●美人店主が営む人気ラーメン店を調査!

 JR、小田急、箱根登山鉄道、伊豆箱根鉄道など西湘エリアのターミナル駅・小田原。箱根にも近いことから、最近では外国人観光客も多いこの街に、人気ラーメン店があります。

駅を出て徒歩5分ほどの場所にある『らぁ麺 桃の屋』は、小田原エリアでは珍しいあっさり中華そば系、澄んだスープのラーメンが味わえるお店です。

「そもそも小田原には、昔から豚骨醤油ベースの濃厚なラーメン『小田原系ラーメン』を出すお店が多かったんです。なので、あっさりスープのラーメンは、きっと需要があると思っていました!」。と話すのは店主の隅田真代(すみだまさよ)さん。

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借金1000万から小田原の名店へ! 美人店主が営む『桃の屋』(小田原)のあっさり系ラーメンが愛される理由
 小田原駅東口から徒歩5分の場所。店内はオレンジを基調としたカフェのような雰囲気。7席のみのこじんまりとした店内

 10代の頃から飲食店をやりたいと考えていた隅田さん。さまざまなアルバイトを経験したのち、東京・世田谷区にある煮干し醤油ラーメンのレジェンド店『せたが屋』に就職し、ラーメンの基礎を学びます。

その後、新宿御苑にあるつけ麺の店『小麦と肉 桃の木』の初代店長になり退職、故郷である小田原に一度戻ってきます。

「『せたが屋』にご縁があって就職してラーメンを学ばせていただきましたが当時は、もう少し他のものも勉強したいという気持ちが強かったので、小田原にある製パン店で修行したり、サービスが良かった新宿御苑のハンバーグ専門店に料理と接客のノウハウを教わったりしました」。

 ラーメンか、パンか、ハンバーグか。いよいよ自分の店を開こう、となった際、隅田さんが選んだのはラーメンでした。「小田原という街のニーズと、母親と2人でできるかどうかを考慮した結果、ラーメンにしようと決意しました」。

 ここから、開店に向けて隅田さんの戦いが始まります。

母親を巻き込んで地元小田原でラーメン店をオープン!

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厨房で主に料理をするのは隅田さん。お母様は接客と調理のサポート。親子だからこその阿吽の呼吸で厨房を回す

 当時まだ20代だった隅田さん。開店に向けてさまざまな困難が待ち受けています。まず最初の難関は、どんなラーメンにするのか?

「当時の私は、『せたが屋』のラーメンの知識しかないため、どれが正解なのか分からず、なかなか自分の思い通りの味に辿り着きませんでした。いわゆる、スープの軸となるものをどうするか。鶏なのか豚なのか。老若男女に愛されるラーメンを目指して、何度も試行錯誤を続けました」

 もちろん、同時進行で店を出す場所も探します。

「物件探しも本当に苦労しましたね。

いろいろ見たのですがなかなかなくて。お客さんに目が届く程度の広さで、小田原駅から徒歩圏内の場所を探していたのですが、本当に見つからなかった。当時、隣の隣の店でアルバイトをしていたので、オーナーのご厚意で、ここの大家さんに、貸してもらえないか聞いてもらったのがきっかけでした」

借金1000万からのスタート、でも不安は無かった!

借金1000万から小田原の名店へ! 美人店主が営む『桃の屋』(小田原)のあっさり系ラーメンが愛される理由
店の看板メニューの一つ「こく旨醤油味玉らぁ麺」1000円。味玉なしの場合900円に

 当時、空き家だった店の元々は居酒屋。何年も前に閉店してずっと閉まっていたため、店の中は廃墟のような状態だったそうです。そのため1000万かけてリノベーションすることになりました。つまり20代女子、しかも経営初経験でローンを組むことに。しかし、そこに不安はなかったそうです。

「なんか大丈夫、いけると思っていましたね。周囲から、初期投資でそこまでお金をかけるんて絶対にやめた方がいい、と言われたりもしたのですが、味は美味しいし、ちゃんと個性もある。ここを綺麗にすれば絶対にいけると。それにここの大家さんがとても好意的で、リフォーム代は負担しないけれど、家賃はいくらでもいいよ、みたいなありがたい言葉をいただきました。なので、お知り合い価格、みたいな良心的価格で借りているんですよ」

 たまたま隣の隣でアルバイトをしていたことから借りることができた現在の立地。人の縁も隅田さんを支えてくれました。

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こちらは「あっさり塩味玉らぁ麺」1000円。トッピングの『塩レモン』にこだわりあり!

