3月14日・日曜お昼12時から放送されたTBSラジオ『松岡茉優 マチネのまえに』、第49回放送。

「松岡茉優のいちばんホットな現在地で仕事ができた」映画『騙し...の画像はこちら >>

「吉田監督はオーディションを受けてた頃の私を知っている監督です!」

松岡:今週もゲストの方をお迎えしております。

さっそくご紹介します!大泉洋さん主演、私も出演させていただいております、3月26日公開ということでまもなくなんですが、映画「騙し絵の牙」の監督、吉田大八さんです!よろしくお願いします!

吉田:よろしくお願いします。

松岡:(笑)なんか私の今の「よろしくお願いします!」の言い方がオーディションの時のようだった(笑)

最近はありがたくもオファーをいただくから、オーディションの私を知ってる数少ないクリエイターさんです。

吉田:ああ、そんなになりますか。

松岡:へへへ(笑)

「松岡茉優のいちばんホットな現在地で仕事ができた」映画『騙し絵の牙』の吉田大八監督、登場!

ゲストマンスリー~本日のゲスト:映画「騙し絵の牙」の吉田大八監督

【映画監督・吉田大八さんのプロフィール】
CMディレクターとして国内外の広告賞を受賞されたのち、2007年、映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」で長編映画の監督としてデビューを果たすと、カンヌ国際映画祭で高い評価を得ました。
そして、2012年公開の映画「桐島、部活やめるってよ」で、日本アカデミー賞・最優秀作品賞と最優秀監督賞を受賞。
また、映画「紙の月」では、日本アカデミー賞の優秀監督賞を受賞。
最新作は、3月26日公開の映画「騙し絵の牙」。

「なんで映画『騙し絵の牙』は豪華キャストなんですか?」(松岡)「ちょっと贅沢させてもらいました」(吉田監督)

松岡:(映画「桐島、部活やめるってよ」に続いて)私は2度目のご一緒となりました。2回以上、ご一緒されてる方はいらっしゃるんですか、3回とか4回とか?

吉田監督:そうね、リリー・フランキーさんとかね。今回の映画「騙し絵の牙」もやってもらったし、ドラマも入れればリリーさんは3回目かな。あと、小林聡美さんも。リリーさんと聡美さんは3回ですね。

松岡:吉田組にいっぱい起用されるにはどうしたらいいですか?

吉田監督:何を言ってるんですか(笑)こっちは全然出てもらいたい方ですからね。出てもらうにはどういう脚本を作ってもらうとか、どういう風に俳優の人にお願いするかとか考えてる方だから。

松岡:今回なんでこんな豪華キャストになったんですか?瞬きが多くなっちゃうようなキャストじゃないですか?

吉田監督:映画「桐島、部活やめるってよ」もそうだったけど、ちょっと限定されてた空間、場所の中でいろんな人が生き残ろうとして必死でぶつかり合うみたいな話だから、やっぱりその時の面白い顔がいっぱい見たいじゃないですか。

松岡:おお。

吉田監督:魅力的な俳優さんというのはどの映画もそうなんだけど、今回の映画「騙し絵の牙」は話がちょっと入り組んでいるから、たくさん役があって。そこにみんな同じ力で均衡しないと物足りなくなっちゃうかなと思って、ちょっと贅沢させてもらいました。

松岡:贅沢させてもらった(笑)私は念願の佐藤浩市さんとご一緒させていただいて。

吉田監督:ね、初めてだったんだね。

松岡:もちろんそうですよ!佐野史郎さんも初めてなんですけど。「現場では緊張されましたでしょう?」というところからいつも取材が始まりました。

吉田監督:そんな緊張してないでしょ?

