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6月19日(日)放送後記
宇崎竜童さん(Part 2)
1946年、京都市生まれ。1973年にダウン・タウン・ブギウギ・バンドでデビュー以来、ミュージシャン活動のほか作曲家としても数多くのヒット曲を世に送り出し、映画・舞台音楽の世界や俳優としても活動しています。
出水:宇崎さんは幼いころどんな少年だったんですか? イメージだと子分をたくさん引き連れて、という感じですが(^^)
宇崎:マセたガキだったと思います。きょうだいが多いんですね。僕は末っ子で、おふくろが45ぐらいの時の子どもなんですけど、8番目です。親父が親1人子1人で育ったというのもあって、大家族にしたいと決めて。一番上の兄貴と21違いましたから。
JK:じゃあお兄さんから育てられたようなものですね?
宇崎:そうなんですよ。小学校の時、父兄会におふくろが来るじゃないですか。すると同級生が「なんでおばあさんが来るの?」って言われました。僕は逆に「なんでみんなのところはお姉さんが来てるんだろう?」って(笑) 親父とおふくろ、姉、みんな世代が違うんですけど、親父が見たい映画に連れて行ってくれるんです。次の週はおふくろ、次の週は姉、というふうに、毎週のように入れ替わり立ち代わりで映画に連れてってくれる。だから映画に関してはものすごく詳しかった。
出水:音楽との接点はいつごろ生まれたんですか?
宇崎:これまたね、姉たちの聴いている音楽がロックンロールだったんですよね。エルヴィスを聴いてたんです。僕も横で聴いてたんで、小学校にいくとみんなは児童唱歌とか口ずさんでて、あとは三橋美智也さんや春日八郎さんの流行歌とかね。僕はエルヴィスを口ずさんでた。生意気に(笑)
出水:うわ~かっこいい!
宇崎:あるとき学校の先生から「君たちは子どもなんだから、大人の歌謡曲は歌ってはいけません」って朝礼でお達しがあったんです。僕は歌謡曲は聴きもしないし歌えもしなかったんですが、エルヴィスを歌っていたのを同級生がチクったらしいんです。それで先生が僕とおふくろを呼び出した。「お宅の坊やは歌謡曲を歌っていたんですが、どういう教育をしているんですか」と先生から訊かれると、おふくろは「いえ先生、あれは歌謡曲ではありません。ロックンロールです」って言って(笑)さらに叱られた(^^;)
JK:ははは(笑)でもそれが将来の基礎になるわけね!
宇崎:でも担任の先生は女性だったんですけど、土曜日の日直の時に呼ばれて行ったら、「エルヴィスのレコード持ってるの?」「はい、姉が持ってます」「先生も聴きたいな」って言うんですよ! 若いんですよ、先生も。だから家から持ってきてかけたら、校庭のスピーカーから「ハートブレイク・ホテル」が流れちゃった。
JK:いやぁ~でもいい環境ですね。でないと子供がレコードなんて聴けないもん。
宇崎:それで代々木上原だったんで、近くに米軍基地があって、今の代々木公園がワシントンハイツだったので、米兵の人が街をいっつも歩いてた。ああいう風になりたいなと思ってたんです。いつか青い目になってやる!って(笑)でもダメでしたね(^^)
出水:バンドデビューする前は裏方の仕事をしていたそうですが、そこから表舞台にバッと出て行ったきっかけは何だったんでしょう?
宇崎:僕は歌手になりたいと思ったことは一度もなかったんです。ただ大学時代から曲を書いてて、作曲家に鳴れたらいいなとは思ってた。大学出る直前に、義理の兄貴がプロダクションをやってて、ちょうど流行っていた「ブルー・シャトー」のジャッキー吉川とブルーコメッツがトップスターだった。それで新しく音楽出版を作ることになったんですが、僕は法学部だったので、法律に詳しいだろうと兄貴が勘違いして(笑)「著作権とか契約書とかをやる会社を作るから来ないか」と言われて。
JK:いくつですか、その時?
宇崎:まだ21ですね。学校出る前からアルバイトみたいな形で勤めてました。マネージャーみたいなこともやらされて、ボーヤみたいに楽器を運んだり、スケジュールを調整したりしてました。その中に松崎しげるがいたんですよ! 松崎しげるは僕がスカウトしたんです。
JK:スカウトするって、どこで??
宇崎:新宿の御苑スタジオっていう練習スタジオがあって、プロやアマチュアの人たちがお稽古している。松崎と一緒にやってたドラムの子と知り合いだったんです。「面白いバンドやってるから見に来て」と言われて行ったら、クリームというバンドの「ホワイトルーム」っていうものすごい難しい曲を、松崎君がベースで、サウスポーで弾きながら歌ってるんです! すっごい上手いバンドで。うわっと思って「うちと契約しよう」って。多分税込み2万円ぐらいの給料で雇ったと思います(^^)
出水:そういった裏方の仕事から、自分で歌うぞ!って決断したのは?
