TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」月~木曜日の11時から放送中!

(10月21日放送)

「ジェーン・スー 生活は踊る」19日~22日までの生活情報は、『臨時国会直前!知ってるようで知らない国会特集』

「今さら聞けない」初歩から、ニュースではなかなか扱われない介護や保育などの身近な話題はどう議論されているのかをお伝えします。政治をもっと身近に感じ、考えて、あなたと生活とつなげる、1週間。

教えてくれるのは、TBSラジオ澤田大樹記者です。
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10月21日のテーマはコチラ!

ヤジやスキャンダルだけじゃない…はず。国会の質疑っていったい何のためにしてるの?みんなから集めた税金がきちんと使われているのか?をチェック!!

まず、例に挙げたいのは、「野党はなぜ政府を追及するのか」ということ。去年のいまごろ開かれていた「臨時国会」のなかで話題になっていたのが、総理主催の「桜を見る会」の問題。あれ何が問題だったと思いますか?
もともとはお金の使い方の問題でした。「1700万円使いますよ」と実際に終わってみたら3千万~5千万かかっていたことがわかって「なんでこんなにかかるの?」「お金の使い方がおかしいんじゃないの?」となって調べていったら、どうも与党議員が支援者をたくさん呼んでいて、特に安倍さんに至ってはバスツアーを組んで支援者を呼んでいて前日にはパーティーまでやっていたとわかった。

つまり、「みんなから集めた税金がきちんと使われているのか?というのをチェックする」のも国会の重要な役割。
※数年前に話題になった森友学園の問題も同じで「税金の使い方」からスタートしている。

「法律を作る」「お金の使い方を決める」だけじゃない国会質疑の役割!

初日に「国会は法律を作り、お金の使い方を決める場所」という話をしたが、それ以外にも国会に役割がある。それが「問題を世の中に訴えかけ政府を動かしていくこと」。例えば、女性の服装についても国会で話題になったことがある。それが日本の職場で女性がハイヒールおよびパンプスの着用を義務づけられていることに抗議する社会運動#KuTOO。


去年からネット上では話題になっていて、国会質疑でも厚生労働委員会で繰り返し「ヒールの強制はおかしいのではないか」と大臣に質問されてきたが、それまでの大臣は煮え切らない答弁を繰り返してきた。ところが今年3月にテレビ中継された予算委員会で野党議員が改めて問うと、安倍総理は「パンプスの着用を強制するような、苦痛を強いるような合理性を欠くルールを女性に強いることは許されないのは当然のことだ」と答弁。総理大臣が不合理なルールは問題だと認めたことになり、質疑終了後には与野党問わず議場から拍手が起こった。その2週間後の質疑で、日本航空(JAL)が、客室乗務員の靴の着用規定を変更し、女性へのパンプスの着用義務付けをやめたと紹介された。国会の質疑が世の中の不合理を動かした。

このように「現実に起こっている問題」を質疑で取り上げて議論を起こし、「法律」と「現実」の隙間を埋めるのが国会の質疑の重要な役割。

他にも、コロナ禍の修学旅行はすでに6月の委員会の中で触れられていた。例えば、9月に修学旅行が予定されていた学校で開催延期して3月になった話とか、キャンセルになった場合は補助金でキャンセル代が出ますよとか結構細かいところまでやり取りしている。この質疑をしたのは、ちょうど学校に子どもがいる女性議員だった。

これに関連するのだが、国会議員は様々な政策の専門家でもある。医師や弁護士、経営者、教師、労働組合の代表者など様々な背景の人間が集まっているのが国会である。なかには、就職氷河期世代の議員もいる。

私の注目するある女性議員は就職氷河期世代で、「私は運よく就職できたが、仲間たちの多くは非正規採用を余儀なくされた」として、国会質疑でことあるごとに、その世代が置かれている苦境、例えば非正規雇用が多いため収入が安定せずなかなか結婚できないから少子化対策として問題ではないかとか、たくわえが十分でない可能性があるから定年後に生活保護が必要になるので早めに対策すべきといった質疑を繰り返した。その結果、政府の政策の中に「就職氷河期対策」が盛り込まれるようになってきた。

※国会には特定の法律の質疑だけでなく、その分野について何でも話していいという質疑もあり、そういった場ではこのような法律と現実の間にある問題が提起されることが多い。

今日の内容をまとめ

国会は「現実に起こっている問題」と「法律」の隙間を埋めるためにもある。

◆10月21日放送分より 番組名:「ジェーン・スー 生活は踊る」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20201021110000

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