松岡:いやっ、・・・しましたよ!しましたけど、お会いすると、みなさん気さくな方達だから。

吉田監督:まずイメージと違ってね。

相手にそうやって壁を感じさせないというのも当然普通のこととしてされているから。

松岡:緊張させるような人が一人もいらっしゃらなかったから、私たち若手、宮沢氷魚くんと池田エライザちゃんは「すごいキャストですね!緊張しましたよね?」と言われるんですけど、たぶん2人とも、私も含め、毎日震えていましたなんてことは全然無かったです(笑)

映画「桐島、部活やめるってよ」について「16歳の私より26歳の私の方が演出しやすいですか?」(松岡)「そうとは限らない(笑)やっぱり10年の成長や変化がこの年齢だと凄まじい」(吉田監督)

松岡:今回の宣伝活動で大八さんからお話を聞いてびっくりしたのが、映画「桐島、部活やめるってよ」の方がストレスだったって(笑)

吉田監督:ああ、全然(笑)

松岡:あはは(笑)若い人の方が・・・

吉田監督:剥き出しでくるじゃないですか。こんなことできないとか・・・

松岡:爪痕を残したいとか・・・

吉田監督:意味わかんないとか・・・

松岡:意味わかんないも!?

吉田監督:もちろん口ではっきり言うわけじゃないけど。いや、いろんなものが整理できてない感じで、しかもあの時はそれぞれが持っているバックグラウンドもバラバラだったし。そこが面白かったし、あの映画の良いところだったと思うんだけど、それを受け止めても意外と大丈夫だろうと思ってたら、けっこうヘビーだったかなと、あとになって振り返るとそんな感じでしたね。

松岡:でも、吉田監督のお子さんも当時それくらいの年齢じゃないですか。

吉田監督:そうそう、高校生だったですよ。

松岡:じゃあ自分の子供くらいの年齢の人たちと映画を撮ったということになるんですね。

吉田監督:全然例えは違うんですけど、学校でクラスで担任を持ったりするといろんな生徒がいたりするじゃないですか。その一人一人に目を配ったりするのは自分は向いていないので、全体を見るということは得意じゃないから。それをある程度しなくちゃいけないというのは、大変は大変だったけど、楽しかったですけどね。

松岡:よかった。

吉田監督:思い出はすごい残ってますね。具体的なエピソードじゃないけれど、あの時の空気とか。若い人たちがあっちこっちに固まって撮影の時も撮影じゃない時もしゃべってる感じを思い出すと、懐かしいなっていう気持ちになるけど。

松岡:それで言ったら、「16歳の私」より「26歳の私」の方が演出はしやすいですか?

吉田監督:そうとは限らない(笑)

松岡:そうとは限らないんだ、やだわ(笑)

吉田監督:それは違う、こっちの問題で。やっぱり要求していることも違うしね。あとは松岡さんも当然キャリアを積んでるから。

松岡:10年・・・

吉田監督:僕が何か松岡さんに投げかけて、跳ね返ってくるものもまた違うから。

松岡:あ、ヤな変わり方してませんでしたか?

吉田監督:全然!そういう意味じゃなくて。結局、演出と演出される側のやりとり、セッションみたいなものじゃないですか。ふと投げた球がポンと豪速球で返ってくると「そんな球を投げるんだ!?」みたいな。それは毎日スリリングで楽しいことなんですよ。

当然ね、あれから10年経ってるし、昔のまま松岡さんじゃないんだから、前こうだったから今度こうみたいなことは持たないようにして現場に行ったつもりだったけど、やっぱり10年の成長、変化がこの年齢だと凄まじいなと。

「『桐島~』のメンバーは特別。今みんな活躍してるのが嬉しい」(松岡)「みんなに『桐島~』が過去になるくらい頑張ってくださいって言ってたら本当にそうなった」(吉田監督)

松岡:私が嬉しいのは、当時「桐島、部活やめるってよ」を撮っている頃は神木隆之介くん、大後寿々花ちゃん、橋本愛くらいは食べていけるくらい働いていたけど、でも他の子達は「このままみんな、俳優をやっていけるんだろうか、食べていけるんだろうか」ということもあって。だから話している中で、「10年後、何人が続けてるかな?」みたいな話をしてたんですよ。

だけど、今はみんな活躍をしてて。みんな仕事があって、おおよそ食べていけるというのが嬉しくって。あの時、みんなで心配しあっていたのに嬉しいんですけど、最近、目覚ましい活躍を見つめている「桐島メンバー」はいますか?

