TBSラジオ「コシノジュンコ MASACA」毎週日曜夕方5時から放送中!

2021年2月14日(日)放送

大友直人さん(part 1)
1958年東京生まれ。桐朋学園在学中の22歳でNHK交響楽団を指揮してデビュー。

以来、日本を代表する指揮者として活躍しています。現在は東京交響楽団名誉客演指揮者、京都市交響楽団桂冠指揮者、琉球交響楽団音楽監督、高崎芸術大学芸術監督を務めています。

JK:大友さんとは長いですよね。毎年やってる3.11の『全音楽界による音楽界』でね。1回目の時は善く集まりましたよね、自分たちにできることは何かないか、って三枝さんと考えて。出る人も見る人も1万円以上もって集まろう、って一致団結っていうか、3600万円も寄付が集まりましたからね。

大友:震災復興のためのチャリティコンサートですよね。あの時はコロナ禍とは違う形でしたが、社会活動が完全にストップしたんですよ。音楽も含めてあらゆるジャンルで活動ができなくなっていましたし、みんな右往左往しながら「何ができるか」って考えた毎日でしたよね。あれは震災後に初めて行われた大規模なコンサートだったんです。

JK:みなさんにお話しすると「私も出る!」ってすごい方々も出てくださってね。だいたい、サントリーホールってクラシックなところじゃないですか。

それがジャンルを超えて、演歌まで! ビックリですよね。

大友:震災が起きてわりあいすぐに連絡がきて、ホールも押さえられて、とにかく何かやるから参加してくれるっていうことで・・・あの時はオーケストラもすごい人数で、すごいメンバーだったんですよ。普段の活動がストップしていたので、参加できる優秀な人たちも多くて。大オーケストラで、多分100人ぐらいいました。

JK:100人ぐらい?!

大友:あれは出演者もチャリティで、自分でお金を出して出演するんですよね。しかも出演者が40組ぐらいあったんですよ。順番決めるだけでも大変だし、小林健一郎さんが自分のグループで1曲やった以外は全部私が振ったんです。それも1日のリハーサルで! 開演が17時ぐらいで、逆算してリハーサルは朝9時台から始めて、開演ぎりぎりまで間に合わなくて、リハーサルが終わったらすぐに開演した(笑)なにしろあれは前代未聞で、いまだに時々仲間内で「信じられないプロジェクトだった」って(笑)

JK:とにかく気持ちが一致団結!っていう人たちが集まったんですよ。

大友:40何組がみんな自分の持ち曲を持ってくるでしょ。オーケストラも私もほとんど準備をする時間がなくて、前日1日ぐらいでスコアを全部読み込んで・・・必死になって集めたわけ。オーケストラも精鋭が集まってたからみんな優秀だったんで、短時間でぱっと仕上げる。だからアクロバットみたい。

だからいまだにみんな覚えてますよ。あれをやりきったってことがね。

JK:ギネスですよ!

大友:ギネスですね(笑)でもやりがいがありました。

JK:それから10年。あと10年はやるっていう心意気でね。この灯を消しちゃだめっていうね。

大友:本当そのとおりだと思います。このコンサートのユニークなところは、コシノ先生も三枝さんも湯川さんも、本当にチャリティするためには何が必要か、ってことを皆さんよくお分かりだった。実際には、チャリティイベントやっても必要経費でかなりかさんでしまって、本当に使えるお金はかなり減っちゃうんです。だから我々は、企画にかかるコストは極力かからないよう、持ち出しでチャリティしようって。ものすごく効率がいい。

JK:あんな美しいチャリティはないですよね。

大友:それが今も続いてるって素晴らしいことですよね。今年も実はバラエティに富んだ出演者の方が出てくださって。最初の年はそれこそ40組でしたけれど、最近はクオリティにこだわっているところがあって、数は少なくなっているんですが、みなさん自分の持ち曲で出演してくださるので、毎回楽しみです。これだけ幅広いジャンルの方が一同に会するのはユニークなコンサートだと思います。

出水:大友さんが過去10年間で忘れられない演奏ってありますか?

