3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に臨む侍ジャパンが、14日から24日まで宮崎で強化合宿を行った。合宿直前に西武・平良海馬投手、阪神・石井大智投手が故障で出場を辞退。
球数制限があるWBCでカギとなるリリーフに故障者が相次ぐ非常事態。国内組中心の合宿参加選手に動揺が広がっても不思議ない苦境を救ったのは、豊富な知見を持つパドレス・ダルビッシュ有投手(39)だった。昨秋の右肘手術によって今季全休が決まっている中、アドバイザーとして異例の合宿参加。初日から選手に寄り添い、WBC球の扱いや今大会で導入されるピッチクロック(投球間隔の時間制限)、ピッチコム(バッテリー間のサイン伝達機器)の対策をアドバイスした。ピッチクロック、ピッチコムについては「(サインを出すリモコンは投手が)押せばいい」「(サインに)首を振らなければいい」と分かりやすく明示。自ら実演してみせることもあった。
日米通算208勝右腕の言葉には代えがたい重みがあった。スライダーの曲がりが小さい悩みを相談した巨人・大勢投手に対しては、タイプの似たメジャーリーガーを挙げて説明。「同じような選手でもジャイロ回転(弾丸のように螺旋回転)しているスライダーの選手も多い。逆にそれが良かったりもする」と背中を押した。金言を受けた大勢は「大きく曲がるスイーパーも最初は良かったけど、打たれ出してきているデータも出ているから、曲がっているからいいっていうわけでもないよと、言っていただきました」と吹っ切れた表情で明かした。
存在価値は技術面にとどまらない。22日の壮行試合後、ダルビッシュは大雨の中でファンにサインを続けた。かつて日本代表を率いた長嶋茂雄さんや栗山英樹前監督は、代表選手に「野球界の伝道師」になることを求めた。国内の野球人口の減少が叫ばれる中、WBCは多くの人に注目してもらう最大の契機。トップチームの一員として、ファンや次世代を担う子供たちに何を感じてもらうか。ずぶ濡れになりながらペンを走らせ続けた男の姿に、移動用のバスから見ていた選手たちが何を感じたかは想像に難くない。
合宿最終盤の23日。合流したばかりの菅野智之投手と1時間以上にわたって濃密な会話を交わしたダルビッシュは「ここに来て良かった」と実感を込めた。レジェンドの言葉や一挙手一投足に多くを感じ、自信を深めた選手がWBCで躍動すれば、熱心なオファーを重ねた井端監督の“名采配”もクローズアップされるだろう。前回大会で日本は圧倒的な一体感と団結力を持って頂点に立った。ダルビッシュの異例の宮崎合宿フル参加は、日本野球の強みを象徴する出来事でもあった。
◆宮崎合宿11日間プレーバック
▽14日 井端監督のオファーを受けて激励に訪れた松井秀喜さん、アドバイザーを務めるダルビッシュの来訪でフィーバーに。
▽15日 松井さんが2日連続で激励。森下らにアドバイス。ネットフリックススペシャルサポーターの二宮和也も登場
▽16日 休養日に伊藤ら5選手が休日返上練習
▽17日 ネトフリスペシャルサポーターの渡辺謙が合宿地に。大勢はダルからスライダーに関する助言を得る
▽18日 ダルがピッチクロック、ピッチコム対策として、サインに首を振らない、投手がサインを出すなど対策に伝授
▽19日 栗山前監督が激励訪問。三塁の佐藤輝が右翼、森下の中堅をテスト
▽20日 休養日。米国で松井裕樹が負傷
▽21日 17、19日に続く非公開練習。松井が出場辞退を申し入れたことが判明
▽22日 ソフトバンクと壮行試合に13得点で大賞。佐藤輝、森下、坂本の阪神勢で11打点。メジャー勢の先陣を切って菅野、菊池が合流
▽23日 ソフトバンクとの壮行試合に2安打完封負け。投打でピッチクロック違反も
▽24日 打ち上げ。アドバイザーのダルは合宿にフル参戦しブルペン、ライブBPなど見守り、投手陣で記念撮影。あいさつは近藤が務めた










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