夏になると、なぜかスパイシーなカレーが食べたくなる現象を何と呼ぶのでしょうか。作るとなると時間がかかりますが、今は手軽に食べられるレトルトカレーが、スーパーやコンビニでたくさん売っていて便利。
筆者はよく『無印良品』で、いろんなカレーを買ってストックしているのですが、つい先日、ローソンのオリジナル「バターチキンカレー」を買って食べたら、かなり本格的で美味しかったんです。
そこで調べてみると、セブンイレブン、ファミリーマートにもオリジナルの「バターチキンカレー」が存在することが判明。さらにカルディや成城石井にもありました。そう、バターチキンカレーは、いつの間にかニッポンの定番カレーの一つになっており、しかも各社しのぎを削りつつ、熾烈なバターチキンカレー戦争が水面下で行われていたのです。
となれば、この中から自分が一番好きなバターチキンカレーを探し出さねばなりません。そこですべて買ってきて食べ比べてみると、見た目は似ているものの、かなり個性が異なることがわかりました。そんなわけで、今回は各社の食べ比べレビューを一気にご紹介したいと思います。
各社ごとに個性あふれるバターチキンカレー

まず、各社のバターチキンカレーのスペックは以下の通りです。
1.セブン「バターチキンカレー」213円(180g)228lcal
2.ファミマ「バターチキンカレー」228円(180g)209kcal
3.ローソン「バターチキンカレー」348円(180g)331kcal
4.成城石井「バターチキンカレー」453円(180g)288kcal
5.カルディ「バターチキンカレー」321円(180g)301kcal
6.無印良品「クリーミーバターチキンカレー」490円(180g)395kcal
量は各社180gと一緒ですが、最高値は『無印良品』。いつも買っていたのですが、こうして比較するとけっこうお高めだったのに驚きました。とはいえ、味の好みは値段に比例するとは限りません。では食べ比べていきましょう。
まずはチキンの比較からスタート!
バター“チキン”カレーというからには、やはりメインのお肉、つまりチキンの大きさや量が気になります。そこで、器に出して比べてみると、下のようなことがわかりました。
1.セブン
量:普通、肉サイズ:大きめ、肉質:柔らかめ
2.ファミマ
量:普通、肉サイズ:小さめ、肉質:硬め
3.ローソン
量:多い、肉サイズ:大きめ、肉質:柔らかい
4.成城石井
量:多い、肉サイズ:鶏手羽元1本、肉質:柔らかめ(ほろっと骨から剥がれる)
5.カルディ
量:少ない、肉サイズ:小さめ、肉質:硬め
6.無印良品
量:やや少ない、肉サイズ:小さめ、肉質:硬め
カレーに肉のボリュームを求めない、という人は気にしないでしょうが、筆者はやはり肉が好き。だからチキンカレーには、鶏肉の味や食感も期待しています。なのでこのチキン比較では、セブン、ローソン、成城石井の肉が合格ラインだと思いました。
カレーそのものの味わいは? まずはセブンから!

では続いて、カレーそのものの味わいです。これもかなり好みが違うとは思いますが、筆者の好みで星5つ中いくつかも交えて、1つずつ紹介していきましょう。
まずはセブンの「バターチキンカレー」から。
スペックで紹介したように、6つの中で最もリーズナブルな213円です。しかし、舌触り・風味ともにかなり秀逸。野菜と肉がしっかり煮込まれた、とろりとした粒感を感じます。バターの風味も濃厚で、まろやかなコクがあり、トマトの酸味は強くありませんが、旨味は十分。肉の量、大きさ、質も総合して考えると、かなりの高得点。☆4つです。
ファミマのバターチキンカレーは甘め

次はファミマの「バターチキンカレー」。価格はセブンに次いでリーズナブルな228円です。こちらは、セブンとは違い、非常になめらかな舌触りで、料理のソースのような感じです。そして、味はかなり甘め。
もともとバターチキンカレーというと、マイルドなカレーを想像すると思いますが、その上を行くようなマイルドさです。これなら、お子さんも喜んで食べられるハズ。しかし、その一方でスパイシーさがなく、肉の量や質も勘案すると、☆は2.5あたりでしょうか。
ローソンのバターチキンカレーはかなり優秀

