BESTは、同社の「カギお助け本舗」で鍵トラブルに対応したデータ(2万3219件)を集計・分析した結果を公開した。それによると、鍵を紛失することによるトラブルが多いことが分かった。

鍵の開錠費用の相場と合わせて、鍵トラブルの実態を詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
【独自調査】鍵トラブルを徹底分析!/BEST

鍵のトラブルにおける9割が「開錠の依頼」、理由は「鍵の紛失」!?

BESTが自社サービスのデータを分析したところ、実際に作業した内容では、90.1%が「鍵開錠」と圧倒的に多く、次いで「修理・交換」の7.4%だった。

「鍵の紛失」によるトラブル、開けるのにいくらかかる?トラブル回避のための重要ポイントとは?

出典/BEST「【独自調査】鍵トラブルを徹底分析!」

では、なぜ開錠の依頼をするのだろうか? その理由は、ダントツで「鍵紛失」(8341件)だった。紛失ではないものの、鍵が手元にない状態で施錠された(「鍵を持たずに外出」(1200件)、「鍵を室内に閉じ込めた」(1155件))ケースも多かった。

一方、「鍵が挿さるが回らない」(2522件)、「鍵中折れ(鍵穴の中で鍵が折れる)」(675件)、「鍵が空回りする」(623件)、「鍵が挿さらない」(470件)など、鍵の不具合による開錠依頼も多い。これは、「鍵穴の劣化や鍵の摩耗、異物の混入などが原因」だという。

「鍵の紛失」によるトラブル、開けるのにいくらかかる?トラブル回避のための重要ポイントとは?

出典/BEST「【独自調査】鍵トラブルを徹底分析!」

鍵の開錠だけなら3万円前後が平均的な費用

とはいえ、防犯意識が高まっている近年、「鍵を紛失」する人はそれほど多いのだろうか?

MAMORIOが2022年に行った「『鍵の紛失』に関する実態調査」を見ると、次のような結果になった。

・過去1年間で「鍵が手元になくヒヤッとした経験」がある人は56.6%
・紛失後そのまま「見つからなかった」という回答は45.6%

鍵の紛失というのは、意外に多いようだが、では、鍵の開錠を事業者に依頼したときの費用は、いくらぐらいかかるのだろう?

BESTによると、鍵の紛失や鍵を持たずに外出などの場合は、3万円前後が平均額のようだ。「鍵自体が破損しているわけではなく、主に鍵を開ける作業のみで対応が完了する」からだという。

一方、鍵の不具合によるトラブルでは、「単なる開錠だけでなく、鍵穴部分の修理、場合によっては部品交換が必要となる可能性が高い」ために、平均費用が4万円を超えるという。ただし、実際の費用は鍵の種類、作業の難易度、時間帯(深夜・早朝料金の有無など)、部品交換の要否によって大きく変動するということだ。

「鍵の紛失」によるトラブル、開けるのにいくらかかる?トラブル回避のための重要ポイントとは?

出典/BEST「【独自調査】鍵トラブルを徹底分析!」

予想外に高額な請求をする鍵開け業者に消費者庁が注意を呼びかけ

国民生活センターは、「鍵開けで高額請求された!」トラブルがあったことを公表した(2022年2月4日)。鍵の紛失に気づき、インターネット検索で「○千円~」と表示する事業者に連絡したところ、自宅に来た作業員から「特殊な鍵だから」と7万円以上の料金を請求された、というもの。

こうしたトラブルを受けて、消費者庁は悪質な事業者に行政処分を行うとともに、「予想外に高額な請求をする鍵開け業者にご注意を!」というチラシを作成して公表した。

「鍵の紛失」によるトラブル、開けるのにいくらかかる?トラブル回避のための重要ポイントとは?

出典/消費者庁「予想外に高額な請求をする鍵開け業者にご注意を!」

チラシの内容によると、次の3つのポイントを挙げている。
【ポイント1】まずは管理会社へ連絡を。インターネット検索にも注意
【ポイント2】想定とかけ離れた金額だったら契約しない!他の手段も検討を
【ポイント3】クーリング・オフできないと言われても・・・あきらめないで

補足説明をすると、まず【ポイント1】には、2つのポイントがある。賃貸住宅であれば、管理会社か大家に、分譲マンションであれば管理会社(自主管理なら管理組合)に、まずは連絡しよう。管理会社にもよるが、24時間対応しているところなら深夜でも連絡ができる。そこで対応方法を確認しよう。

また、万一に備えてあらかじめ、鍵を紛失した場合の対応方法を確認しておけば、落ち着いて行動できるだろう。なお、犯罪に利用される恐れがあるなら、警察への連絡も検討したい。

管理会社などに連絡がつかない場合で鍵の開錠を依頼するなら、インターネットで事業者検索することが多いだろう。とはいえ、検索結果の上位に表示された事業者が安心というわけではない。どういった作業(出張、開錠、交換など)にどの程度の費用がかかるのか、キャンセル料の有無なども確認したい。

作業員の提示する金額が高すぎると思ったら、契約をしない、他の事業者に費用を確認するといったことも必要だ。

【ポイント3】のクーリング・オフというのは、「訪問販売による取引は、契約書面を受け取った日から8日間以内であれば、原則として無条件で契約解除ができる」というもの。

ただし、消費者側が事業者の訪問を求めた場合に、クーリング・オフが認められない場合がある。消費者庁では、「例えば、ウェブサイト上の安価な作業料金を見て訪問修理を依頼したにもかかわらず、実際には高額な作業料金を請求されて契約した場合など、消費者がもともと高額な作業料金を伴う契約を締結する意思を有していなかったといえる場合には、通常どおりクーリング・オフが認められる」としている。

「クーリング・オフできない」と言われてもあきらめずに、「消費者ホットライン:188(いやや!)」に相談しよう。

鍵の紛失後、鍵が見つからないという場合、防犯上の理由から鍵全体の交換が必要になることもある。自身の過失なので、そうした費用も負担することになるので、鍵を紛失しないように日ごろから注意したい。夏休みに入って、長期間外出する機会も増える。くれぐれも鍵の管理を忘れずに。

●関連サイト
BEST「【独自調査】鍵トラブルを徹底分析!1位は「鍵の紛失」(8,341件)、意外な原因と費用相場も公開!」
鍵のお助け本舗サービスホームページ
MAMORIO【鍵の紛失に関する実態調査】過去1年間で「手元になくヒヤッとした経験」56%、紛失後「見つからなかった」との回答は約45%に
消費者庁チラシ「予想外に高額な請求をする鍵開け業者にご注意を!」

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