TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」

1月15日(土)、16日(日)に大学入学共通テストが行われましたが、15日には東京大学で受験生らが刺される事件。15日から16日にかけてはトンガ沖の火山噴火による津波。

そして新型コロナの“第6波”。今回は、混乱する大学入試の現場について、中村友美ディレクターが取材報告しました。

津波の影響で試験開始が1時間遅れに

16日未明から一時、津波注意報が出された千葉県の九十九里に近い、城西国際大学の東金キャンパスは大学入学共通テストの受験会場となっていて対応に追われました。

「津波の関係で、電車が止まっていたり、時間的にずれたりしていましたので、各駅等々に確認をいたしまして、ちょっと時間通りやるのは難しいような状況もあったものですから、検討いたしまして、ちょうど1時間繰り下げで実施したという形です。前例は…3.11のときに地方の子で、若干、受験ができなくてっていう方いらっしゃいましたけれども、それ以外には今までにあまり記憶にないですね。」
(城西国際大学・入試部入試課・斎藤秀典さん)

一部の受験生が住んでいる地域で避難指示が出されたほか、最寄りのJR東金線が一部区間で運休となるなど、定刻に開始することが難しい状況にあったため、開始時間を1時間遅らせたということです。また、その前日の東京大学での刺傷事件を受けては、大学入り口での慎重な警備を改めて徹底。様々な出来事が重なってバタバタ感はあったものの大きな混乱はなく終了したと斎藤さんは話していました。

高校でクラスター発生、受験生の不安募る

一方で、受験生にとって今最も気がかりなのは新型コロナの感染拡大“第六波”。千葉県内に教室を構える学習塾・ESOH個伸塾では、近隣の高校で新型コロナのクラスターが発生し、生徒達に不安な様子がみられるといいます。

「やはり近隣で(感染者が)出たという事に関してはかなり不安があるというところで、実力を出し切れない可能性がありますので、かなり神経をとがらせているというか、不安を感じているところはあると思います。直接当塾での生徒さんからの感染者は出ていないのですが、同じ学校での生徒さんから出たという事例はありまして、そういう場合、今は学校を自主的にお休みをしても欠席扱いにはならないという対応になっていて、当塾の生徒さんも自主的にお休みをしている生徒さんもいらっしゃいます。そういう事態になった場合に、なかなか自宅だけでは勉強に集中しにくいですとか、塾に来たいという方はいらっしゃいます。」
(株式会社ESOHgroup・代表取締役・原田健司さん)

感染リスクを考えて、自主的に学校を欠席し、塾のみに通う受験生もいるということです。ただ、学校の同じ教室内で新型コロナの感染者が出たという場合には、通塾も控えてもらい、オンラインの授業に切り替えています。その場合自宅からは出られず、誘惑が多い中での受験勉強に不安があるということです。

大学入学共通テストの「救済措置」に不満の声

さらに、先日の大学入学共通テストに関しては仮にコロナの影響で受験できず、さらに追試験も受けられなかった場合に、個別入試で合否判定するよう文科省が大学側に通知を出しましたが、これについても受験生からとまどいの声が挙がっているといいます。

「国公立受験者に関しましては当然当事者になりますので、その辺の話もやはり教室で出たんですけれども、救済しようとする意図は汲み取れるが、どうしても急な感は否めないと。自分たちはテストっていうのが唯一の判断してもらえる項目として勉強を頑張ってきた所があるので、そこに向けて高校3年間費やして勉強してきたという中で、他の項目で判断される場合があるというのはどうしても不公平感というか、そこは否めないっていうことを言っていた生徒が、これは一つの意見ではあるんですけど、ありました。」
(株式会社ESOHgroup・代表取締役・原田健司さん)

国公立大学の受験生は、共通テストで基本的に5教科7科目を受験しますが、新型コロナの感染者や濃厚接触者は個別入試だけで済むということになると、受験生から不満の声が出るのもやむを得ません。

編集部おすすめ