今月のゲストはドラムボーカリストで俳優のシシド・カフカさん。
最上階10階にある 『エグゼクティブ オーシャンビュー テラス スイート 1007号室』で東京湾を眺めながら、お話伺っています。
今回は、シシドさんが主催する音楽集団<el Temp>のお話から。
完全即興で唯一無二の音楽を奏でる<el Tempo>
<el tempo>は、コンダクター:指揮者であるシシドさんが、一つ一つ意味のあるハンド・サインで打楽器の人たちに指示を出し、音楽を奏でる、という音楽プロジェクトです。東京パラリンピックの閉会式にも出場していました。
シシド
「演者に対して、今からこれやって、っていうふうに指示を出して、演者がそれを受け取って、じゃあ…とその場で考えて、 音楽が始まり、完全即興の唯一無二の音楽を作っていくっていう感じです。」
<el tempo>で使っているサインは、アルゼンチンのパーカッショニスト・ドラマーのサンティアゴ・バスケスさんが作った”Rhythm with Signs” という名前のもの。
例えば…”手のひらで床を拭くような動き”は『BackGround = これから基礎になるリズム・フレーズ』を意味し、そのサインを受け取った演者が、その時の気分でリズム・フレーズを奏で始めます。
その始まったリズム・フレーズに、次から次へとサインを受け取った演者達が演奏を重ねていき、即興音楽を作り上げていきます。
要
「ハンドサインの種類は、100を超えているわけですか!」
シシド
「そうなんです。意味が限定的なものもあれば、 すごく幅の広い意味のあるハンドサインもあるって言われていますね。 私が使えるのは、80~90くらいです。難解なものもあるので…」
要
「演奏者は、瞬発力とか想像力とか。あらゆるものが問われますよね?」
シシド
「そうですね。割とそのハンドサインの意味を覚えるのは簡単なんですけど、それを、ぱっと音に還元するっていうのが結構難しいと思います。」
近藤
「即興ということは、毎回ライブでは違う音楽を楽しめると。繰り返すことは出来ないですよね?」
シシド
「そうです。
ハンドサインを出す際に想定したものとは、
全く違う音楽が始まることもあるため、
シシドさんは、音楽を聞きながらその場で次を考える、という作業を繰り返してます。
ハンドサインを学ぶため、単身でアルゼンチン留学へ!
そんな<el tempo>を主催するシシドさんの師匠は、ハンドサインを作った、サンティアゴ・バスケスさんです。
出会いは、2015年。テレビ番組の撮影でアルゼンチン・ブエノスアイレスを訪れた際、知人におすすめされ、サンティアゴ・バスケスさんのバンドのライブを見に行ったことがきっかけでした。
現在、サンティアゴ・バスケスが作ったハンドサインはアルゼンチンの教育の場でも使われるようになっており、文化的に評価を受けています。
シシドさんは、そのハンドサインを学べる学校に通うため、2018年、アルゼンチン・ブエノスアイレスに2ヶ月間の単身留学もされました。
近藤
「2ヶ月間の留学はどうでしたか?」
シシド
「大変でしたね!割と舐めてかかってたんで、1ヶ月で習得して、1ヶ月は遊ぼう、とか思ってたんですけど(笑)最初の1週間で、2ヶ月でも足りないかもしれない…って思いました。」
近藤
「学校では、どんなことを習うんですか?」
シシド
「指揮者として、よくオーケストラの指揮者もやってるこう、拍子を取る、、、1234、、、学校でも習うような」
要
「はいはい、4拍子の。」
シシド
「あれを1時間ぐらいひたすらやったりとか(笑)」
近藤
「えぇ…!?」
シシド
「いかに相手にわかりやすく、それを見せるかみたいなのを1時間やる授業があったりだとか。あとは、そのサインを見て説明を受けて、音に還元するというのを、ひたすらやるときもありますし。セネガルの楽器やブラジル音楽に特化したクラスもあって…色々なことを、総合的に学べました。」
授業での言語は、スペイン語。
1年くらいかけ事前学習をしてから留学したものの、専門用語に苦戦…
授業を録画し、帰宅後に辞書を片手に調べ直し理解する、という日々だったとか。

