◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 スポーツ選手や芸能人を熱心に応援する「推し活」は、他人事だと思っていた。「みんなに元気を届けます!」と言っているアイドルがいても「そんなことができるのかな?」と信じられなかった。

 その認識がガラッと変わる出来事があった。6月に中学時代から応援している米バスケットボール・NBAのニューヨーク・ニックスが53年ぶりに優勝したのだ。サンアントニオ・スパーズとのファイナル第4戦は29点差をひっくり返す史上最大の逆転劇。1点差まで追い上げた第4Qにブランソンの3Pシュートがリングに弾かれ、アヌノビーが指先で押し込んで残り1・2秒で逆転した瞬間は、感動で涙が出た。

 ファイナル進出は、今回と同じスパーズと対戦して敗れた1999年以来、27年ぶり。当時は大学生だったが、あの敗戦があまりにも悔しくて四半世紀以上も心にトゲが刺さった感覚で、素直に応援する気になれなかった。それが今回、因縁の相手に4勝1敗で見事にリベンジ。27年分の鬱憤(うっぷん)を晴らすことができた。

 ニックスの優勝はうれしい。でも影響はそれだけではない。嫌なことがあっても、「まあいいか、ニックスが優勝したし」と思える。そんな心の余裕がうれしい。

これが「“推し”から元気をもらう」ということなのか。あの日、アイドルが言っていた言葉の意味をやっと理解できた。

 「推し活あるある」かもしれないが、一抹の寂しさは、熱い思いを共有できる人が近くにいないことだ。(芸能担当・有野 博幸)

 ◆有野 博幸(ありの・ひろゆき) 01年入社。記者人生で一番の思い出は「X JAPAN」のNY公演でマジソン・スクエア・ガーデンに行ったこと。いつかニックス戦も見に行きたい。

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