「生活はタンパク質で踊る」題して毎日、タンパク質にまつわる情報をお届けしますが、今回の生活情報で取り上げるのは「子どもとたんぱく質」について。
昨今、たんぱく質不足がさまざまな報道で指摘されていますが、子どもも例外ではありません。
お話しを伺ったのは「赤坂ファミリークリニック」院長の伊藤明子さん。
伊藤先生は、東京大学 医学部附属病院の小児科医でもいらっしゃって、子どもの食を医学的な観点から研究されています。「医師が教える 子どもの食事 50の基本」という著書など子どもと食事に関する本も出されています。
そんな伊藤先生に、まず、「なぜ子供にタンパク質が必要なのか」について伺いました。
タンパク質は骨にももちろん必要ですし、皮膚を肌にも、タンパク質が必要で免疫にもタンパク必要なんですね。体の中で免疫の働きをする抗体っていうのも、実はタンパクでできている分子なので、タンパクが足りないと免疫も落ちるっていうのがあります。さらに、もっと大事なのが、タンパク質から作られるもの、その内の一つが「脳内ホルモン神経伝達物質」というものがあります。つまり、「機嫌よく過ごすためのセロトニン」とか、「元気にエネルギーを作るためのドーパミン」とか、あるいは「睡眠のためのメラトニン」とか、「痛みを感じなくさせてくれるエンケファリン」というホルモンがあるんですがそういったものもタンパクからできているんです。タンパク質が結構足りない子が多いんですけども、タンパクが少ないと機嫌よく過ごせなかったり、あるいはいつも何かどっか痛くなりがちだったり、ていうようなこともあるので、しっかり取っていただきたいっていう風にいつも患者さんたちにご指導してます。
こちらのクリニックでは、ほとんどのお子さんに血液検査をしているそうなんですが、普通に健康で元気に見えても結構な割合でタンパク足りない方が多いそうなんです。タンパク質は筋肉だけでなく、骨・皮膚・免疫・脳内ホルモンなどにも不可欠。
では、何歳くらいからタンパク質を摂ればいいのか。
さらに、子どもにしっかりとタンパク質を摂って欲しい年齢があるそうなんです。
離乳食が大体生後6ヶ月ぐらいから始まるんですけど、もう生後6ヶ月に離乳食始めるときから、タンパク質が取れているか、私達は指導してます。なぜかというと、離乳食のときに実はタンパクが足りない赤ちゃんがすごく多いんです。タンパクの食材が足りないと、もうそれだけで他の栄養素も合わせて減ってきちゃうんですね、鉄・ビタミンD・亜鉛などなので、いろいろ足りなくなっちゃうので、しっかりタンパク質食材を、生後6ヶ月の離乳食のときから意識してあげてくださいとお伝えしてます。
女子だと、10歳11歳ぐらいが成長スパートといって一番体が一生の中でバンと大きくなるときなので、そういうときこそ、より多くの栄養素が必要になります。また男子の場合は12歳13歳が成長スパートの時期なので、そのときにやっぱちょっと足りなかったりすると、痩せてしまったりとか機嫌が悪くなったりとかね。いわゆる思春期のっていうのがなりやすくなるので、そういうときこそしっかりタンパク質を食べてほしい時期ですね。
離乳食(生後6か月)開始時からすでに不足が起きやすい。タンパク不足は鉄・ビタミンD・亜鉛不足も招くそうなので注意が必要。
また成長スパート期(女子10~11歳、男子12~13歳)は大人並みのタンパク量が必要。
では、子どもはどのようにタンパク質を摂ればいいのか、日常でのたんぱく質の摂取方法と工夫について伺いました。
子どもにタンパク質あげるっていうときに、動物性のタンパク質と植物性のタンパク質、その両方を取ることで、アミノ酸全部がしっかり取れるので、卵、魚、お肉、そして納豆、豆腐、きな粉、高野豆腐という植物性と両方ですね。その辺を取ってほしいです。
タンパクの取り方の量としては、多くの方が朝あんまり食べ図、お昼は給食だったりしますよね。それはかろうじて足りてる量かギリギリっていう感じなんです。多くの方が夜、ガーンとタンパク質を摂るっていう方が大人も子どもも多いんですけども、それだと足りないですしバランスが崩れています。なので、「朝から3食しっかり手のひらいっぱい指先までの分量のタンパク質を摂る」というのがポイントです。特に朝ご飯にしっかりタンパク質を量をとると、きちんと代謝されて脳の中で活用されるいうものになります。
朝おすすめのタンパク質はまず卵です。卵を1、2個、調理の仕方、食べ方としてはこだわりませんので茹で卵でもいいし、卵焼きでもいいし、オムレツでもいいし、どんな形でもいいのでしっかり卵は1、2個で、なおかつそれだけでも足りないので例えばタンパクがたくさん入っているヨーグルトっていうのが最近お店にありますので、そういったものを1パックにタンパクが大体10gとか、15gとか入ってるので、その2つで、タンパク量としては大体卵1個で6gなんですね大体それで10gタンパクが入ってるのが取れたら、合わせて16。それがミニマムですね。
伊藤先生が、「朝昼晩、手のひらいっぱい指先までの分量のタンパク質を摂る、というのがポイントです。」とおっしゃっていましたが、これは、子どもが1回の食事で食べるべきタンパク質量を“手のひらサイズ”でイメージしましょうという意味。要するに、子どもが自分の手のひらサイズの肉・魚・卵・豆製品を、1日3回ちゃんと食べて下さい、ということ。
また、動物性タンパク質と植物性タンパク質の話が出てきていましたが、割合は、気にせずに「とにかく毎食、両方ある」と状態が理想なんだそう。

ぜひ、参考にしてみて下さい!
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)