続いて、ローソンの「バターチキンカレー」。お値段は348円と、今回の6品の中ではちょうど中間くらいの価格。こちらは名店『新宿 中村屋』とのコラボ商品なので、コンビニ商品としてはややお高め設定になっているのだと思われます。
このカレー、他のカレーより飛び抜けて感じるのは、トマトの力強い酸味と旨味です。それだけでなく、ちゃんとスパイス感もありつつ、クリームやバターのまろやかなコクも強い。そして、前述したように肉量が多く、肉の質感も柔らかくて、筆者的には文句なし。というわけで、総合得点として☆は4.5をつけたいと思います。
成城石井のバターチキンカレーはものすごく贅沢

続いて『成城石井』のバターチキンカレーです。453円と、この中ではやはり高いですね。しかし成城石井にはカレー専門店監修のレトルトカレーがたくさんあり、800円以上するものもあるので、その中で比較すると、実はこのオリジナル商品はお手頃だったりします。
肝心の味ですが、お値段同様、リッチなタイプ。前述したように、骨付きの鶏手羽肉が丸ごと1本入る時点でほかとは違いますよね。そしてカレー自体の味わいもかなり複雑。舌の肥えた人に向けた味づくりがされているような印象。
料理マンガ的な感じで表現するならば、ひと口目はワインのようなコク深さと芳醇な風味があり、そこにトマトのさわやかな酸味が追随、その一番奥に隠されたチキンスープのダシの深みがじわっと感じる…といった感じでしょうか。
調べてみると、なんとこのカレー、イタリア産24ヶ月熟成パルミジャーノ・レジャーノを加えているんだそう。骨付きの肉のほろっと骨から剥がれる感触と、その肉を食べたときのしっかりした歯ごたえと旨味。後からくるほどよい辛さも絶妙。ワインと一緒に楽しみたいようなカレーです。しかし、お値段がお高めなので、ここは☆は4.5とします。
カルディのバターチキンカレーはさすがの味。ただ肉の量が…

続いてカルディの「バターチキンカレー」です。カルディといえば、いわずもがな、アジア系食材の宝庫。そしてオリジナルでエスニック系のレトルト食品もたくさん作っており、味にも定評があります。店によってはカレーのコーナーも設置されていて、インド・アジアのレトルトカレーも種類豊富。期待できますね。
その「バターチキンカレー」は、独自にブレンドしたスパイスとバター、生クリーム、トマトの酸味、さらにカシューナッツの丸みのある脂を加えたというひと品。カレーソースはクリーミー感とスパイスのキレが共存しており、さすがエスニックな味づくりに長けたカルディらしさにあふれています。ただし、残念なことに今回の中ではチキンが最も少ないので、☆3.5とします。
無印良品のバターチキンカレーは?

最後は、『無印良品』の「クリーミーバターチキンカレー」です。冒頭にも書いた通り、これまで筆者がもっとも食べてきたのがこれです。しかしお値段は今回の中で最も高く、490円。
そのカレーの味わいですが、「クリーミー」と商品名にあるとおり、他に比べてダントツでクリーミー。
よく言えば全体的にとがった感じのない優しい味わい。難を言えば、全体的に甘く、スパイス感が弱いです。さらに肉の量もやや少なく、なおかつパサパサした食感なのが残念。というわけで、これは☆3です。
まとめ

というわけで、まとめです。
あくまで個人的な意見ではありますが、☆4.5の『ローソン』「バターチキンカレー」(348円)と、同じく☆4.5の『成城石井』の「バターチキンカレー」(453円)が、筆者的に最も美味しいバターチキンカレーでした。
こうして同じ名前の商品を並べて食べ比べてみると、改めて自分の好みにも気づけてかなり面白いですよ。ぜひカレー好きの方はお試しを!
(撮影・文◎土原亜子)