宇崎:そのプロダクションが倒産して途方に暮れてるときに、「俺と組まないか」って言う人がいて、3人でプロダクションをやったんです。6つぐらいバンドがあって、青山のホールで業界の人を中心に見ていただくコンベンションを開いたんです。そのときのバンドがコピーバンドだったんで、「オリジナルをやってるのはお前のバンドだけだから、3曲ぐらいやれ」って言われて。オリジナルを歌ったら、6つのバンドには声がかからないで、僕のところにレコード会社からオファーが来た。「僕は裏方なんで」ってその時はお断りしたんですけどね。その後付き合いのあった音楽出版社から「君は君の歌じゃないと成立しないんじゃないかな」って言われて。それで初めてバンドを作って、銀座のビアガーデンでやってたら、またレコード会社からオファーが来た。そこで初めて、じゃあ表舞台に立とうかな、と。
JK:早いですね、ポンポンポンと。その当時は結婚されていたんでしょう?
宇崎:はい。でも阿木には何も言わないで、「バンド作っちゃった」って(笑)なんで言わなかったんだろう? 別に秘密にしてたわけじゃなくて。まあ25でしたから、反対されるっていう気はしなかったですね。それまで僕がやっていることにも、彼女がやっていることにも「それは止めた方がいい」って言ったことがないので。
JK:阿木さんはその当時作詞は?
宇崎:してないですね。だからレコーディングが始まって、アルバム作るから12曲書けって言われて。初めてその時に、僕1人では詞を書ききれないからちょっと書いてくれない?って。2枚目のアルバムのときに3曲書いてもらった。その中のひとつが「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」だったんです。

JK:人生のマサカ! 心当たりあります?
宇崎:たくさんあるんですけど、仕事を始めて「ええっ!」って思ったマサカは、映画にお誘いいただいた時ですね。「えっなんで?!」って。
JK:見るんじゃなくて、出る方ね。
宇崎:はい。一番最初にお声がけいただいたのは菅原文太さんだったんですけど、それは映画として成立しなかったんですね。その後増村保造さんという大映の巨匠から映画に出てくれってお誘いがあって。のこのこ出かけて行ったら、何も題材が決まっていない。週1回ぐらいミーティングがあって、その都度文庫本を10冊ぐらい「これを読んで」っていわれて。
JK:へぇ~!
宇崎:そのうちに「曽根崎心中をやるからね」ってご連絡があって。でも教養がないものですから曽根崎心中って何だかわからなくて(^^;)台本をいただいたら、文楽でも歌舞伎でも有名な心中もので、相手役が僕のところに舞い込んできた。そのころはサングラスしてたので、時代劇でサングラスはちょっとなぁと思って。
JK:どっちかというとロックですもんね(^^)
宇崎:だからすっぴんで。杉良太郎さんみたいに目張りを入れてもらえるのかなと思ったら、「メイクはしないよ」って言われて、そのまんまなんですよね。それで鬘を被らされて・・・でもこの顔ですからね!
JK:それ見てみたいわね!
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葉っぱのフレディ~いのちの旅
【日時】2022年7月16日(土)14: 00~16: 00(開場13:30)
【会場】北本市文化センター
【料金】一般:前売2,500円/当日2,800円 シルバー:前売2,000円/当日2,500円
子ども:前売1,500円/当日2,000円
【出演】宇崎竜童(語り)、德川眞弓(ピアノ)、井上 鑑(キーボード&アコーディオン)
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出水:『葉っぱのフレディ』の朗読劇はどんなステージになりそうですか?
宇崎:僕は本当に朗読するだけです。
JK:歌ってるような朗読ですよね?
宇崎:はい。すっごく緊張します! どこでしゃべり出していいのかわからないので、ディレクターに陰でキュー出してもらわないと(笑)朗読って文章を一字一句間違えずにしゃべらなきゃいけないのでね。
出水:でも宇崎さんの声での朗読って味がありそうですね!
JK:これからやりたいことはまだまだあると思うけど、何をやりたいですか?
宇崎:これはあちこちで言ってるんですけど、アフリカのコンゴ、昔のザイールで、ザイール川をさかのぼって赤道直下の村に行ったことがあるんですけど、電気もないようなところで、黒人の子どもが「Stand by me~♪」って歌ってるんですよ。えええ~っ!って。レコードもCDもかけられるものがないところで、「スタンド・バイ・ミー」を口ずさんでる。こんな曲を俺はまだ書いてないなって。赤道直下の子が歌うような歌を、死ぬまでに書きたい!と。
JK:うわ~鳥肌立っちゃった! すごいビジョンですね。すごいヤンチャですね(笑)
宇崎:そのためには元気でいないとね。
==OA曲==
M. 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ / ダウン・タウン・ブギウギ・バンド