4月29日(水)まで東京ビッグサイトで開催されていた展示会「SusHi Tech Tokyo 2026(スシテック トウキョウ)」に行ってきました。空飛ぶ車やロボットなど、最新のテクノロジーが集まる中で、今回私が注目したのが「タンパク質の危機」という課題です。

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<「スシテック東京(SusHi Tech TOKYO2026)」テクノロジーの見本市を取材。賑わっていました>

こんにゃくとおからで「トンカツ」!?

世界の人口が爆増する中で、近い将来「お肉の奪い合い」が起きるといわれているんですが、まずは「足りないなら、作ればいい」という発想の会社に話を聞きました。「ディーツフードプランニング」の香取 惟さんのお話です。ディーツフードプランニング 広報 香取 惟さん

こんにゃくとおからで「代替肉」とかを作っている企業です。こんにゃくとおからを混ぜ合わせて加工することによって、「とんかつ」とかそういった商品を世に出しております。こんにゃくだけだとこんにゃくですし、おからだけだとおからじゃないですか。でもそれを混ぜることによって、なぜか知らないんですけれども、マジックのようにお肉っぽいものを本当に作れてます。こんにゃくがですね、もともと水分を多く含んでいるので、噛んだ時のジュワっていう食感が非常にお肉に近い。

100億人の人口になったときに日本は買い負け、タンパク質が手に入らなくなる。そんな中弊社はおからとこんにゃくなので、比較的安価に、牛・豚よりも安く、鶏よりもちょっと高いぐらいの金額で出してるんですけども。「とてもいいね」ということで、採用していただいている企業様が増えています。

こんにゃくとおからを混ぜ合わせて、代替肉(お肉っぽいもの)を作っている会社です。

スシテックで「豚テック」に遭遇! お肉の未来を救う2つの技術
<こんにゃく+おから(デーツ)を使ったトンカツを使ったカツサンド>
スシテックで「豚テック」に遭遇! お肉の未来を救う2つの技術
<ジューシーで弾力があります>

社長さんがもともと奈良のこんにゃく店の息子さんで、精進料理からヒントを得て開発したのが今回の商品だそうです。

おからは現在、食用にされているのはわずか1~2パーセントで、ほとんどが廃棄されています。でもタンパク質は豊富。代替肉といえば「大豆」のイメージですが、これだと豆臭さもなく、お肉を食べないベジタリアンやビーガンの方からも好評です。

すでにホテルや機内食でも採用。今年の売上見込みは、一昨年の12倍。トンカツのほかに「唐揚げ風」「お魚風」の食材も試食させてもらいましたが「言われてもわからないレベル」でした。

AIカメラで豚の体重を一瞬で測る

一方で、「そもそも本物の肉をいかに効率よく、無駄なく育てるか」という課題もあります。こちらも、タンパク質危機を乗り越えるための重要な鍵です。「エコポーク」の沼沢 祐介さんのお話です。

エコポーク 沼沢 祐介さん

養豚農家さんって「出荷最適体重」っていうのがあって、大体100キロ前後なんですが。重すぎてもダメだし、軽すぎてもダメなんですよね。ちょうどいい体重で出すとお肉も美味しいし、スーパーマーケットとしてもちょうどよいサイズなので加工がしやすい。

なんですけれども、豚の体重を測るのってすごく大変なので、ほとんどできてないんですね。

一つは体重計に頑張って乗せる。でも豚さんって110キロぐらい体重があるから、一頭乗せるのにすごい時間かかる。もう一つのパターンは、ベテランの養豚農家さんが「あの子は112キロ」「あの子は114キロ」「あの子100キロしかないから来週まで取っておこう」とか。ただこれは20年、30年やってないとその域に達しないので、できる人は少数ですよね。

私たちのAIのカメラは、一頭一頭の体重を正確に測ってくれる。画像認識で、誤差2~3%で量ってくれる。

調べてみたら、豚が一番大きいマーケットだったから、ここを改善するのが人間の未来の食糧安全保障に一番手っ取り早いんじゃないかなと、これがスタートです。

スシテックで「豚テック」に遭遇! お肉の未来を救う2つの技術
<エコポークのブース>

養豚場の天井にカメラを設置しておくと、豚が通り過ぎるだけで画像認識で体重がわかります。誤差は2~3パーセント。

農家さんの売り上げのすべては「何キロで出荷できたか」で決まるそうです。「重ければ重い方がいい」ではなく出荷最適体重があるのですが、ベテランの域に達しないと体重の目利きはできないし、体重計に乗せることを嫌がって豚がストレスで痩せてしまうこともザラ。だから結局「120日ぐらい飼ったからまとめて出荷しちゃおう」と日数だけで決めてしまう。

これが現場の実態だそうですが、10頭育てたうち4頭は本来より安い値段で売ってしまっているという損失がずっと続いているそうです。

沼沢さんたちは養豚農家に実際に住み込んで、一頭一頭の体重を地道に計測。豚の見た目の形と実際の体重を何万頭分もデータとして積み上げて、このAIカメラを開発しました。去年からいくつかの養豚場で使われ始めています。

牛はできそう、魚は無理、人間は…!?

でもこのカメラ、豚だけじゃもったいない気がして、牛や鶏にも応用できないか聞いてみました。

エコポーク 沼沢 祐介さん

牛はできない?鶏はできない?魚はできない?」とご相談はよくいただきますね。ただですね、鶏って毛がたくさん生えてるでしょう。羽があると中の肉付きがどうなるかっていうのが、羽で隠れて見にくいんですよ。だから鶏はちょっとハードル高いと思います。魚は、前ご相談受けて真面目に話したことあるけど、海の中。水流があるでしょう。水の反射とかでこの角度が全然変わっちゃうんですよ。

だから屈折角の問題とかで、光がカメラに魚が動いちゃって全然無理みたいですね。牛はいける気がしますよね。牛は毛が短いし表面積がある程度見えますかrあ、できる気がします。

(人は?)人は、人は多分そういう会社がたくさんあるんじゃないでしょうかね。私たちはエコポークという会社なので、今は一旦ポークに専念してます。

鶏は羽が邪魔、魚は水の反射で無理、牛と人間はいけそう、でも今は豚に専念、ということでした。世界からも引き合いがあるそうです。

私たちの食卓のお肉=タンパク質を守るための頼もしい技術ですが、こうした一次産業の現場にも、徐々にテクノロジーの力が入り込んでいます。「代替肉」で選択肢を増やすか、「生産の効率化」で本物を守るか。アプローチは真逆ですが、どちらも私たちがこれからも当たり前にお肉を楽しめる未来を作るための「豚テック」でした。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)

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