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新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴る番組。

今回はジェーン・スーさんが以前から気になっていたサービス『SAMANSA』を近藤夏子アナウンサーが紹介しました。

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『SAMANSA』は、世界中の良質で面白いショート映画・ドラマ・ドキュメンタリーを発掘し、配信している日本初のショート映画専門の配信サービスです。

動画1本の時間は1分~25分で、あらゆるジャンルの作品が約500~600本配信されています。しかも、お値段もお手頃な月額490円で見放題!また加入者4万5000人のうち約9割が20代~30代と若者に人気のサービスです。

スー:自分の表現を届けたいといった熱意をもって作られた作品が見たい。けど2時間は確保できない…。という方にもいいですね

短い映画が好まれる時代!?

最短1分の作品も!スキマ時間にショート映画サブスク『SAMANSA』

『SAMANSA』を立ち上げた代表の岩永祐一さんに立ち上げた理由や背景を伺いました。

岩永さん:曾祖父が地元で映画館の興行をやっていまして、子供の頃からチャップリンのビデオが家にあったりとか、『鉄腕アトム』の上映時のポスターが押し入れの中にあったりという環境で育ったので、自然と映画が好きになりました。アメリカの映画学校にも通って、ショート映画の制作やミュージックビデオのディレクション、ウェブCMも作ったりしました。

ハリウッドや東京のクリエイター友達と飲む機会が増えて話しをしていると、例えばハリウッドのクリエイターは、「いや俺らハリウッドにいるから作りたいものを作ろうぜ」みたいな夢あふれる感じですが、東京のクリエイターは「日本じゃいい映画が作れないからな…」みたいな、ちょっとどんよりしたムードがあります。

才能とか技術はどちらも変わらないのに、どうしてこういうギャップがあるんだろうと思ったときに、日本の経済自体の停滞や、映画業界のシュリンク(縮小)も感じてたので、自分が作るだけじゃなく、既存の映画業界の延長以外で新しい市場を起こすとかで変えられないかなって思ったのが、大きなきっかけですね。それが『SAMANSA』にすぐ繋がったわけではないんですけど、試行錯誤したり、アイディアを出していく中で、最終的に『SAMANSA』にたどり着いたという感じです。

また、TikTokが伸びてきた時期だったので、映画自体も短いものが好んで観られる時代が来るんじゃないかと思いました。

もう一つは、日本人ほど忙しい人が多いので、合うと思ったことがきっかけです。

岩永さんはアンケートやヒアリングを通して「ショート映画が時代に合っている」一方、「2時間の映画を見られない人が増えている」と感じたそうです。

サービス名はあのアカデミー賞受賞作から

最短1分の作品も!スキマ時間にショート映画サブスク『SAMANSA』

『SAMANSA』はアプリやパソコン、TVから可能

サービス名の『SAMANSA』はスパイク・ジョーンズ監督、ホアキン・フェニックス主演の映画『her 世界でひとつの彼女』が由来。

アカデミー賞の脚本賞を受賞している作品で、妻を亡くした男性が、AI=人工知能のOSに恋する話で、そのOSの名前が「Samantha」。そこで「このサービスがお客さんにとっての良いパートナーになるように」という願いを込めたそうです。また最後の「サ」は「THA」ですが、ショート動画の場合は「SA」で表記。そこにも日本で初めてのサービスだという思いを込めているそうです。

ショート映画はどんな人たちが作っているのか

ショート映画はどんな人たちが作っているのか、岩永さんに教えていただきました。

岩永さん:普段大手のテレビCMのディレクターをやってる方もいれば、会社員だけどプライベートな時間で仲間と集まって作っている方もいれば、学生もいたりします。ですので、何をしている人かっていうのは本当にバラバラなんですけども、基本的には映像のプロが多いです。既に長編映画を撮ってるような方々もいらっしゃいます。欧米の場合はショート作品から入っていって、そこから長編に羽ばたいていく感じです。日本は学生でも長編をいきなり制作するような感じですけど、欧米はそうではないです

日本の場合は長編でないと劇場公開されにくいという理由があり、欧米の場合は短くても良質な作品を作ることで、注目され、それが長編へのキャリアにつながるということが多いそうです。

スー:90年代に見ていたMVを手掛けた監督が、今、大作映画を撮っていることもあるので、これからはばたく監督を見つけるのにもよさそうです

おすすめのショート作品

今回、『SAMANSA』で配信されているものの中から、岩永さんのおすすめの作品を2作品教えていただきました。

最短1分の作品も!スキマ時間にショート映画サブスク『SAMANSA』

①『フィーリング・スルー』

アカデミー賞ノミネート作品。ニューヨークで貧しいために友達の家を転々とする日々を過ごす青年テリーク。
人生の過酷さに打ちのめされている中、彼は盲目で耳も聞こえない男性と人生を変える出会いを果たす。本当に盲目で耳が聞こえない男性を役者として起用し、映画史初めての制作として世界中で話題になった作品。

最短1分の作品も!スキマ時間にショート映画サブスク『SAMANSA』

スー:説明されない隙間を自分の解釈で埋めていく感じで、良質な小説を読んだ後のような気持ちになりました

近藤:見終わったあとの考察も含めて、一つの作品だなと感じました

②『バルーン』

最短1分の作品も!スキマ時間にショート映画サブスク『SAMANSA』

SAMANSAのオリジナル作品。アメリカ上空を飛ぶスパイ気球が話題になっていたころ、2人の田舎者の白人が墜落するスパイ気球を発見!「スパイを警察に渡せばヒーローになれる」と墜落現場に向かうが、そこで彼らの人生を変える出来事が待ち受けていた。

最短1分の作品も!スキマ時間にショート映画サブスク『SAMANSA』

近藤:読み解く力が鍛えられる作品だなと思いました

スー:すごく好みだった。友達と一緒に観て語りあうのも良さそうな作品。若い人達がこうした映画を観ているという状況はすごくいいことだと思います

最短1分の作品も!スキマ時間にショート映画サブスク『SAMANSA』

海外のクリエイターたちは「様々な人に作品が見てもらえることがうれしい」と言ってくれるそうです。

『SAMANSA』では良質なショート作品が毎月10本~30本のペースで増えているそうです。また大手と同様のジャンルがそろっていますが、やや「サスペンス」や「ホラー」といったジャンルが多いそうです。

スー:介護や運転の合間などのスキマ時間しかない人にも豊かな時間をもたらしてくれると思います

忙しい毎日を送っていて映画を観たくても観られないという方、ショート映画の世界にどっぷりはまってみてはいかがでしょうか!

(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

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