ニッポン体操界に、ニューヒロインが誕生した。西山実沙(15)=なんばク=は、シニアデビューとなった今年、4月の全日本選手権と5月のNHK杯で女子個人総合2冠を達成。

今秋の愛知・名古屋アジア大会と世界選手権の代表切符を手にした。28年ロサンゼルス五輪での活躍が期待される大阪・相愛高の1年生はスポーツ報知のインタビューに応じ、「普通の高校生」としての日常や、国際舞台への意気込みなどを語った。(取材・構成=吉村 達)

 女王となって一気に注目度が上がっても、西山は冷静だ。手応えを持って挑んだ今春の2冠は「去年の夏からの一番高い目標。びっくりしたけど、届かないとは思っていなかった」とサラリ。多くの祝福の言葉は「もっと頑張ろうという気持ちになる」と力に変え、都会にある拠点では一日5時間の練習に励む。

 体操との出合いは幼稚園年長の冬。母親が「夜に寝ないので、ここで遊ばせたい」と、なんば体操クラブに入会させた。だが、エネルギーあふれる娘は「それでも寝られるようにならなかったみたいで…。今は7~8時間寝ますが、朝に機嫌が悪いのは小さいころから一緒です」と笑う。

 運動は何でもスマートにこなせるかと思いきや、球技などが苦手で学校の体育は得意科目ではないという。体操を習っていなければ「スポーツをやっていない、ごく普通の高校生だったと思う」。

息抜きは友人やクラブ仲間との難波エリア散策。スイーツやショッピングを満喫する。自宅で過ごす休日の趣味は、お菓子作り。「この前、ブラウニー(チョコレートケーキ)とクッキーが合体したのを配ったら好評でした」と、うれしそうに明かす。

 小学生時代から全国レベルで実績を重ね、日本協会の年代別強化選手にもコンスタントに選出されてきた。相愛中3年だった昨年の世界ジュニア選手権(フィリピン)は個人総合で3位。種目別床運動で金、跳馬で銀メダルを獲得した。自身の性格を「頑固なところがあるかも」と分析する一方、「完璧な演技をするためには、人の意見を聞くことが大事」と、周囲の声も柔軟に取り入れて成長してきた。

 秋の大舞台を見据え、今後はまだ試合で披露できていない高難度の技に磨きをかけていく。「自分はきれいで美しい演技ができるタイプじゃない。難しいことをして、Dスコア(演技の難しさを数値化したスコア)を上げないと世界では戦えない」。インターハイなど夏場の大会をこなしながら新たな構成に取り組む。

 夢だった「団体での五輪メダル」は、はっきりと目標に変わった。「個人で金メダルを取るくらいの気持ちでやっていきたい」。28年ロサンゼルス五輪のエース候補は、まだまだ進化する。

 〇…なんば体操クラブの統括マネジャー・ヘッドコーチとして指導する山崎隆之さん(53)は、西山が入会すると、ほどなく選手コースに誘った。素質だけが理由ではなく、「勝ち気なところ、体を動かすのが好き、エネルギーにあふれている。体操をする条件がそろっていた」と振り返る。

 レベルの高い選手が多数在籍するクラブのターニングポイントとなったのが、中村遥香(18)=相愛高3年=の24年パリ五輪出場だという。「しっかり練習すれば(五輪に)いけるという思いが浸透した」と山崎さん。ひたむきで心身両面の準備を怠らない西山に「日本体操界を盛り上げる存在になってほしい」と、大きな期待を寄せている。

西山 実沙(にしやま・みさ)

▽生まれとサイズ 2010年9月7日、和歌山市。幼少期に引っ越してから大阪府在住。身長151センチ

▽家族 父・智哉さん(49)、母・絢子さん(46)と3歳上の兄

▽ペット メスのインコを飼っており、名前は空(くう)。

「優勝したご褒美に、もう1羽、ひなを飼うつもり」と最近はペットショップに通っている

▽得意種目 段違い平行棒、跳馬。練習は「何でも好き」

▽練習中のけが 小学4年の時に平均台で足を踏み外し、右太ももの皮膚が裂けて流血。「救急車で運ばれて(治るまで)半年くらいかかりました」。中学2年の全日本選手権1週前には段違い平行棒に顔をぶつけて歯が折れた

▽憧れの体操選手 “白い妖精”と呼ばれた76年モントリオール五輪金メダリストのナディア・コマネチ。「動画を初めて見た時に見入ってしまった。自分とタイプが違うけど、素敵です」

▽験担ぎ 「緊張がほぐれる」と演技前は大きな声であいさつ

▽好きな食べ物 甘いもの全般。「特に好きなのはチョコが入ったアイス」

▽好きな有名人 山田涼介(Hey! Say! JUMP)、back number(ロックバンド)、りくりゅうペア(フィギュアスケート)、阿部一二三(柔道)

▽日常生活で体操が出てしまう場面 「挙手した時に、ほかの人より腕が(指先まで)ピンと伸びている」

▽海外遠征の思い出(競技以外) 「イタリアで食べたジェラートがすごくおいしかった」。

 ◆西山が出場を予定する今後の主な大会

 ▽アジアシニア選手権(6月25~28日、中国)

 ▽高校総体(7月31日~8月2日、神戸)

 ▽全日本ジュニア(8月13~17日、栃木)

 ▽愛知・名古屋アジア大会(9月21~25日、名古屋)

 ▽世界選手権(10月17~25日、オランダ)

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