馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はフサイチエアデールが勝った2000年のダービー卿CTを取り上げる。

武豊騎手とのコンビ復活で、1年ぶりの復活V。牡馬相手の重賞Vは初めてだった。

 

 コンビ復活即復活Vだ。最後の直線。フサイチエアデールは右前のタイキブライドルを目標に、左後ろから迫るシンコウエドワードを振り払うように加速する。武豊は馬場の真ん中へ持ち出し、しっかりと手綱を押す。最後まで続いた追い比べを首、首差でしのいだゴール板。1999年の報知杯4歳牝馬特別(現・報知杯フィリーズレビュー)以来の勝利をゲットし、春のマイル王決定戦の安田記念へ、絶好のスタートを切った。

 約11か月、6戦ぶりのコンビとなった武豊は「ちょっと先頭に立つのが早かったけど、よく我慢してくれた。休み明けのうえ、56キロを背負っていたのにタイムも速い。内容は濃い。能力を再認識した」と称賛の言葉を並べた。

それまで桜花賞2着など【1201】でベストと言えるマイルへの距離短縮で、名手とのコンビ復活。松田国調教師も「強いエアデールを多くのファンに見てもらいたかった。ドンピシャだね」と笑みが絶えない。

 危機から間一髪のところで生還した。約2か月前の2月11日、放牧先の宮城・山元トレセンが火災に見舞われた。22頭が焼死したが、別の棟にいたため難を逃れた。栗東に帰厩してからは、物音に敏感になり、怖がったりするようになった。しかし、関係者は悪いイメージを払しょくするように懸命のケア。この日も「馬群に入れたくなかった」(武豊)というシミュレーションどおり、外めを走らせた手綱さばきもさえた。

 同馬はこの年の暮れに現役を引退した。重賞4勝など通算21戦5勝。G1は桜花賞2着、エリザベス女王杯も2年連続2着で勝てなかったが、常に牝馬のトップクラスで活躍した。

 北海道・早来町のノーザンファームで2001年から繁殖生活に入ると、初子のライラプスと2番子のフサイチリシャールがともに重賞勝ち。特にフサイチリシャールは自らが届かなかったG1タイトルを2005年朝日杯FSで手にした。母としての存在感も格別だった一頭だ。

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