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8月23日(火)放送後記

7時30分過ぎからは素朴な疑問、気になる現場にせまるコーナー「現場にアタック」

新型コロナの第7波の収束が見えない状況ですが、その一方で、今なお「第6波」の苦しみが続いている人もいます。それは「後遺症」に悩む人。

ある後遺症外来では、今も、毎週新規で10名、通院中の方が2~30名はいるということですが、その症状も変わってきていて、厄介なものが出てきたそうです。

さっき話したことも忘れる後遺症「ブレーンフォグ」

特に深刻なのが「ブレーンフォグ」。ブレーン=脳に、フォグ=霧がかかったような感じだそうですが、詳しい話を、札幌にある勤医協札幌病院の院長、尾形和泰さんに伺いました。

勤医協札幌病院 院長 尾形和泰さん
「記憶力の障害ですね、ちょっとしたことを忘れてしまうとかですね。営業職の方で、営業先で話したことを思い出せない。あとは高校生ですと、友達と遊んだんだけど、誰と遊んだ思い出せない。病院のスタッフなんですけども、患者さんの病室に行ってお話を聞いてくるんだけども、ナースステーションに戻ってくると、話の内容忘れてしまうと。
あとは、二つのことが同時にできなくなるっていうふうに表現する方が多いと思います。職場で2つ3つの仕事を同時にやりながらっていうこと、あると思うんですよね。それができないっていうこととか。
倦怠感が強い場合は結構休むっていうことに対して理解して頂けるんですけども、ブレーンフォグはなかなか職場の理解を得るのに、こちらも苦労します。」

▼勤医協札幌病院 院長 尾形和泰さん

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第5波までは、ウイルスの特性もあって、肺など呼吸器官、それから味覚・嗅覚の後遺症も多かったのですが、第6波(オミクロン)では、呼吸器系より、このブレイン・フォグの症状の方が増えているそうです。

実際には集中力が続かない、忘れっぽい、2つの作業を同時進行で出来ないなど、尾形さんに紹介していただいた事例などを聞くと、とても怖い後遺症なのですが、この後遺症で問題なのは、周りの理解が得られにくいということです。

すぐに息切れするとか、体に影響が出るのなら、「大変だね、休んだほうがいいよ」となりますが、この場合、「なに怠けているのか?」「しっかり仕事しろ」ともなりかねません。

4分の3が復職できない辛さ

では、後遺症から仕事への復帰がどれくらい大変なのか?休職が長引いたらどうしたらいいのか?ソーシャルワーカーとして後遺症の患者さんを支援している聖マリアンナ医科大学病院の桑島規夫さんに伺いました。

聖マリアンナ医科大学病院 ソーシャルワーカー 桑島規夫さん
「病院のソーシャルワーカー関わった4分の1は復職できていますが、4分の3は復職ができていないっていうデータが出ています。
半年程度経たないと、復職できないっていう方が多数いるということになると思います。会社を休むとなると、所得がどうなるかということがありますので、ソーシャルワーカーが場合によっては支援ということを行ったりします。制度としては、医療保険による傷病手当金という制度や、労災保険、退職をしてしまったという方々に対して雇用保険。あとあまり知られてないかもしれないんですけども、傷病手当金というのは国民健康保険にはない制度だったんですが、コロナのこともありまして、国民健康保険で傷病手当金がもらえる場合があると。的確に活用するっていうのが必要かなというふうに考えています。」

オミクロンで深刻化するコロナ後遺症、その問題と、期待の新治療

休職が長引くこともあり、ソーシャルワーカーの桑島さんには、生活費の相談もあるそうです。

お話にあった、業務中の感染なら雇用保険、業務外なら傷病手当金、そしてその傷病手当金は、通常は会社勤めの人向けですが、今は自営業、国民保険の方も受けられるなど、受けられる支援は広がってはいるそうですが、自分では申請するのも大変です。

大きな病院では、桑島さんのようなソーシャルワーカーがいるので相談できますが、そうでない場合は、受けられる支援によって市役所や、社会福祉協議会、労災職業センター、産業保健総合支援センターなど窓口がバラバラで、桑島さんも「ここが課題だ」ということでした。

少しの光。新しい治療・リハビリへの取り組み

では、少しでも早く後遺症を治すにはどうしたらいいのか?まだわからないことが多いようですが、少しずつ、知見も高まってきているようです。勤医協札幌病院の院長、尾形和泰さんが新たに行っている2つの取り組みを伺いました。

勤医協札幌病院 院長 尾形和泰さん
「私達のところでは、7月にイタリアで発表された、まだ査読前の論文、イタリア全国で行われた研究であのビタミンCとLアルギニンっていう、サプリメントで良くなってるっていう、例えば集中困難っていうのは、ビタミンCとアルギニンのサプリメントを使うことで、1ヶ月後に8割ぐらいの方は改善している。

いう報告があったので、この8月に入ってからはそういう治療で治療してる方が多いです。
後はコロナのリハビリガイド、WHOのヨーロッパ事務局が作ったものなんですね、コロナのリハビリのことが書いてあったので、まだそのいろんな治療法というのはほとんど論じられる段階ではなかったので、ちゃんとわかった方がいいかなと思って、翻訳をしましょう。
病院のホームページに載せたり、ツイッターとかで広めたいもらったりっていうことで、使ってます。」

最初は治療法。まだチェック前の論文ということですが、「ビタミンCとLアルギニン」というサプリで効果が上がっている そうです。普通のサプリなので、適切に行えば、副作用もないとされていることから、取り組んでいるということです。

そしてもう1つは、WHOが正しい後遺症対策の本を出したというので、それを翻訳、無料公開。焦って頑張りすぎないことが大切で、まずは静かな環境で疲れていない時に活動、1度に行うことは1つにして、疲れたら休憩、など、家庭でできるアドバイスが出ています。

オミクロンで深刻化するコロナ後遺症、その問題と、期待の新治療

こちらは後遺症の前段階の、感染している時から読んで取り組むと良いそうす。

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