共働きが当たり前のいまは、家事の時間を十分に取りづらいのが現状だろう。なかでも子育て家庭では、家族の食事の用意が欠かせない。
【今週の住活トピック】
キッチンでの作業に関する意識調査を実施/LIXIL
キッチン白書2025公開/クリナップ
約8割がキッチンでの作業は面倒と回答。特にシンクやコンロの掃除が面倒
まず、LIXILが実施した「キッチンでの作業に関する意識調査」(調査対象:公式サイト来訪者410人)の結果を見ていこう。「キッチンでの作業を面倒だと思うことがあるか」と尋ねると、79.7%が「ある」と回答した。
では、キッチンでの「どのような作業が面倒に感じるか」と尋ねると、最も回答が多かったのは「掃除(シンクやコンロなど)」だった。シンクやコンロは調理をすれば汚れる場所なので、そのたびに掃除をすることになり、筆者もとても面倒に感じる。2位の「片付け・洗い物」も同様だが、油を使った調理をしたときは、掃除や洗い物がなおさら面倒だと思ってしまう。

出典:LIXIL「キッチンでの作業に関する意識調査」
また、「1日の中でキッチンに立っている時間」を尋ねると、「1~2時間程度」が最も多く38.7%に、次いで「30分~1時間程度」が33.5%になった。家にいる時間のなかで、ほぼ毎日30分~2時間立っているキッチンの作業は、それだけ多いということだろう。
調理時間は短縮化する傾向が顕著
次に、クリナップ おいしい暮らし研究所の「キッチン白書2025」(調査対象:料理をしない人を除く、18~69歳の男女788人)から、調理の時短化について見ていこう。
「1日の調理時間」を尋ねた結果を経年比較したところ、2018年と2025年では「10分未満」という回答が約20ポイント増加した一方で、「1時間~2時間未満」という回答は15ポイント減少した。

出典:クリナップ「キッチン白書2025」
ただし、「2時間以上」という回答は増えている点が興味深い。
キッチンでの作業で「作り置き」「調理道具の活用」で効率化をしている?
では、キッチンでの作業や調理の時短のために、どんなことをしているのだろうか?
LIXILの調査結果を見ると、キッチンでの作業負担を軽減するために、さまざまな工夫をしている。
・「食器洗い機」や「調理家電」などの機器を使う
・「作り置き」と「冷凍保存」で料理回数を減らす
・動線を短くする
・洗い物が少ないメニューを選ぶ
などの回答があったという。
一方、クリナップの調査結果で「自宅での料理に関するあなたの考え」を尋ねた結果、「まとめ買いや作り置きなどは効率的だと感じる」(28%)、「レンジや自動調理鍋で加熱、ハサミで調理などできる限り手間がかからない調理方法を意識している」(22%)などが上位に挙がった。
いずれの調査結果を見ても、作り置きや調理家電・調理道具を有効活用していることがわかる。やはり、キッチンに立つのが1日2時間以上という回答のなかには、作り置きのためという人も多くいそうだ。
また、さまざまなメニューに対応した調理家電なども多く登場しているし、調理の時短に役立つ「カット済み野菜」や「ミールキット」なども豊富になっている。それぞれの家庭に適した工夫を取り入れて、時短を図っている様子がうかがえる。
「キッチンそのもの」と「家事分担」も時短のカギに?
さて、キッチンでの作業の時短を図るには、ほかにもカギはある。
第一のカギは、「キッチンそのもの」にある。システムキッチンは進化を続けているが、掃除が楽になったり、適材適所に収納場所があったり、作業動線を短くしたりといった、時短の工夫も取り入れられている。システムキッチンは高額なので簡単に交換はしづらいが、住み替えの際に、キッチンの設備や配置なども忘れずにチェックするとよいだろう。
第二のガキが、「家事分担」だ。
ただし、一般的に女性より体の大きい男性が一緒にキッチンに入るとなると、そのスペースが確保できない、かえって動きにくいといった懸念点や、子どもが火元や刃物に近づくリスクなども考えられる。キッチンの広さや動線にも配慮して、適切な家事分担のルールを決めていくとよいだろう。
かつては、料理は丁寧な手作りが一番と思われていたし、家事は女性が担うという意識も強かった。しかし、時代は変わり、家事の考え方や家事に割ける時間は家庭それぞれで異なるようになった。面倒や負担を感じたりするものはできるだけ効率化し、家族で大切だと思うものに時間をかけることも大事だろう。
●関連サイト
LIXILの「キッチンでの作業に関する意識調査」について
クリナップの「キッチン白書2025」について