今回は「食用油」の使い分けがテーマ。油と一口にいっても色々な種類がありますけど、基本的に何がどう違うのか?作家で料理人の樋口直哉さんに教えていただきました。


油は大きく分けて2種類あります。漢字で書くと三水の「油」と、にくずきの「脂」、脂肪の脂の字。違いは、三水の油は常温で固まっていない油で、サラダ油やオリーブオイル等。にくずきの脂は、常温で固まっている脂のことで、ラードやバター等です。ちなみに最近では「サラダ油」という商品は少なく、日本の農林規格の定義では、「温度の低い場所でも固化しない油」とあるので、サラダに使いやすい・・・というわけです。しかし、実際に「サラダ油」は特有のクセがあって生食にはあまり向いていません。どんな油でも使い方によって良し悪しがあるので、油の風味がわかりやすい「ドレッシング」にして、味の比較をしてみてはいかでしょうか?

ほんのり甘い仕上がりに・・こめ油ドレッシングの生野菜サラダ

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こめ油ドレッシングの作り方
こめ油3、醤油1、米酢1の割合で混ぜるだけ!

ドレッシングで使い切るのも大変ですよね...。こめ油はドレッシング以外だと、揚げ物が特にオススメ。サラダ油によくブレンドされている大豆油にはαリノレン酸という脂肪酸が多く、これが原因で「油酔い」といってちょっと気分が悪くなる人も中にはいます。その点、「こめ油」はαリノレン酸が少なく、長時間の加熱調理向きです。さらにオリーブオイルのような独特な香りがないので、素材の旨みをそのまま味わえます。

香り控えめ“太白ごま油ドレッシング”の温野菜サラダ

サラダのドレッシングには“こめ油”がオススメ!

太白ごま油ドレッシングの作り方
太白ごま油油3、醤油1、米酢1の割合で混ぜるだけ!

Q.“太白ごま油”とは?
ごまを搾っただけの油で香りがすごく穏やかです。加熱調理にも向いてますが、ドレッシングに使うと、クセがなくてサラっとしています。

こちらもごま油3、醤油1、米酢1の割合で和えてください。

Q.「太白ごま油」の特徴とドレッシング以外の使い方も教えて下さい。
ごま油も脂肪酸のバランスが非常によく、油酔いしない油なので、加熱調理向きで、パリっと揚がるので天ぷら屋さんなどでも使われています。弱点はやや価格が高いこと。その為、家庭の揚げ物にはこめ油がオススメです。ちなみに、オリーブオイルで加熱調理すると洋風の味になるりますが、それを避けたい場合は、少量の太白ごま油で代用するのもオススメ。

作家・料理人/樋口直哉
服部栄養専門学校卒業後に、フランス料理の出張料理人として活躍。 その後、作家に転身し、著書「さよならアメリカ」で、 群像新人文学賞を受賞。同作は芥川賞候補に。さらに、「新しい料理の教科書」 「ぼくのおいしいは3でつくる 新しい献立の手引き」など、 料理関係の著書も多数。YouTubeチャンネル『樋口直哉の料理論[Cooking theory]』も好評配信中。

サラダのドレッシングには“こめ油”がオススメ!
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