赤坂BLITZスタジオに集まった元気な子どもたちの「はーい!」という声が会場に響き渡りました。TBSラジオ「ふらっとこども電話相談室」の公開収録が5月3日(土)に行われ、小学生たちの素朴で鋭い質問に専門家たちが丁寧に答えました。
パンサー向井さんと3人の専門家が子どもたちの質問に応える
司会はパンサーの向井慧さん。この日は魚や海の生き物の質問に答える鈴木香里武さん、天気に関する質問に答える長谷部愛さん、アナウンサーやテレビの質問に答える蓮見孝之さんという3人の専門家が登場しました。
最初に質問したのは小学4年生のこうとく君。「サメにはどうして浮き袋がないんですか?」という疑問を投げかけました。
鈴木香里武さんは「実はまだはっきりとは分かっていないんですが、一説によると大昔の魚は浮き袋を持っていなかったんです。そこから進化していく中で、だんだん浮き袋をゲットして浮かんでいられるようになっていったと言われています」と説明。
さらに「魚の中でもサメは実は大昔からあんまり体の形を変えていないんですね。だから魚たちが浮き袋を身につけるよりも前の姿のまま今も生きている、ちょっと古い姿のまま生きているのがサメなんです」と続けました。
また、サメの骨が柔らかい「軟骨魚類」であることも関係しているそうです。「柔らかい骨は硬い骨よりも軽いんですね。だから海の中でも他の魚と比べてあんまり沈んでいかない。だから浮き袋を持っていなくても浮かんでいられたんじゃないかなというのも考えられています」
未来の天気はコントロールできる?小学3年生の環境への関心
続いて小学3年生のりんちゃんは「人間はいつか天気を変えられるようになるんですか?」と質問。その理由について「今年は夏がとても暑くなると聞いています。夏は熱中症でたくさん亡くなる方がいますが、もし晴れを曇りや雨に変えられたら、たくさんの命が救われると思ったからです」と語り、会場は感動に包まれました。
長谷部愛さんは「とっても素晴らしい質問で、先生はちょっと先ほど涙が出そうになりました」と感激。「実は世界中の研究者の人たちも同じで、台風が来たらその被害にあってしまう人もいるし、水が不足したら苦しむ人もいるから、それをなんとかできないかなって大人の人もみんな研究しています」と答えました。
現在の技術でも少しだけ天気をコントロールすることは可能だといいます。「雨を降らせるということが人工的にできるんですね。空の上に飛行機で雲の元になる、雨の元になるものを持って行って巻くんです。みんなドライアイスって知ってるかな?それをすごく細かくして撒くと、それが雲とか雨の元になるんですね」
しかし、課題もあります。「地球上にあるお水とか雨の降る量って一緒なんですね。だからどこかでいっぱい雨が降ったら、どこかで降らなくなったり、反対にどこかでたくさん降っちゃったりするかもしれない。その影響がどういうふうになるか分かっていないので、なかなか実験したり実際にやってみようというのが進まない状態なんです」
テレビに出ることは本当に楽しいの?アナウンサーの本音
小学2年生のかぜのすけ君は「テレビに出ると楽しいんですか?」と質問。蓮見アナウンサーは「テレビに出るのはかぜのすけ君が考えている以上にとっても楽しいです」と答えつつも、本音も語りました。
「テレビに出始めた頃は素直に嬉しいな、楽しいな、ワクワクするなという気持ちの方が強かったんですが、だんだん時代の変化と共にインターネットが普及し、様々なSNSを通じてテレビの感想を視聴者の方から寄せられるようになりました」
「一方では嬉しいと思う人もいれば、一方では悲しいと感じる人もいるんですね。だからニュースを読んでいるアナウンサーも基本的に無表情で読んでるんです。本当は楽しいニュースは楽しく伝えたいし、悲しいニュースは悲しく伝えた方がいいという人もいるかもしれないけれども」と、表現の難しさを説明しました。
「単純に楽しいというよりも、1人でも多くの人にちゃんと事実が伝わるように表現するにはどんな言葉を使うべきなのか、ということをよく考えるようになったので、今は楽しいと同時にちょっと怖さもあり、でも何か影響力があって社会や世の中が良くなっていく方向に自分の言葉が影響してくれたらいいな、そんな思いもあります」と語りました。
向井さんも「学校と同じ感じかもしれないです。学校も楽しい授業もあれば、ちょっとやだなって思う授業もあったじゃないですか?本当にそれに近くて、基本的には例えばテレビ局行くと仲いい人たちがいて、スタッフさんとかもそうですけど、お友達がいてそこと一緒に何か一つのものを作ること自体はすごい楽しいです」と共感。「でも自分の得意不得意もあって、不得意なことの時には『ああ、なんかもっとうまくできたんじゃないかな』とか思うこともある」と話しました。
深海の魚はどうやって生きているの?水圧との戦い方
小学2年生のれいなちゃんは「人間は行けない深い海でも魚はなぜ深い海に行けるんですか?」と質問。「深い海だと暗いし、暗いから何があるか分からないから」と疑問に思ったそうです。
鈴木香里武さんは「深い海は真っ暗だと餌も見えないし、何かに襲われそうになった時も見えないですよね。でも真っ暗闇には、敵に見つかりにくいという良さもあるんです」と説明しました。
深海魚は目をとても大きくしたり、嗅覚を発達させたりして暗闇に適応しているそうです。さらに水圧の問題もあります。「深く潜れば潜るほど水が強く僕たちの体を押しているんです。魚たちも同じように押されちゃうから、浅いところにいる魚が深い海に潜ってくると押されて潰れてしまいます」
深海魚の秘密は体の中の水だと鈴木さんは説明します。「深海の魚は水の力に負けない体をしています。
