来年3月に行われる第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパン井端弘和監督(50)が26日、都内で会見し、ドジャース大谷翔平投手(31)、エンゼルス菊池雄星投手(34)の花巻東コンビら8選手を先行発表。心強い先輩とともに、大谷が連覇へ先導する。

大谷も含めれば、第一陣は全て投手。強豪国に対抗する“最強方程式”はどうなるのか。残りの22選手は、1月中旬に発表を予定する。

 2連覇へ、花巻東コンビがタッグを組む。8人が先行発表されたWBCの出場メンバーに、雄星と大谷が名を連ねた。同じ学びやから巣立った2人が、日の丸を背負って世界の舞台に立つ。

 雄星は高校時代を含め初めて侍ジャパン入り。先発の一角を占める見通しだ。「チャンスがあれば前のめりで」と今回のWBCには並々ならぬ意欲を示していたが、この日も「チームでは年齢的にも上の立場になると思いますが、自分に求められている役割をしっかりと全うし、日本の勝利のために全力で腕を振ります」と気合満点のコメントを出した。大谷のコメントはこの日発表されなかったが、11月に取材に応じた際には「選ばれること自体、光栄なことなので楽しみ」と話しており、静かに闘志を燃やしているはずだ。

 念願の初タッグだ。大谷は、中学3年時の09年センバツで準優勝に導いた3学年年上の雄星の背中を追うようにして花巻東に入れ違いで入学。

日米の球宴で同じユニホームを着たことがあるだけで、共闘するのは実質的に初めてとなる。メジャーでは大谷が26打数9安打の打率3割4分6厘で3本塁打。個人的な感情を多く口にしない大谷が「他の選手と違って特別な気持ちもある」と意識するのが雄星。グラウンドで会えば談笑するなど仲もよく、強力タッグになるのは間違いない。

 大谷は世界最高の選手として誰よりも重圧と戦いながら日の丸を背負う。そんな中で、メジャーの舞台を熟知し、年上でもある雄星がいることは大きな支え。いまだ起用法は不透明だが、仮に投げられないとしても雄星というもうひとりの投の柱がいるのは心強い。

 前回大会ではダルビッシュが先頭に立ってメジャーリーガーの情報や、時差ボケ対策などを積極的に伝えてチームを引っ張った。雄星にも同様の役割が求められるだろう。井端監督も「当然、前回大会でも入るだけの実力はあったと思うし、今回来ていただいて非常にありがたい。ボールが速くて強い。MLBで制球も磨かれ、すごく期待している」と雄星を評する一方で、大谷には「グラウンドで暴れてもらえれば。

周りにもいい影響しか与えないと思う」とメッセージを送った。21年の米球宴でともに戦った際には、花巻東のユニホームに2人のサインとともに「花巻東から世界へ」と記し、母校でモニュメントにもなった。夢タッグが、連覇ロードで先頭に立つ。(安藤 宏太)

 ◆雄星と大谷 花巻東高では3学年違いで雄星の卒業直後に大谷が入学したため一緒にプレーはしていない。同じチームに所属したのは、13年、17年球宴のパ・リーグ、21年メジャーリーグ球宴のア・リーグ。同じ試合に出場したのは、17年7月14日(ナゴヤD)の球宴第1戦だけ。同試合で雄星は3回から2番手で登板して3安打1失点、大谷は「3番・DH」で2打数無安打だった。

 ◆記録メモ

 ▼…松井(パドレス)は17、23年に続き3度目のWBC代表選出。3度目の出場となれば06、09、13年の杉内俊哉(ソ、巨)、06、09、17年の青木宣親(ヤ、アストロズ)、09、13、17年の内川聖一(横浜、ソ)と並び日本の最多出場選手となる。大谷は日本ハム時代の17年を含むと3度目の選出だが、17年大会前に負傷辞退したため、出場は今回が2度目となる。

 ▼…松井の背番号は1に決定。17年は10、23年、13年で、3大会全てで異なる背番号。

3度出場した選手で背番号が全て異なったのは初。投手の背番号の最小は自身の17年の10で、1ケタの背番号をつけるのも初だ。

 ▼…初選出の石井(神)の背番号は69。日本のWBC出場選手で最大の背番号は17年の平野佳寿(オ)の66で、石井が出場すれば日本で最も大きい背番号となる。

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