吉田監督:それは松岡さんもね。

松岡:私はね、今回ご一緒させていただいたからあれだけど。

吉田監督:みんな、見てますよ。

松岡:うれしいな。

吉田監督:神木くんは去年、コマーシャルで一緒にやったこともあって。その時はなんか変な気持ちになった(笑)「桐島~」以来だったから。浅香(航大)くんや落合(モトキ)くんには会えてないんだけど。

前野(朋哉)くんとは、映画「羊の木」という映画の宣伝の時に、対談相手になってくれて。

松岡:そんなこともあったんですね。前野さんとは監督さん同士でもありますもんね。

吉田監督:そうそう、そんな話もしてね。東出(昌大)くんから間違い電話がかかってきたり。

松岡:なんでやねん!

吉田監督:ははは(笑)

松岡:どうやったら間違えるんでしょう(笑)大八さんという人は一人しかいないでしょう(笑)

吉田監督:いやいや(笑)同じ苗字の人がいるじゃない。あと、橋本(愛)さんとは、映画「美しい星」で2回目があったし。みんなすごいなと思って見てますよ。

松岡:1回共演したら大切な人にはもちろんなるけれど、「桐島~」の人たちは、お前まだそんなこと言ってんのかよと言われるかもしれないけど、特別なんですよね。

吉田監督:うれしいね、それ。

松岡:もしかしたらみんなからは・・・。グループのトークももう何年、ポンポンってなってないかって感じで。

吉田監督:あ、そうなんだ。同窓会やってみればいいじゃん。

松岡:したんですよ!5年くらい前に、私、行かなかったけど。行けなかったけど。

吉田監督:同窓会に行かないタイプがいるよね。

松岡:私、ダメなんですよね~(笑)なんでだろう。行く直前まではすごく楽しみなのに、当日になって「やっぱ会いたくない、、、」って。それこそ一昨年に(仲野)太賀に久しぶりに会って。

吉田監督:太賀くんも今、頑張ってるね~。

松岡:うん!太賀が、太賀のまま頑張れているのが嬉しい!

吉田監督:それはおもしろい見方だね。

松岡:私もそうだったけど、1回、キラキラしなくてはいけない時があるじゃないですか(笑)

吉田監督:そうですか(笑)

松岡:ございますの(笑)だけど太賀が太賀のまま世間から求められているのは誇らしいし、嬉しいし。名前も変えて、仲野さんになりまして。

吉田監督:苗字ができたね(笑)ほんとにみんな「桐島~」のあとに集まった時に、若い俳優が多かったから、みんなね、「桐島~」なんかすぐにね、過去にね。

松岡:言ってた言ってた(笑)

吉田監督:「過去になるくらい頑張ってください」って言ってたら、みんな本当にそうなって!

松岡:あはは(笑)

吉田監督:僕だけですよ、プロフィールの最初に「桐島~」が出てくるのは(笑)

松岡:私もですよ(笑)

吉田監督:松岡さんはたくさんあるから。当たり前なんですよ。新しい仕事をしていけば、前の仕事がどんどんはみ出していかないとおもしろくないから。みんなの活躍を見るたびに、僕も頑張ろうと思いますよ。

松岡:でも、あの時に私とハンバーガーを食べていた時に「しばらく若い人の映画は撮らないかも」と言ってて。たしかに若い人が主題の作品というのは、あれから無いのかなって思って。

