今朝は食べ物から作った紙のお話。まず一つ目はお味噌から出来たという八丁味噌紙。
八丁味噌紙を作った、愛知県岡崎市の株式会社岡田印刷・常務取締役の岡田翔さんに八丁味噌紙誕生についてお話を伺いました。
捨ててしまう味噌蓋を紙に!!
株式会社岡田印刷常務取締役 岡田翔さん
「弊社が100年を超える印刷業をやっておりまして、紙についてはずっと取り扱ってきた商品だったんですが、昨今のSDGsというか、印刷業として新しい展開を模索していて、私たちが愛知県岡崎市に構えておりますので、その岡崎市の地域と共に、何か新しい価値を生み出していきたいというところで、元々取引がありました八丁味噌さんですね、何か八丁味噌さんのお困りごとを印刷、紙で解決できないかなとアイデアを出し合っていたところ、じゃあ八丁味噌でどうしても廃棄してしまう部分があるから、そこを何かしらの形で再利用できないか、じゃあ紙にしちゃえ、というところで八丁味噌紙が誕生した次第です。」
八丁味噌は、味噌樽の中で何年か熟成して商品となるわけですが、その際どうしても空気に触れて固くなってしまう表面部分があります。これを蓋味噌と言いますが、この蓋味噌は家畜肥料に使う他は破棄せざるをえなかった。今回、この蓋味噌を紙にしました。
<これが八丁味噌紙 左に置いたものが白いコピー用紙>味噌汁の倍以上の味噌を配合して味噌感をしっかり出す!
岡崎市の名産品、特産品である八丁味噌が紙になったわけですが、どれくらい味噌を配合するか、ここが非常に大事なポイントで、それが紙を守ることにも繋がる、と、岡田さんはおっしゃいます。
株式会社岡田印刷常務取締役 岡田翔さん
「味噌の配合率、これをどこまで攻めれるかというのを非常に大事にしておりまして、その味噌由来の色というか、それが出る配合率が10%以上。あとは匂いとかも残せないかなっていうので、上限ギリギリを攻めて15%を実現できたという感じです。
みなさんが飲んでる味噌汁ってだいたい6%とか7%なんです。だからその味噌汁よりもより味噌に近い配合率を実現することができたというところで、結構試行錯誤をした甲斐があったなと感じております。
白い紙なんだろうけどほのかに茶色いぞみたいな、ちょっと汚れた紙みたいになっちゃうので非常に大事だなと思っております。
主に名刺として、弊社もそうですし八丁味噌さん、地元の商工会議所や自治体、市役所さんとか導入をしていただいている状況です。印刷会社の視点からしますと、名刺交換っていうのはまだまだ残っている文化で、言い方を変えると、開封率100%のDMなんですよ。確実に見てもらう情報源になりえますので、非常にこういった特性を持った紙とは相性がいいな、と考えております。」
一般的な味噌汁の倍以上の味噌を入れ込んだ八丁味噌紙。味噌蔵のプロたちは、味噌の香りがすると言ってくれているそうですよ。
とはいえ、明らかに色は味噌の色。名刺交換の際に「八丁味噌紙なんですよ」と言うだけで、特産品の話が出来る。ペーパーレスが進む世の中で、付加価値のある紙で「開封率100%のDM、つまり名刺」に使うことで、紙そのものの存在価値も守っていこうとしているんです。
野菜を使った和紙~越前和紙のフードペーパー
一方、伝統工芸品の越前和紙を作る工房では、また他の食べ物を使った和紙を漉いています。福井県越前市の株式会社五十嵐製紙の紙すき職人五十嵐匡美さんのお話です。
株式会社五十嵐製紙 伝統工芸士 五十嵐匡美さん
「通常の商品としてのお野菜は、ジャガイモ玉ねぎ、にんじん、みかん、キャベツ、お茶、ネギ、イチゴ、ブドウ、そんな感じです。色んな物をやってきたんですけど、一番・・・これちょっとお野菜とはかけ離れてしまうんですけど、福井県はカニだ!と思って、殻?ズワイガニの、を紙に漉き込んだことがあるんです。そしたらなんか、カニのちょっと傷んだ臭いっていいますかね、それが工場中に広がってしまってすごく大変だったことがあります。カニの殻を乾燥させて粉末状にして紙と一緒に漉き込んでみたんですけど、ものすごいピンク色のカワイイ紙が出来上がりました。風合いも良いし、とってもいい紙が出来上がったんですけど、漉く時がちょっと臭います。(ちょっとじゃないですよね?)そうです、かなり臭います。」
野菜だけでなく、カニまで試していました!カニ、相当臭かったらしいですよ。出来上がりはピンクですごくいい紙なのに残念。
というわけで、様々な野菜を配合した和紙が誕生しました!
和紙の原材料を、和紙を、守るための野菜紙!
五十嵐さんのお子さんが小学4年生の時、身近な食べ物や植物で紙を作るという理科研究を始め、次々と野菜紙を作っていきます。
株式会社五十嵐製紙 伝統工芸士 五十嵐匡美さん
「私がやり始めたのが、きっかけとして和紙の原材料不足があります。年々、原材料の収穫が減って来てる中で、これをどうすればいいかって考えた時に、息子の理科研究にたどり着きました。生産農家さんの高齢化と色々異常気象が続いてる中で、年々収穫量も減って来てるので、注文があるけど漉けないっていう事態にもなりえます、今。
で、それをなんとかしたくて、使用量を今のうちに減らす活動をしようと思って捨てるはずのお野菜を入れ込むことで、使用する和紙の原材料の量を減らしています。まだ今はギリギリ足りていても、もう5年後10年後、50年後先を考えたら、ほんとに今のうちからなんとかしないと、思って、最大50%が廃棄される野菜を入れ込んだ紙もあります。もうほんの少しでも、半分でも4分の一でもと思って、今、一生懸命頑張ってます。」
和紙の三大原料は、コウゾ、ミツマタ、ガンピという木、植物ですが、ガンピはもう今まったく取れなくなっているそうで、五十嵐さんはほとんど入ってこない、と。山に自生のものがあっても、昨今の熊の被害で山には入れないので手に入らない。越前では、ガンピの栽培を研究していますがなかなか簡単ではない、という状況だそうです。
和紙は越前の、日本の伝統文化なので、途絶えないように守っていきたい、とおっしゃっていました。
紙を守るための新しい紙。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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