台風被害のなかで特に脅威なのが風による被害。なかでも屋根瓦が飛んでしまうと、雨漏りがしたり、飛んだ瓦によって人的被害が起こることも。
少し調査すると、沖縄では琉球赤瓦という瓦が古くから利用されていることが分かった。強風にも耐えられる瓦のようだが、その特徴について、赤瓦に詳しい『沖縄県琉球赤瓦漆喰施工協同組合』に伺ってみた。
琉球赤瓦が沖縄で使われ始めたのはいつごろ?
「瓦自体はグスク時代(鎌倉時代から室町時代に相当)から使われていたようです。しかし当初は現在認知されている『赤瓦』ではなく『高麗系瓦』と『大和系瓦』の2種類で、色は灰色系の瓦でした。18世紀前半には赤色が生産され始め、次第に主流になっていったようです。ただし、瓦の使用は首里王府により制限されており、首里の士族や那覇以外には認められていませんでした。制限令が解除され、一般庶民が瓦を自由に使えるようになったのは1889年(明治22年)以降です」瓦の使用が首里王府によって制限されていたとは驚きだ。では続いて、赤瓦の特徴について伺った。琉球赤瓦の屋根は2種類の瓦を使うようだが、その使用方法とは?
「2種類の瓦とは、丸瓦と平瓦のことです。沖縄では丸瓦は男瓦(ウーガーラ)、平瓦は女瓦(ミーガーラ)と呼びます。屋根面に床板を張り、まず軒先から大棟に向かって女瓦を垂直に葺きます。では、琉球赤瓦はなぜ台風に強いのだろう?
「沖縄には夏から秋にかけて猛烈な暴風がやってきます。長時間にわたる場合が多いので、瓦を葺き並べただけでは十分ではありませんでした。そこで、瓦が飛ばされないよう漆喰の使用を考えたのです。漆喰は男瓦の側面と継ぎ目に塗ります。それにより台風の被害を最小限に抑えることができるようになりました。また、台風対策のほかにも、琉球赤瓦は吸水性が高く、言い換えれば通気性が高いといえます。屋根の木構造を湿気から守り、かつ沖縄の強烈な日差しによる建物の温度上昇を和らげる効果があるのです」沖縄の青い空と海に、漆喰の白と瓦の赤が映える琉球赤瓦。見た目の美しさだけでなく機能的にも優れた、沖縄の厳しい風土が生んだ瓦だといえるだろう。
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