「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)

若者を中心に年々広がりと成長を見せている「eスポーツ」ですが、今シニア層の健康作りのために「eスポーツ」を取り入れている協会がありました。

シルバーeスポーツ

「さいたま市民シルバーeスポーツ協会」事務総長 水野臣次さんのお話しです。

私達シルバーeスポーツは、さいたま市市民活動サポートセンターに集まりまして、大きなモニター、机ですね、椅子などを借りまして、eスポーツをやっていると。

駅前の施設なんでみんな集まりやすくてですね、便利。また、シルバーeスポーツが終わった後、お茶を飲んだり生ビールを飲んだりということにもですね、月にいっぺんぐらいは集まって、皆さんでやっております。あんまり出たがらないようなおじいちゃんおばあちゃんもですね、ゲームならやってみようかなということで、集まっていただいてるという効果がございます。
(「さいたま市民シルバーeスポーツ協会」事務総長 水野臣次さん) 

水野さんご自身が10年前に脳出血により左手の指がうまく動かない時期があったそうです。その時、病院のリハビリと並行して、空き時間に病室でファミコンを持ち込んでゲームをしていた所、指の重さがとれてきた。それを見た医師から「良いリハビリですね」と声をかけてもらったということでした。

そんな経験もあり、水野さんは、ゲームを通じて脳や指先を使うことで、認知症の予防やリハビリなどにも効果があるのではと、「さいたま市民シルバーeスポーツ協会」を3年前に作りました。

大相撲のゲームなど、キーボードで左右に連打すると言う簡単な操作のものを取り入れ、対戦形式で楽しんでいるそうです。

現在メンバーは20名程。平均年齢は約70歳。一番上で89歳!ただ最近は20代30代など若い世代の参加も増えており、3世代で楽しめると水野さんはおっしゃっていました。

パウチ型日本酒で旅行気分

そんなシルバーeスポーツ、「健康のために」と言いますが、本当に効果があるのか?徳島大学大学院の三浦哉教授のお話しです。

約10年前なんですが、徳島県阿波踊り体操というものが開発され、一般的に普及されています。

私達の研究室では、そのリズムを使って指、前頭前野つまり認知症予防に繋がるような運動プログラムを作って、実際にそれを検証してみました。こういった踊りのリズムに合わせて指とか腕を使うような、特に右左非対象で運動するようなことが認知症の予防に繋がるというような結果を導き出しました。ゲームに関しても、先ほどの阿波踊りのリズムを使った指の運動と同じように複雑なことをするという点では認知症予防には当然繋がるものだと思います。
(徳島大学大学院 三浦哉教授)

徳島では馴染みの深い阿波踊りの音楽のリズムに合わせた「阿波踊り体操」と言うものが一般的に普及しています。三浦教授の研究室では、そのリズムを使って、「指と腕」中心に左右非対称の動きをさせるプログラムを作り、前頭葉への変化などを調べる研究を行いました。その結果、脳の司令塔の役割を果たす前頭前野への酸素供給が増えることが分かり、認知症予防に効果がある事が分かったそう。

eスポーツも、ゲームでコントローラーを操作する際、腕から指で左右非対称の動きをするので、同様の効果を得られると考えられる、というお話でした。また、座って出来るゲームは、高齢者にとって取り入れやすく効果的なので期待は大きいと三浦教授は話していました。

そんなシルバーeスポーツですが、今意外なところでも広がりを見せつつあるんです。再び水野さんのお話しです。

学生、研究者も注目!

さいたま市の地元にあります日本薬科大学というところからも、こういう高齢者の治療に役立つということなら研究をさせてくれなんていうことで、今は日本薬科大学の中にですね、私達と共に一緒に連携してやるという研究室もできまして、私達ジジババがですね、実験材料になりましてですね、研究していただいてると。で学生さんとも交流させていただいてると。

遊びのつもりで健康作りのつもりでやっていたりするシルバーeスポーツがですね、学術的な研究材料にまでなってしまったというですね。面白い展開になってきたかなということで、今楽しみにしております。
(「さいたま市民シルバーeスポーツ協会」事務総長 水野臣次さん)

先程のお話は、阿波踊り体操から類推すると「効果があるかも」ということでしたが、こちらは、シルバーeスポーツそのものを研究しようという動き。今後、eスポーツの本当の効果が解明されるかもしれません。ほかにも日本薬科大学以外の大学の学生さんからも「卒論のテーマにさせてほしい」と連絡が来るなど、今注目を浴び、広がりを見せるシルバーeスポーツでした。

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