吉田監督:そうですね。「桐島~」の後にそういう話も何回か頂いたんですけど、やっぱり「桐島~」で自分でやれることは出し尽くしたという感触は、松岡さんとしゃべっていた時はあったんじゃないかな。あとは、映画「紙の月」の準備も始めていたから、「紙の月」で全然違う世界に頭が向いてたんだと思う。

3月26日公開の映画「騙し絵の牙」について「くしくも公開延期になることでより受け取ってもらいやすい作品に変化したのかなと映画の不思議を感じる」(松岡)「より生々しく、おもしろく見てもらえるようになったんじゃないかな」(吉田監督)

松岡:いよいよ映画「騙し絵の牙」が公開となりますが、ほんとにいよいよということが身に染みるというか。ほんとは去年の初夏に公開予定でございましたね。

吉田監督:そうですね、6月でしたね。

松岡:いつ公開が出来るかな出来るかなということで、3月に出来ましたけど。その延期が決まった時に監督がメールをくださったじゃないですか。やっぱり今、出したかったという気持ちがこぼれてきたんですけど、映画を撮られたらそのタイミングでお出しになりたいというのが監督の気持ちなんですか?

吉田監督:そうですね。早く出さないと、自分が次のことに移れないということが、まずあるのかもしれない。

松岡:ああ、なるほど。

吉田監督:映画って公開されないと、ずっと頭にあってケリがつかない感じがあって。そうすると、もう「騙し絵の牙」をいくら考えても映画そのものは変わらないのに、やっぱり「騙し絵の牙」のことばっかりを考えちゃうんですよ。

だから例えば、出版関係の資料だったり。松岡さんにもけっこう読んでもらったけど。

松岡:はい、拝読しました。

吉田監督:ああいうのがあると、手に取ったり買ったりして。

松岡:ああ、一度、区切りがついているのに・・・

吉田監督:読んじゃうんですよね。だから、「騙し絵の牙」から早く卒業したいという気持ちがあって。実際にリアルに3月、4月に卒業するタイミングだったのに、職場が変わるタイミングだったのにそのままになってる人もけっこういるから、たぶん、みんな僕なんかよりシビアに同じような気持ちを持った人がいたんだろうけど。

というのがあって、あともう一つはこの映画が現代の状況、現在の状況の社会に、僕の今までの映画の中でもいちばんダイレクトに問題を扱ったから、世の中が動いて行く時に、この映画が公開される時にそれどころじゃなくなったらどうしようとか。

松岡:受け手の受け取り方ですよね。

吉田監督:そうそう。いろんなことを考えちゃうんだけど。ただ、結果的にむしろ、より生々しく、おもしろく見てもらえるようになったんじゃないかなという気はしてますけどね。

松岡:映画「騙し絵の牙」は、出版社を舞台にしておりまして、出版業界のかなりコアなところまで掘り下げた作品になっているのかなと思いましたけども。

キャッチコピーは“クセモノだらけの仁義なき騙し合いバトル”ということで。嘘、裏切り、リーク、告発など陰謀が渦巻く中、大泉洋さんが演じられた速水編集長が廃刊の危機に瀕している雑誌を、仕掛けて、大逆転の秘策を練るという作品です。

さっきもおっしゃられましたけど、出版業界のヒリヒリした生っぽいところを抽出されているからってことでしたけど、たしかに、この1年で良いことじゃないけど、みんなが現実と向き合いざるを得なかった1年。私たち俳優も・・・。

昨日、(宮沢)氷魚くんと取材を受けていたら、コロナ禍どうされてましたかという質問に対して、やはり俳優としてこれで食べていっていいのだろうかとか、何ができるんだろうかということを考えたということで、まったく同じ気持ち。

娯楽ってどう存在したら良いんだというところがあったんですけども、くしくもというか、3月公開になることで、みなさんにより受け取ってもらいやすい作品に変化したのかなという映画の不思議を感じているんですけども・・・。