大友:圧巻だったのは、最初の年かな? cobaさんのアコーディオン。

JK:びっくりしましたよね! 私もあの時初めてみたけど、すごかった。

大友:本当に素晴らしかったですね。忘れられない。でもcobaさんに限らず、みなさん全力投球のパフォーマンスでね。

JK:都はるみさんから小林幸子さん・・・意外とオーケストラと会うんだなって(^^)なんか場面が不思議なんですよ。

大友:その通り(^^)五木ひろしさんも出演してくださるし・・・そういった意味ではクラシックから演歌まで。それが違和感なくきけるんですよね。

そこがいいですよね。

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指揮者・大友直人、3.11チャリティコンサートに込めた思いの画像はこちら >>

第8回 全音楽界による音楽会 3.11チャリティコンサート
日時:2021年3月11日(木) 開演18:30(開場18:00)
会場:サントリーホール 大ホール
入場無料、全席指定・予約制
入場時にお1人様1万円以上の寄付金を申し受けております。
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出水:このコンサートはいらっしゃる方も出演される方も、原則1万円以上寄付するという形のコンサートです。寄付金は公益社団法人3.11震災孤児遺児文化・スポーツ支援機構を通じて、子供たちの支援に当てられているんですが、この10年で236人の子供たちを支援してきたんですよね。大友さんも子供たちの活躍をフォローアップしていますか?

大友:ええ、よく連絡をいただいているのでね。

JK:当時まだ少年だった子が大学に入って・・・立派になってますよね。

大友:本当にそうですよ。もうひとつこのコンサートの素晴らしいところは、ざっくりどこかに寄付すると、寄付金がどう使われたのか分からなくなったりするんです。ですから、このチャリティコンサートは、意味のあるところにフォーカスして使っていただこう、と。震災で一番苦境に立たされている若い人たち、子供たちがこの先困難に直面しないようにサポートするというのはいいアイデアだったと思います。

JK:心強いですよね。両親のいない独りぼっちの子がここまで育つには、誰かが支援しないと。

1回目の時は支援先が漠然として決まらなかったんですよね。

大友:震災で家庭がうまくいかなくなったり、両親や片親が失われたら、周りが何とかしてあげなくちゃいけない。そういう子供たちにフォーカスしたっていうのは素晴らしいと思います。その成果は、10年経つと子供だと思ってたのが立派な大人になるわけですから。

JK:将来そういう経験はすごく大きいと思う。本当に心からちゃんと支援するっていう意味で、チャリティ1万円以上って決めたでしょ? あれがよかったと思うの。ケタは大きいですよ、1万円って。

大友:斬新ですよね。

JK:すごい無鉄砲だけど、それが当たり前になっちゃって。でもそれだけの価値があるし、効果もあるし。その結果こうして夢が実現していくってことが素晴らしい。

大友:本当にそう思います。

入場無料だけれど、チャリティの気持ちを込めて、出せる方は参加していただきたい。毎年我々の想像を超える寄付が集まりますね。今年はなかなか難しい年になって・・・

JK:でもやらないよりはやったほうがいいと思います! それなりのことはあると思う。毎年同じことの繰り返しができるかわからないけど、やることに意義があると思います。

大友:昨年はどうしても開催できなくて中止になりましたから、今年はどういう制約がかかるかわかりませんが、頑張りましょう!

出水:今年は3月11日(木)にサントリーホールで開催予定ということで、今年はこういうコンサートにしたい!というのはありますか?

大友:今年はそれこそ、指揮は私の担当ではないんですが、五木ひろしさんも参加してくださるし、ゴダイゴのタケカワヒデユキさんとミッキー吉野さん、それからcobaさんも出てくださるし。クラシックのほうですと、ピアニストの横山幸雄さん、チェリストの宮田大さん、テノールの笛田博昭さん、平原綾香さん。それから吉村妃鞠ちゃんっていうバイオリニスト。

JK:この人、まだお子さんですか? おいくつかしら?

大友:まだ小学生かな。天才少女で、オーケストラと一緒に出てくれることになってますから、楽しみです。

JK:それも初めてですね! 今後そういうのもいいですね。必ず「初めて」があるっていうのもフレッシュですね。

大友:ああ、それはいいアイデアですね。ぜひそういたしましょう。

=OA楽曲=
M1. ヤマトタケル 第四楽章「東征」愛の二重奏 / 大友直人指揮:東京交響楽団

◆2月14日放送分より 番組名:「コシノジュンコ MASACA」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20210214170000

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