横山典弘騎手(58)=美浦・フリー=が8日、中山競馬場で行われた中山9R・湾岸Sをマイユニバースで勝ち、JRA通算3000勝を達成した。

 あれは21年の日本ダービー前のこと。

三男の横山武騎手が主役候補のエフフォーリア、典弘騎手がレッドジェネシスで挑む大一番で、親子競演について取材する必要があった。普段からマスコミに対して口数が少なく、四角四面に話を聞きに行ったところでうまくいくはずがない。そこで記者はオグリキャップを題材にした本を片手に、伝説のラストランと語り継がれる90年の有馬記念で、メジロライアン(2着)に騎乗した当時の心境を聞く作戦でアタックした。

 たまたま興味を持ってくれたのか、そこから面白い昔話が続々と出てくる。さらに話題は後輩たちへのエールにも及んだ。コロナ禍で外国人騎手が短期免許で来日できなかった時期で、「そりゃあ、それぞれの国のトップクラスでやれている力は認めるけど、我々日本の騎手だって技術でそんな差はないと思うし、負けてはいない。(コロナ禍で)来られなくなったことで、チャンスなんだと思うよ。若い後輩たちには頑張ってほしいよね」と熱い口調。ジョッキーのプライドも垣間見た思いがした。

 いざ“本題”を恐る恐る切り出すと、「ああ、そういうことか」と苦笑いしながら結局は答えてくれた。その記者の“三文芝居”には「まあ、やり方はうまいよな。俺だってゴールドシップに乗る時に、どうやってやろうかって考えながらいったもんな」とニヤリ。

その横顔は、この日のセレモニーで見せたように照れくさそうだった。(坂本 達洋)

編集部おすすめ