吉田監督:だからなおさら考えちゃうのかもしれない。ニュースを見ながら「騙し絵の牙」で扱ったことがまだ育ち続けちゃうというか。あの時に、こうだと思ったこと、自分の中で見つけたテーマみたいなものが、映画はもう完成しているのにニュースとか世の中の動きを見るたびにどんどん膨れていっちゃうから、このへんが良いタイミングで。

松岡:舞台挨拶で補足したりしてね(笑)この先はこうなんですけど、改めて~みたいな(笑)

吉田監督:こういうこともあります、みたいな(笑)

松岡:でもそれはきっと俳優とは違うなとは聞いていて思って。

監督はこの作品を背負って歩かれているというか、引っ張っているというか、そのものじゃないですか。

私たちは、ポンポンと違う作品に恵まれたり。撮っちゃえば、あと公開まで「また会おうね、楽しみだね」って約束になるだけで、ある種、離れるというか。もちろん、お客様に届いて初めて映画なんだけど。だから監督のように、ずっと考えてしまうから~ということは無いなと、今聞いて思ってました。

吉田監督:もしかしたらスパンの違いだけかもしれないよね。関わっている時間が長いというか。

松岡:ああ、そうですよね。私たちが終わったあとから、編集が始まって。

吉田監督:公開してキリがついたら、いつまでも「騙し絵の牙」のことに引っ張られないようにまた新しいことを考えたいと思うけど、今は「騙し絵の牙」に全集中でね。

「クランクイン前に1回リセットしようということになって。延びてなければこの顔ぶれになってなかった」(吉田監督)「私たち若い俳優は年齢のタイミングで合致しないと参加できないので延びて良かった(笑)」(松岡)

松岡:舞台挨拶で「この作品が撮れないかもしれない」って、1回おっしゃってたじゃないですか。

吉田監督:そうそう。その時は脚本が実際に撮った脚本とはだいぶ違うものだったんですよ。

松岡:へえ~。それも読みたいなぁ~!

吉田監督:その方向であるところまでいっていたんだけど、それが出来上がるのがクランクインの1ヶ月くらい前までごちゃごちゃやってて。これじゃいろんな準備も間に合わないということで、大泉洋さんは小説の主演だったから決まってたけど、実際に映画に出ているキャストに声をかけてなくて。だから、ここで1回リセットしようということになって。次のタイミングが合うところっていうところで、実際に松岡さんに来てもらった撮影になったんですよね。

松岡:なるほど。映画って、さあ作ろう、さあキャスティングしよう、さあ撮ろうじゃ無いから、ほんとに私たち若い俳優だと年齢のこともありますしね。ほんとにタイミングで合致しないと、参加できないというところもあると思うので・・・延びて良かったけど、私は(笑)

吉田監督:ぼくもそう思います。延びてなければこの顔ぶれになってなかったと思います。

松岡:ああ、また違うキャストに。

吉田監督:だから松岡さんにやってもらった役も全然年上だったんですよね。

松岡:そう、原作だと思うちょっとアダルトな。大泉さんとの恋愛があったりするので。まあ、一瞬覚悟しましたよ、大泉さんとのベッドインは。

吉田監督:そうですか(笑)

松岡:先に原作を読んだ時に、「お!私は大泉さんと、おベッドに!」と思いましたけど(笑)まったく無くって、再構築された映画となりました。

「吉田監督がテイク数が多い人になっているのはリリーさんだと思います、大泉さんに90回だって言ってて」(松岡)「そうとう盛ってますね、ありえないですから(笑)」(吉田監督)

松岡:さっき「桐島~」の話で、若い人の方が緊張するとおっしゃったのが、なんでこんな話になったかって、取材の時に佐藤浩市さんや國村隼さん、佐野史郎さんにも監督がけっこうリテイクをするのを目の当たりにしていて。「監督、すごいな、よく言えるな」と思ってたんですよ。

