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3月26日(日)放送後記

清水夏生さん(part 1)

7歳よりタップダンスを始め、北野武監督の映画『座頭市』や水谷豊監督の『TAP THE LAST SHOW』など、若手ホープとしてTVや舞台に大活躍。世界トップクラスのテクニックと高速ステップで多くのファンを魅了しています。

宇内:今日は海外出張中の出水麻衣アナウンサーに代わり、私宇内梨沙がアシスタントを務めます。よろしくお願いします!

JK:よろしくお願いします! 今日のゲストはすごいわよ。足がどうなっちゃってんの?!って感じ。目が追えないです。

清水:30年近くやってくると、残像も追えないぐらいで(^^) 何やってるかわからない、ってよく言われます。

JK:音楽だったら楽譜があるじゃない? そういうのはないんでしょ?

清水:タップダンス自体は口伝というか、見て、真似して習っていくので楽譜とかはないんですが、最近ミュージシャンと仕事をするので、楽譜にタップをどうやって合わせていくかって言うのも考えたり。ソロだったら自分で好き勝手でいいんですけど・・・いろんなことを考えますね。

JK:そりゃそうよね、合わせなきゃいけないわけだから。一種の楽器ですね。さっきもちゃちゃっとやってくれたけど、左脚は太鼓で、右はリズムって感じなのかなぁって。

清水:さすがお目が高いですね! そういう考え方があって、タップの打つ場所で低めだったり高めの音を出して、それを上手く使ってアップビートを出していく。

JK:洋服にパパッと叩いたりするでしょ。

あれを見て、叩いたら音が出る服とか作ったらいいかなとも思った。

清水:うわぁ、ぜひぜひ! でもタップと同じ音が出ても面白くないので、違う音が出ても面白いかも。新しいパフォーマンスになりそうです。

宇内:そもそもお二人の出会いは何だったんですか?

JK:バレリーナの西島和博さんと結構組んでるのよね。

清水:はい、20歳のころに西島さんと初共演させていただいて。その舞台が衝撃的だったというか、僕としてはずっとタップばっかりやっていたので、こういう人たちと舞台に立って、このままじゃ自分はダメだなと思って。下手すると舞台上で一緒にいるだけになってしまうので、それをコラボーレションというのは僕が納得できなくて、西島さんと一緒にクリエーションさせていただきました。

JK:タップはジャンルでいうと何になるんですか?
清水:やっぱり、ステップの構成から考えるとJazz。民族的なトライバルなものではあります。

JK:私、タップって音楽だと思うの。足でドラムを叩いて、全身で魅せるじゃないですか。音付きのダンス、みたいな。

床は石とか木とかいろいろあるけど、何がいいんですか?

清水:こういう言い方するとアレですけど、一番ツブシがきくというか、我々が慣れてるのは木ですね。低い音から高い音まで一番コントロールしやすい。今日は大工さんに個人的に作ってもらった板を持参しました。

宇内:靴にも先端やかかとに金属がついていますが、音の鳴らし方はいくつぐらい種類があるんですか?

清水:動きでいうと、まずつま先、かかと、それからトゥと言ってつま先の先端。基本的にはどこを、どの順番で鳴らすかがステップの作りになっていきます。あとは基本的なステップとしてシャフルステップとかスラップとかあるんですけど、そのあたりを上手く組み合わせる、という感じですね。

JK:この前『古事記』っていう舞台で、西島さんと一緒にやったのよね。古事記にタップが出てくるって想像つかないけど、違和感ないのよ。新しいものを見たって感じ。だいたい古事記自体がものすごく歴史的なもので、想像の世界じゃない? 未来なものだから、何やってもいいと思ったのよ(笑)

清水:そうですね、新しいクリエーションになりますよね。実は日舞の方に伺った話なんですが、古事記では天宇受売命という踊り子が足を地面に打ち鳴らして踊って、天照大御神を呼んだという・・・日本文化がタップダンスに直接影響したとは考えにくいんですけど、足を打ち付けて地球とつながるっていうのはすごく人間的なことなんだなあって。こういうこと言うと、スピリチュアルな人間だと思われるかもしれませんが(^^;)そういう普遍的なところで表現していけたらいいなと思います。

JK:普通の靴ではやらないの?

清水:ある程度はやりますよ。タップ的なことをいっぱいやろうとすると専用の靴を履きたいんですが、リズムや音楽を奏でながら踊ってるってことを考えると、本当は何を履いててもいいと思うんですよね。昨年フランスや南米ギアナに行かせていただいたんですが、そういうところだと下駄を履いてやったりとか。

JK:『座頭市』も下駄だったわよね。

清水:それもタップダンサーはあまりやろうとしないというか・・・やっぱりそれまで培ってきたものや練習したものが活かせなくなっちゃうので、手をつけづらいんですけど、僕らが言う「グルーヴ」を表現するには何でもいい。そういう風に考えられれば、もっと広がりのあるものになるんじゃないかと思ってます。

JK:新しい音楽ですね!

宇内:世界でも、清水さんにしかできない技があるそうですが・・・

清水:空中に飛んで10個音を鳴らすという「10 counts」ですね。僕がお世話になった人が名付けたんですが、床で右足と左足をかちゃかちゃ、5ストロークずつ音を鳴らして、10個音を出すという。

宇内:水谷豊さんが監督を務めた『TAP THE LAST SHOW』に出演したときに、その技を披露したということで、気になる方はぜひ!

清水:水谷さんは音楽が好きなんじゃないかなと思うんですが、1シーン1シーンが素敵で、ストーリーに起伏があるってことだと思います。音楽もそうですが、1音1音から最後にクライマックスに行きつく、というのがまさに体現されているような映画だと思います。

宇内:生で清水さんのタップを見られるLIVEもあるそうですね。

清水:だいたい月に1回ぐらいのペースで、マイクを通さずに生のタップの音、ミュージシャンのエネルギーを感じてもらえる会をやってまして、次が4月7日(金)で『The TAP Shift』と題しています。

ぜひ生の迫力を楽しみにいらしていただけたらと思います。

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