西山といえば“剛腕”が代名詞。指し手を見ればその言葉に間違いはないが、いざ盤の前を離れると、別の顔をのぞかせる。

 今回行使した棋士編入資格の制度ができた昨年6月以降、特に最近は、この件について話を聞くことが度々あった。前年防衛した時点で既に4期獲得した「リーチ状態」。ずっと目指していた棋士の思いは誰よりもあるはずだったが、こちらの質問には「目の前の対局に集中している」「一局一局真摯(しんし)に戦いたい」という答えはぶれなかった。

 もちろん、白玲戦と並行して行われ、先勝を許していた第48期女流王将戦に集中するためもあると思われる。ただ、以前より女流棋界全体の発展を願っている西山が、自分のことだけが話題となることを避けようとする計らいもあったのだろう。

 盤外でも、驚かされたエピソードがある。対局地に関係者が足を運ぶこともあるが、対局直後には長時間に及ぶ対局で疲れているはずにもかかわらず、お礼の連絡やあいさつを欠かさない。私も白玲防衛の際にはお祝いのメールを入れさせてもらったが、いち記者にも丁寧な返信がきたことに驚くと同時に細かい気配りを感じた。(珠)

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