『”体で聞く音楽”を楽しむ経験をしてほしい』
昨年は、精力的に活動をしてきたという<el tempo>。主催を務めるシシドさんに、今後の展望について伺いました。
要
「これから、そのハンドサインをどのようにしていきたいとお考えですか?」
シシド
「そうですね。
要
「指揮者として、人の話すリズムやテンポも気になったりしますか?」
シシド
「気になっているところも、あるかもしれないですね。あと、人が何かのリズム・メロディーを考えて、そのメロディーを叩いてたりするじゃないすかそれが結構すぐわかったりとかしますね、、、」
要・近藤
「おぉ~」
シシド
「あ、タッチだね、みたいな(笑)」
要
「あははは(笑)」
近藤
「すごーい!!」
シシド
「なんでわかったの!?みたいな、のもあったりしますけど(笑)それは、このハンドサインを学んだからかもしれないです。」

シシドさんの師匠であるサンティアゴ・バスケスさんさんは、身の回りにあるもの全てを叩き、どんな音がするのかを確認しないといられない人、だったそうで…
シシド
「一緒に地下鉄乗ったんですけど、プルルルって、扉が閉まる時にベルが鳴るじゃないですか。そしたら、すぐにハモっちゃうんですよ(笑)」
要・近藤
「あははは(笑)」
シシド
「パーってすぐに歌い出しちゃうし、すごい面白い人で(笑)全ての音に敏感で、全てのものに興味を示すっていうのは、本当にすごいなと思って。私も、それぐらいの域に達しなきゃなとは思ってます。」

目の前にあるモノで、リズムを刻む。
収録している『エグゼクティブ オーシャンビュー テラス スイート 1007号室』でシシドさん指揮のもと、実際に音楽を奏でてみました!
要潤は、クッションを強めに叩き、少し低めの音を。
近藤夏子は、水の入ったグラスをペンで叩き、高めの音を担当しました。
近藤
「これ、やってみてわかったんですけど、集中しますね…!」
要
「すっごい集中する!カフカさんの動きに、全集中します!」
シシド
「これ難しいのが、ライブ2時間だとするじゃないですか。演者は、2時間コンダクターを見続けなければならないという、そういうルールもあります。」
要
「僕がさっきみたいに、間違っちゃったり、止まっちゃったりしたら演奏が止まっちゃうわけですからね。」
シシド
「そうですね。なので今は、続けて、と訂正しましたけど本来であればコンダクターが止まっちゃったんだったら、じゃあどうしようかっていう風に考えて…その止まってしまったハプニングも音楽にするっていうのが、真髄ですね。」
要
「なるほど~」
近藤
「3人の呼吸が合っていた気がしました…!楽しいですね!」
要
「うん!楽しい!」
シシド
「そうやって、演者とコンダクターで、ずっとキャッチボールしながら遊ぶっていうのがルールです!」
要
「これがいろんな音、楽器が組み合わさってくると本当に何か一つの曲になりますよね…!
シシド
「そうですね。それが、このバンドの唯一無二の楽しみ方です!(笑)」
近藤
「経験できて嬉しかったですね…!」
要
「ありがとうございました」
<el tempo>のメンバーは、主催するシシドさんを含め、総勢16名!来月2月26日(月)には、東京・代官山SpaceOddでライブが開催予定です。
シシド
「去年までやってたところと、場所が変わるんですけど、違った雰囲気でお届けできたらな、と思っております!ぜひ皆さん遊びにいらしてください!」
毎回異なる音楽を奏でる、<el tempo>の演奏、ぜひ目の前で体感してみてください!