TBSラジオ『蓮見孝之 まとめて!土曜日』毎週土曜日内で8時20分頃から放送している「人権TODAY」(4月2日(土)放送分)
ウクライナ国外へ400万人超が避難
ロシアの軍事侵攻によってウクライナ国外に避難した人は400万人を超えました。このうち6割の230万人が隣のポーランドに入っていて、他にもルーマニアやモルドバ、ハンガリーなどに多くの人が避難しています。
(※おことわり AAR JAPANでは、ウクライナ避難民を条約難民とは異なる「広義の難民」にあたると考え、「難民」と呼んでいるため、放送でも避難民ではなく「難民」と紹介しました。
こうした人たちを支援するため、様々な団体が活動を始めています。日本のNGO「AAR JAPAN 難民を助ける会」もその1つで、先週、ウクライナ難民の支援活動についての報告会が行われました。
ポーランドで活動をしてきたAARの中坪央暁さんはウクライナ難民の特徴についてこう話します。
難民の大多数が女性と子供で占められ、一部お年寄りがいるという状況です。これはウクライナ政府が、祖国防衛のために18歳から60歳の成人男性の出国を禁止したためですが、夫や父親がいない状態で、女性が子どもを連れて難民になっているということで、かなりの精神的な負担があるのではないかと推察されます。難民支援というと、通常は当該国の政府や国連機関が主導するというのが一般的です。ところが、ポーランドでは全てを市民社会が担っています。具体的には、ボランティアの一般市民であったり、あるいは地元企業が協力するという形で、食料などの物資提供、それから難民の人を自分の家に招き入れて滞在させる民泊といったことが善意で行われていて、これは私は現地で大変感銘を受けました。
民泊という話もありましたが、赤の他人である難民の家族を自宅で受け入れる、空いている部屋に住まわせるということを、多くのワルシャワ市民が行っています。政府から多少助成金が出るそうですが、受け入れもそろそろ限界が来ているということです。
それから、ポーランドにやってきた人々はポーランドにとどまる人だけでなく、国際列車でドイツやオーストリアなど、他の国に向かう人もいます。交通費は無料です。
AARがポーランドで行う修道院への支援
続いてAARの具体的な活動として、ウクライナ国内の修道院への支援についての報告がありました。
私どもは日本の皆様からお寄せいただいたご寄付を、ポーランドのカトリック教会に送金しまして、そこで食料や医薬品、あるいは赤ちゃん用のオムツとかですね、女性用の生理用品などの必要とされる物資を調達し、それを陸路越境してウクライナ西部に輸送しています。ウクライナ西部のテルノピリ州というところに、ワルシャワのカトリック教会の支部のような修道院がありまして、ここにはウクライナ東部から逃れてきたシングルマザーとその子供たち、約70人が滞在しています。特に大型トラックを連ねてということではありませんが、だいたい土曜日にワルシャワを出発して、丸2日かかって月曜日には修道院に着くということです。だいたい今のところ週に1回ぐらいのペースで輸送しています。
この修道院は、ポーランド国境を目指す人たちが寝泊りする拠点にもなっているそうで、そういう人たちや地域の住民に対しても支援を行っているそうです。また、避難してきた人の中には、障害のある人もいるそうです。一方で、避難できずに街に残されている障害者、高齢者も多くいるとみられています。AARでは、そういう人たちへの対策や支援も、状況が落ち着いた段階で調査できればと考えているということです。
この報告会では、ポーランドのほか、モルドバでの支援活動の報告もありました。
現地のシスターから感謝の言葉
中坪さんがこんな話をしています。
最後に修道院のシスターたちからのメッセージを皆さんにお伝えしたいと思います。
こうした人道支援を続けていくには、どうしてもお金が必要です。AAR Japanのほか、さまざまな募金の窓口がありますので、ぜひご支援ください。
(担当:進藤誠人)
■取材協力
AAR Japan 難民を助ける会