プロボクシング元世界3階級制覇王者の中谷潤人(28)=M・T=が16日、神奈川・相模原市の小山中学校で、中学3年生の生徒たちに向けた福祉授業の一環として講演会を行った。昨年のブラインドボクシング全国大会で優勝した、都内の視覚特別支援学校に通う中学3年の工藤聖真さんとともに、高校受験など進路選択を控える生徒たちに、自身の経験を交えてメッセージを送った。

 生徒たちに伝えたのは、初黒星から得た教訓だった。5月2日、東京ドームで世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(33)=大橋=に挑み、判定負け。プロ初黒星を喫した一戦は、勝敗を超えた意味を持っていた。

 「初めて負けを経験して、負けほど得られるものはないと感じた。勝負の世界なので勝ち負けはつきものだが、自分が思いを持って取り組んできたことに対して、周りの人は心が動くんだなと感じた。負けてどう感じて、どう行動していくかを、より大切にしてほしい。悲観的な負けではなかったと感じさせてもらえる5月2日だった」

 プロボクサーになる夢を追い、中学を卒業後、渡米を決断した。「それ以外の人生を経験していないので何とも言えないが、本当に僕らしい人生を歩めているなと、今振り返って思えている。悔いなく人生を楽しめているかなと思います」。独自の道を切り開いてきたからこそ、言葉に実感がこもる。進路選択を控える生徒たちに「目標があれば、そこから逆算して何が必要かを考えられたら、それが強みになっていく」と助言した。

 井上との激闘で左眼窩(がんか)底を骨折して手術を受け、8月1日から所属ジムでの練習を再開した。

再起戦は、来年になる見通しだ。実戦練習はまだ行っていないが、マスボクシング(軽めのスパーリング)などのほか、週に1回はフィジカルトレーニングにも取り組んでいる。今月下旬には、神奈川県内で走り込み合宿を行う予定だ。

 福祉授業の一環として行われた講演会の題名は「SKY IS THE LIMIT(可能性は無限大)」。中谷は最後に「『可能性は無限大』は、僕自身も大事にしている言葉。一人一人、無限の可能性があるので、それを自分自身信じて突き進んでいってもらえたら」とメッセージを送った。

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