最近、ひとり親家庭をめぐる支援の動きが行政や地域を含めて広がっています。

ひとり親世帯の所得、特にシングルマザーの所得は全国平均の半分ほどしかないという実態も示されていて、経済面での課題はまだ根強い状況です。

また、仕事と子育てを一人で担うなか、賃貸の審査に通らず、住まい探しに行き詰まるケースも・・・

自治体初!シングルマザー専用シェアハウス

そんな中、公営住宅を活用した「シングルマザー専用シェアハウス」を作った群馬県の取り組みについて、群馬県・生活こども部の近藤めぐみさんに伺いました。

群馬県 生活こども部 こども・子育て支援課 子育て支援係長 近藤めぐみさん

県営住宅に入居している方の5分の1がシングルマザーという統計が当時ありまして、シングルマザーに特化したシェアハウスということを検討したのが実情にはなっていますね。本来ですとワンフロアに9部屋あるフロアなんですけれども、そのうちの7部屋がシングルマザー向けシェアハウスになってまして、一つがシングルマザーの皆さんが共有で使える共有リビングという形で設定しています。冷蔵庫ですとかテーブルだったり、小さいお子さんが当時多かったのでクッションフロアを敷いたりですとか、おもちゃみたいなものも置いたりして、ちょっとうちが今この子預かってあげるから病院行っておいでよみたいな・・・お互いの助け合いができるようなお部屋としてしつらえてはおります。聞いてる範囲では自治体が行っている取り組みとしてシングルマザーに特化したシェアハウスっていうものとしては初めてかと思います。

共有リビングの他にも、オートロック、入居者以外の方(中学生以上の男性)のフロア通行禁止などのセキュリティの徹底。1階には地域開放スペースがあり、地域の方向けのイベントやこども食堂などの支援事業に使うこともできます。シェアハウスは現在満室となっていて、入居待ちの方もいる状況です。

群馬県では、子育て世帯やひとり親世帯の割合が全国平均を上回っていて、2020年の国税調査では、ひとり親世帯は1万1931世帯にものぼります。

公営住宅の老朽化によって空室が目立つことからリノベーションを始めて、このような取り組みに繋げた群馬県、シングルマザーの支援の必要性を実感していると話します。

実家のような存在に。「じじっか」って?

ここまでは、入居者のひとり親世帯を支援する取り組みのご紹介でしたが、それぞれバラバラに暮らすひとり親世帯が集う場所、福岡県久留米市の「じじっか」という取り組みにも注目しました。取り組みについて、じじっかの副代表・樋口由恵さんに伺いました。

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じじっか 副代表 樋口由恵さん 

もともと母子家庭の集まりみたいなところでやってたときに、お母さんが「頼るところがない、実家がない」っていう話をしてきてくれて、実家をモチーフにしているっていうところと、血縁がなくても大家族になれるっていうことをコンセプトにしているので、私たちがその方たちに何かをするっていうよりも、この場所で共に暮らしているっていう、週末を過ごすっていうところです。今、ひとり親家庭というカテゴライズではなくても、障害を持っている方もいれば、二人親の家庭もあるしっていう。ただその中で、本人が居場所がないとか、生活的困窮をしているとか、そういうのもあって、ここにたどり着く方が多いかな。一応年齢制限は設けさせていただいてるんですけど、0歳から、申し訳ないんですけども150歳までというところで区切らせていただいてます。

0歳から150歳まで!ほとんど誰でも参加できそうですね。

通常は、金・土・日の週末に運営していて、例えば子ども食堂と同じようにみんなで食事をしたり、遊んだり勉強したり・・・まるで家庭のリビングでの生活を見ている感覚なんです。

ひとりで抱えない子育て 地域が作る「新しい家族」
ひとりで抱えない子育て 地域が作る「新しい家族」

その他にもイベントや子供たちの夢を応援する取り組みも。例えば「3人4脚プロジェクト 自分流計画」

15歳~25歳の10人を対象に、3人4脚(じじっか×参加者×参加者の親)で自分流を追求していくために計画し実行を繰り返し行う約10ヶ月のプロジェクト。

参加者のチャレンジは様々で、ワンマンライブをしたい、動画配信者になりたい、仲間づくりをしたい、などなど・・・。そのチャレンジを周りの大人が全力でサポート!親だけでなく、子も成長できる仕組みがありました。

現在は全国330世帯が利用登録をしていて、「ファミリー婚姻届け」通称ファミコンを提出すればだれでもじじっかのファミリーになれます。

ひとりで抱えない子育て 地域が作る「新しい家族」

この「じじっか」で繋がった利用者の方は、それぞれが困ったときに助け合える関係。

例えば子供のクラブ活動の送迎、病院の間に預かったり、お宮参りに授業参観まで・・・!これらは利用者の皆さんが自発的に自然な助け合いとして行っているそうで、なぜここまで行動できるのか?と伺うと、「それが当たり前になっている、私も助けてもらったから」と。素敵な相乗効果ですよね。
こうした、行政のひとり親支援では手が届かない細かい部分をじじっかの繋がりで支えたい、そう話していました。

ひとりじゃないと実感した

こうした「じじっか」の取り組み、実際に利用した人の暮らしをどう変えたのか、利用者の方のお話です。

人づきあいが苦手で。その時はもうほんとに貧困で電気も止まる・・・。そっから未だに忘れられないのが、毎日のように「家計簿つけろ、家計簿つけろ」って。見える化しろって言われて、そっから家計簿つけるようになって、無駄なお金が見えるようになって、そっから自分のメインの仕事が取れるようになって変わったっていうのもあるし、歳もとったし穏やかになって・・・だからといってここの人たちが全肯定なわけじゃないですよ。いろんな意見があるからそこでピックアップして自分でこうなんだなっていう。あとここは排除しないっていう考えがあるからだから一人じゃないんだなっていうのは分かる。

時には厳しくアドバイスすることで、その人に必要なものはなにか、本人が気づいていない得意ななにかがあるか。そんな部分を「じじっか」で気づくことができたと話していました。

ひとりで抱えない子育て 地域が作る「新しい家族」

家族の形も、支援の形も、共通しているのは、ひとり親を「孤立させない」こと。ひとり親世帯を支える仕組みづくりがより充実することに今後期待したいですね。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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