れいなちゃんのお姉さんも「じゃあ人間も体の中にめっちゃ水入れたら深く潜れますか?」と質問。鈴木さんは「人間は肺という空気の袋を持っているから、水の力に負けてしまうんです。もし将来、肺の中を水で満たすことができたり、体の中の全部の空気を水に変えることができたりしたら、もしかしたら潜ることができるかもしれません」と答えました。
「嵐は増えていくの?」気候変動と未来の天気
小学3年生のかえでちゃんは「嵐は多くなっていますか?私たちが大きくなったりした時は嵐は増えますか?」と質問。嵐が怖いからという理由でした。
長谷部愛さんは「実はね、だんだん増えてます。これからも増えそうですという風にお天気の人は言っているんですね」と答えました。その理由は気温の上昇にあるそうです。「気温が高くなる、暑くなると嵐も増えるっていう風に言われてるんですね。例えば夏、暑い時に急にざーって降ってきたりするでしょう?すごく暑くなるとそれだけじゃ冷やさなきゃってなるんですね。
将来についても「今の感じで言うとどんどん気温が将来的には高くなっていっちゃいそうなんですね。東京が鹿児島くらいの暑さになっちゃうかもしれません。そうすると、鹿児島とか沖縄の方が大雨多いんだけど、東京もそのくらい嵐が多くなっちゃうかもしれない」と説明しました。
対策については「それは、実は何で熱くなっちゃうかっていうと、CO2、二酸化炭素というのがあるんだけど、それが増えると地球が熱くなっちゃうんです。じゃあその二酸化炭素を減らせば、できるだけ出さないようにすれば暑いのがちょっとずつ止まっていくよって言われているんですね。だからエネルギーをちょっと節約するっていうのが大切です」と教えてくれました。
カニの背中の黒いブツブツの正体は?
小学4年生のはやと君は「越前ガニの背中についている黒い卵のようなものは何ですか?」と質問。市場で越前ガニを見た時に疑問に思ったそうです。
鈴木カリブさんは「カニビルという生き物の卵です」と答えました。ヒルの仲間で、海の中、特に深い海で暮らしているヒルの卵だそうです。「彼らはカニビルって硬いところにしか卵産めないんですよ。
興味深いことに、この黒いブツブツが付いているカニは美味しい可能性があるそうです。「カニって脱皮をします。脱皮したばかりのカニはちょっと柔らかいので、その時にはカニビルは卵を産みません。カニが脱皮する時はものすごくエネルギーを使うから、一度身が細くなってあまり美味しくないカニになってしまいます。それからだんだんまた餌を食べて美味しいカニになってくるんです。ということは、ブツブツがついているということは脱皮してから結構時間が経った硬いカニだから、それだけ美味しくなっているという、そういう目印の一つになっているんじゃないかなと言われています」
台風の目はなぜ雨が降っていないの?
小学6年生のたつま君は「台風の目はなぜ雨が降ってないのか?」と質問。「台風がめちゃくちゃ雨が激しいのになぜ真ん中の目だけ全然雨が降ってないのか気になったから」と理由を語りました。
長谷部愛さんは「台風の目の所には雨は降ってないし、晴れているんですけど、なんでかっていうと、まあ雲がないからなんですね」と説明。「気象庁のホームページに衛星画像っていう雲が見られるページがあります。そこを見ると台風の真ん中がぽっこり開いて地面まで見えるようになっています」
なぜ雲がないのかについては「台風がぐるぐる巻いていると、遠心力が働いて雲が端っこに飛ばされちゃうんです。だから真ん中の雲は全部端っこに飛ばされちゃって、そこだけ丸く雲がないところができちゃうんです」と分かりやすく説明してくれました。
アナウンサーを目指す子どもたちからの質問も
会場には将来アナウンサーになりたいという子どもたちもいました。小学5年生のにこなちゃんは「早口言葉を上手に言えることを知りたいです」と質問。蓮見アナウンサーは「私たちアナウンサーも新人アナウンサー時代に教本という教科書のようなものを先輩から頂いて、そこに書いてある練習文を何度も何度も読み上げました。だんだんその口の動きを鍛えていくんです」と答えました。
ただし「早口言葉をテレビで披露することはほとんどありません。アナウンサーになるための試験で早口言葉を披露してくださいという課題もありません」と意外な事実も。「大事なことは元気がいいこと、明るいこと、それから世の中で起きているニュースや出来事に関心があることです」とアドバイスしました。
小学6年生のさきちゃんは「難しい文章とか長い文章をスラスラ読むにはどうしたらいいですか?」と質問。さきちゃん自身は将来ラジオパーソナリティになりたいそうです。
蓮見アナウンサーは「アナウンサーっていうのはおしゃべりのプロではないと私は思っています。正確に言うとおしゃべりの準備をちゃんとするプロ、これがプロのアナウンサーだと私は信じています」と答えました。「多くのアナウンサーは放送本番に向かって一生懸命準備をして、100準備して1出す、そうやって私は教わりました。だから一生懸命準備をするプロになれれば、上手に難しい文章を読むことができるようになります」とアドバイスしました。
「読む練習っていうのはやればやるほど上達します」と強調した蓮見アナウンサー。これを聞いたさきちゃんは、今後も練習を重ねてラジオパーソナリティへの夢を追いかけていくことでしょう。
イベントの最後には、全員で「さようなら!」と元気にあいさつし、記念撮影も行われました。子どもたちの素朴な疑問に専門家が丁寧に答える「子供電話相談室SDGsウィーク」の公開収録は、子どもたちだけでなく大人にとっても学びの多い時間となりました。
(TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』より抜粋)