吉田監督:そうですか。

松岡:だって、こわいもん。こわい人じゃないんだけど。

吉田監督:たぶん・・・國村さんにしても浩市さんにしても佐野さんにしてもリテイクで怒るってことは無いと思うよ。もちろん、理由が無かったりとか。それは若い人も同じだから。この間に舞台挨拶でもネタとしてされるんだけど(笑)真面目な話をしちゃうと、反省しなきゃいけないと思うところはあるの。もうちょっとぼくがうまく説明していれば、もっと早く切り上げられるかもしれない、と。

松岡:テイク数が多いという話ですか(笑)テイク数が多いんですねって、この現場で初めて言われたんですよ。

吉田監督:あ、そう。

松岡:大泉さんがリリーさんにすごい脅されたらしくて。

吉田監督:リリーさんなんでね(笑)

松岡:吉田監督がテイク数が多い人になっているのはリリーさんだと思いますよ!

吉田監督:リリーさんが大泉さんにそうとう盛ってますね。

松岡:だって90回だって言ってたもん。

吉田監督:ありえないですから(笑)

松岡:「緻密にテイク数を重ねられますよね」って言われると、そうかしら!?って思って。

吉田監督:おもしろいのは俳優によって全然違うんですよね。

松岡:体感が?

吉田監督:そう。多く感じる人と意外とそうでも無いという人と。例えば、2人出ているシーンを撮っていても、少なかった、多かったとか。あるいは、すごくよく説明してくれたと思う人もいるかもしれないし、あまり現場では言われなかった、みたいな人もいるから。

松岡:そう、私も時間がかかりますよみたいなのは全然。夕飯くらいに終わってスーパーに寄って、夕飯が作れた現場だったなっていう感じのイメージがあるくらいで(笑)

吉田監督:時間は守るんですよ、テイクは多くても。

松岡:たしかに、押したことはあんまり無かったんじゃ無いかなー。

吉田監督:押してない押してない。

松岡:押して無いですよね。

吉田監督:それはぼくも守りたいと思っていて。そこでガーッと。もしかして1テイク1テイクの間隔が短い?

松岡:あっ!短い!ああ、それでみんな感じるのかな~。

吉田監督:そう。ぼくは、目の前で俳優さんのライブを見ているじゃないですか。「あ、今もう温まってきたから、そこですぐにもう1回!」って。温度がここまで上がってきたのをそこでチェックしたり他の手間かけて、今ここでいい感じになってきたものを逃したくないから、すぐ!って言っちゃうんだけど。もしかしたら俳優だったりスタッフだったりは「ちょっと待って、それは整理できない」ということがあるのかもしれない。そこは自分のペースでやっちゃってるのかな。

松岡:それって俳優も人間だから温まったり冷めたりするんですけど、例えば照明部がちょっとまだかかるという時に急かしたりすることもあるんですか?

吉田監督:それを止めろみたいなことは言わないにしても、まあ出ちゃってるかもしれない。「ちょっといいから、まずこれやらして」みたいなことになったりすることもあるのかもしれない。

「今回の音楽は映画を見ながらドラムが見ている側が盛り上がっているのと一緒に来る感じ、爽快感!」(松岡)「インストロックバンド『LITE』のサントラは画期的!録音に立ち会ってしびれた!」(吉田監督)

松岡:今回、宣伝活動でもよく聞かれたのが、主題歌が無くて。音楽をインストロックバンドの「LITE(ライト)」さんが起用されて。私も映画を見ながらドラムのきき方が、見ている側が盛り上がっているのと一緒に来てくれる感じで。

吉田監督:さすがですね~。

松岡:ドラムのトロッコに乗っている感じが、超爽快感があって気持ち良かったんです!