 小田原には少ない、あっさり味のラーメン、老若男女に愛されるラーメンを作るべく、試行錯誤は続きます。そして、やっと決まったのが、大山地鶏をメインに、開店当時は丸鶏を、今は鶏ガラをベースにしたスープです。

 さらに、小田原出身だからこその小田原らしいラーメンも追求。「小田原、西湘といえばやはりレモン。“このレモンを使って何かをしたい!”と思い生まれたのが、塩味らぁ麺のトッピングである『塩レモン』。1ヶ月ぐらいレモンを漬け込んで作っています」

借金1000万から小田原の名店へ! 美人店主が営む『桃の屋』(小田原)のあっさり系ラーメンが愛される理由
鶏をベースに、野菜、昆布、舞茸などで作るスープ。旨みしっかり、しかしどこか軽やかな美味しさ

 店のリフォームが済み、ラーメンの味も決まり、2019年8月1日にオープン! 隅田さんが想定していたように、あっさり味のラーメンは地元の人たちに評判を呼びます。

「小田原の街は年配の方が結構多いので、小田原系のコッテリしたものが重たく感じる人も多かった。あっさりした中華そばみたいな味だから喜んでもらえたと思っています」。

 そして、ラーメン好きからは、隅田さんの、元『せたが屋』、『桃の木』の初代店長、という経歴も注目されました。

「オープンしてからも、口コミやネットはもちろん、その経歴から取材も多く受けました。仕入れ業者とのつながりなど、『せたが屋』には今でも本当に感謝しています」

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麺はストレートの細麺。ちなみに、醤油味と塩味では味玉の味付けも変えている

 開店後、行列ができるほどの人気店となった『桃の屋』。最初は小さな店でと思って始めたのですが、今となっては、もう少し席数があった方が良かった、と思うこともしばしば。

「せっかく来てくれたのに、お客さんが並んでいると、早く食べなきゃ、という風に慌てて食べていただくことになるので申し訳ないなと。本当はゆっくり味わっていただきたいのですが。2階に客席を作れば、と言われることもあるのですが、そうなるとお客様の顔を見ながらの提供ができない。難しいところですね」。

 カフェ風の綺麗な店内にしたのは、お客様に居心地の良さも提供したかったから。人気店ならではの悩みです。

女性店主ならではの珍しいカレーやデザートも

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(左)「桃の屋特製カレー」900円、(右)期間限定の「デザート」300円。この日はほうじ茶プリン

『桃の屋』の魅力の一つに、サイドメニューやデザートがあります。「桃の屋特製カレー」(900円)は、ラーメンと同じスープで4時間煮込んだ濃厚カレー。ラーメンのすっきり味に対し、カレーはしっかりと濃厚な味わいです。トッピングはやまゆりポークのチャーシューと味玉、というのもラーメン店らしさを感じる組み合わせです。

 ちなみに、セットメニューもあり、塩または醤油らぁ麺にミニカレー・ミニチャーシュー丼・月替わりの小飯の3種類またはミニピクルス、ミニグリーンジュース、今月のデザートのいずれか1つをつけて1100円。ラーメンが味玉入りの場合1200円になります。

「ラーメンの専門店の場合、ラーメンとライス、ラーメンと餃子などのセットはあるけれど、スイーツセットはまずないですよね。元々は女性に来てもらいたいと思い、ラーメンと一緒に野菜がとれたらと考えてピクルスや野菜ジュースをセットにしました。お客さんも常連になると、昨日はチャーシュー丼だけれど、今日はピクルスにしようかな、とかデザートにしようかな、と思っていただける。今月の小飯と今月のデザートは1ヶ月~1ヶ月半ぐらいでメニューを変えています」

もしかしたらハンバーガーの店を出しているかも? 今後の目標とは

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「5年を目処にやってきて今年で5年目。新しいことを始めたい気持ちもあります」

 最後に、隅田さんに今後の展開を聞くと、「いくつかありますね。まず一つ目は味のリニューアル、全く違うラーメンを出す。もう一つはラーメン店をやめて、ハンバーガーの店を出す、またはパンのお店を出す。今度の8月でちょうど5年になるのですが、新しいことに目を向けたいなと。ただ、これまでに守ってきたものもあるので、いきなり誰かに任せる、ということはできない。もしかしたら、すぐにではないですけど、ちょっと何か変化をつけたいかな、と考えています」。

 5年お店が続いたことをお客様に感謝しつつ、新しいことも考えていきたいという隅田さん。新しいラーメンが小田原に誕生するのか、または、これまでの経験を活かした、別ジャンルの飲食店をオープンさせるのか、今後に注目です!

(取材・文◎いしざわりかこ)

●SHOP INFO

店名:らぁ麺 桃の屋

住:神奈川県小田原市栄町2-10-8
TEL:0465-25-5485
営:11:00~17:00、金土日~19:30(各L.O.)※スープがなくなり次第終了
休:水曜