JRAは15日、最年長ジョッキー・柴田善臣騎手(60)=美浦・フリー=の現役引退を発表した。18日付で騎手免許取り消しとなる。

今後はJRAアドバイザーに就任予定。右肩の負傷で4月12日の福島競馬場での騎乗を最後に休養。懸命なリハビリを続けていたが、復帰はかなわなかった。JRA通算2万2311戦2341勝。G1・9勝を含む重賞96勝をマークしている。きょう16日に記者会見、11月1日に東京競馬場で引退式が行われる。

 長年にわたり競馬界を盛り上げてきた還暦ジョッキーが、ターフに別れを告げる。柴田善はJRA競馬学校の騎手課程1期生として、1985年3月に美浦・中野隆良厩舎からデビュー。88年の一頭との出会いが大きな転機に。コンビで重賞を3勝したホクトヘリオスだ。「苦労させられたけど、レースでは『黙って背中に乗ってろよ、最後までちゃんと走るから』という馬の気持ちも分かったし、冷静にレースの全体を見ることも教わった」と感謝していたように、この経験がのちの飛躍につながった。

 初のG1制覇は26歳。

93年ヤマニンゼファーで制した安田記念だった。この年にフリーに転向。キャリアハイの69勝を挙げると、96年の第1回NHKマイルCでのタイキフォーチュンをはじめ、20代でG1を3勝。97年には自身初の年間100勝を達成し、02年から04年には3年連続で関東リーディングで1位を獲得するなど、充実期を迎えた。

 近年はけがとの闘いが続いた。24年12月には左肩の腱板(けんばん)断裂を負い、25年9月まで長期休養を余儀なくされた。それでも、現役を続けてこられた原動力は、馬に乗るのが好きという気持ちだ。「やっぱり馬に乗ると楽しい。いろんな馬がいるし、一頭の馬でも毎日違う。そういうのを感じ取るのが好き」と笑顔をのぞかせていた。

 7月30日に還暦を迎えたが、60代でのレース騎乗はかなわなかった。それでも、1月31日の東京5R・3歳新馬のリッツパーティーで挙げた「59歳6か月2日」のJRA最年長勝利は、今なお輝く記録だ。

現役最後となったこの勝利を、競馬学校の同期である岩戸孝樹調教師と飾ったのも縁の深さを感じる。

 ワイン愛好家としても有名で引退後の暮らしについて、「車でいろいろな所に行ってみたいし、おいしい物を食べたいし、心の支えになった2匹のわんちゃんたちも連れて行って楽しませてあげたい」と以前に語っていた。様々な思いを胸に、きょう16日の引退会見に臨む。

 ◇JRAアドバイザーとは 中央競馬の安全かつ円滑な施行をはじめ競馬の健全な発展に資するため、JRAの求めに応じ、幅広く意見や助言を行う。過去には岡部幸雄元騎手や藤沢和雄元調教師が就任している。

 ◆柴田 善臣(しばた・よしとみ)1966年7月30日、青森県生まれ。60歳。JRA競馬学校1期生として85年3月に美浦・中野隆良厩舎所属でデビュー。88年の中山牝馬S(ソウシンホウジュ)で重賞初制覇。93年の安田記念(ヤマニンゼファー)でG1初制覇。JRA騎手の最年長勝利記録(59歳6か月2日)を保持。05年から10年まで日本騎手クラブ会長。

22年春に黄綬褒章を受章。164センチ、53キロ。血液型A。

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