

東京で、世代を超えた頂点を目指す。(水納 愛美)

【斉藤崇調教師の公式会見・一問一頭】

 ―1週前追い切りからここまで、状態の変化は。

 「金曜、土曜、日曜、あと火曜と(団野)大成に乗ってもらって、だいぶ活気が出てきたというか、しっかり動くようになってきたなという印象がありました」

 ―最終追い切りの内容についての指示、意図は。

 「先週は、ペースが上がったところからダラダラっとした。今週は多少全体が速くなるのは分かっていたが、3コーナーからちゃんとペース上げた中でどういう動きをするのか。それと、間を割ってくるということで馬にもう一個スイッチを入れてほしかったっていうのもありました」

 ―その動きの評価は。

 「十分、合格点かなと思いました。4コーナーを回ってくるときの格好も良かったです。全体的に、いいときのクロワデュノールが戻ってきている感じがしました」

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