吉田監督:あのバンドはボーカルがいないじゃないですか。ドラムがボーカルなんだ、と。

松岡:カックイイ~!!!カックイイなぁ~。

吉田監督:かっこいいよね。ドラムを録っているところをずっと立ち会っていたんですけど、もうしびれたよ。しびれたし、今まで自分の音楽録音史上、もっとも何を直しているのかがわからないくらい、細かい。このサントラは画期的なんじゃ無いかな。

松岡:サントラが出るんですか!聴こう!

吉田監督:もちろん。今度あげますよ。

松岡:いいんですか。監督は音楽にも造詣が深いですよね。

吉田監督:大好きです。音楽録音とか大好きです。

松岡:監督と音楽の話をすると全然ついていけないもん。

吉田監督:いえいえ。松岡さんが好きな音楽の話をしてくれないから。

松岡:ああ、私の音楽はですね、モーニング娘。です。

吉田監督:モーニング娘。も深いですもんね。

松岡:ありがとうございます!

だから、映画はあまり見ないんだよねという音楽ファンの方が見ても、ミュージックビデオとは違うけど、音楽に乗せられて感情も物語も動いて行くような感じがしたので。爽快感があって見れるんじゃないかなと思って。

吉田監督:嬉しいですね。

「『騙し絵の牙』は松岡茉優のいちばんホットな現在地で仕事ができた、映画の中で存在してくれたのはありがたい」(吉田監督)

松岡:30分というのはほんとに短いもので。映画「騙し絵の牙」も公開がまもなくですけど、映画を楽しみにしている方にメッセージをお願いします!

吉田監督:やっぱり松岡さんと久しぶりに仕事をして、「桐島~」で若い頃を知っていたということはもちろんあるんだけど、それ以上にやっぱりこの松岡さんという女優さんの現在地で仕事ができた、「騙し絵の牙」という映画の中で松岡茉優という女優が存在してくれたというのがほんとにありがたいと、映画が完成してほんとに思いました。

松岡:ええ~!ありがとうございます。

吉田監督:この作品の松岡さんはね、すごく楽しみになるような映画だと思う。ここ何年か松岡さんの活動って目覚ましいけど、「騙し絵の牙」もそこに加われたというのはほんとに嬉しい。

松岡:恐縮です。

吉田監督:だからこれからも10年20年と、僕も観客として松岡さんの映画を楽しみにしてますから。あ、これ「騙し絵の牙」の話だったね(笑)でも、そういう女優・松岡さんの一番ホットな現在地を、ぜひ、「騙し絵の牙」で見てもらいたいと思います。

松岡:ありがとうございます。この後も宣伝活動で私たちはお会いする機会があるんですけど、大八監督といろんなところでしゃべってますので、ぜひ、そちらの方もチェックしてもらいたいと思います。

3月26日公開の映画「騙し絵の牙」の監督、吉田大八さんでした!ありがとうございました!

吉田監督:ありがとうございました。

ゲストマンスリー~来週&再来週のゲスト:親友・戦友の・・・伊藤沙莉さん

松岡:私の一緒に年をとっていきたい戦友が、来週、再来週の2週にわたってきてくれます!

伊藤沙莉さん!

「松岡茉優のいちばんホットな現在地で仕事ができた」映画『騙し絵の牙』の吉田大八監督、登場!

お待たせ~!みんな大好きでしょ、「沙莉ちゃん!沙莉ちゃん!沙莉ちゃん!」って言って(笑)「沙莉ちゃん来ないの?」って言ってたでしょ、来ますよ~!

とはいえ、最終回の放送も沙莉とともに迎えることになりますので、「マチネ」らしく、

・お昼ごはんのシェア

・卒業文集~何書いたの?今どうなってるの?

・お悩み相談

・伊藤沙莉への質問、茉優&沙莉への質問

などなど、日曜のお昼をゆったり過ごす時間にしたいなと思っています。

最後まで、みなさんのためのラジオでありたいなと思います。

◆3月14日放送分より 番組名:「松岡茉優 マチネのまえに」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20210314120000

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