日々の天気や街のトレンド、おいしいゴハンに大人の悩み、社会の仕組み・・・1日イチ「へぇ~」なトピックスを。新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴る番組。



この夏は上演時間が2時間半を超える映画などがヒットしていますね。そんな時に気になるのがトイレ事情。途中でトイレに行かずに済むかドキドキしている方も入らっしゃるかもしれません。映画のほかにも、夏休みのお出かけでの移動の際や、コンサートなど、トイレ問題は楽しい時間のつきものでもありますよね。

そんな中、SNSなどで「大福やボンタンアメを食べたら、長時間トイレに行きたくならなかった!」、といった声が話題になっています。映画館の近くのコンビニやドラッグストアでは、ボンタンアメが山積みになっているなど、今年で100周年を迎えるボンタンアメが、思わぬ形で注目を集めているんです。

しかし、百聞は一見にしかず。今回は、近藤アナとスタッフ数名で、ボンタンアメや大福を食べるのと食べないのとで、尿意に変化はあるのか、実験してみました※以下はあくまで個人の感想です。>

実験結果は…
スタッフA(40代男性)
1日の間にトイレへ行った回数は、ボンタンアメを食べていた日の方が、1回だけ少なかった。
体感では、尿意をもよおした瞬間にボンタンアメや大福を食べたら、やや抑制された…?
反対に、トイレに行った後に水分を摂ってボンタンアメや大福を食べても、さほど効果は感じられなかった。

スタッフB(60代男性)
普段、1日の間にトイレに行く回数は5~6回。
朝昼おやつ夜でボンタンアメを食べた日のトイレの回数は、4回。


朝に大福1個、昼におはぎを1個食べた日のトイレの回数は、3回。

スタッフC(30代女性)
とある日の1日の間にトイレに行った回数は12回。(毎日10回くらいは普通)
1時間半~2時間に1回はトイレに行っている。映画を観る直前にボンタンアメを食べたところ、そこから4時間半は、トイレに行きたい!とならなかった。(映画中にコーヒーも飲んだのに!)

近藤アナ(20代女性)
映画を観る前にボンタンアメを仕込むも…終わった後トイレに駆け込んだ!(観る前もトイレに行っておいたのに…)
といったように、結果は人それぞれ。

では、大福やボンタンアメには、尿意を抑える効果が本当にあるのか…?
今回は、埼玉県 所沢市の内科泌尿器科女性泌尿器科である「所沢いそのクリニック」院長の磯野 誠先生にお話を伺いました。

磯野先生:最近、話題に上がっていますが、医学的には明確な根拠はないんです。なぜ、そういわれるようになったか、いくつか可能性があるうちの一つは「血糖値」。ボンタンアメや大福は糖分が多く、体は血糖値が上がると、一時的に水分を細胞の中に貯めようとして、その結果、尿になるまでの時間が少し遅くなるという可能性は考えられます。ただ、逆に糖分を摂りすぎると最終的に血糖値を下げるために、尿の量が増えてします(浸透圧利尿)。
だから、トイレ対策として甘いものを食べるのは、積極的にはオススメできないです。お守り程度の感覚で、トイレに行けなくなる直前に少し口にする程度がいいかなと思います。

体が興奮状態になるとトイレが遠くなるんです。リラックスしていると膀胱が縮んで、尿が出やすくなります。逆に戦ってている時や興奮状態だとトイレが遠くなります。動物の体は戦っている時にトイレに行きたくなると他の動物に負けてしまいますよね。だから、緊張状態のときはトイレが遠くなるんです。ライブなどでは汗をかいて、体の中の水分が汗に持っていかれるので、尿の量が減ることもあります。あろは、SNSで拡散されてそういうものだと思って実行すると、プラセヴォ効果で効いているような感じになります。それでまた広がっていって、今回のような社会現象になったのでは…?

大福やボンタンアメは、 尿意をおさえることができるのか? お...の画像はこちら >>

キーワードは血糖値!
大福に限らず、チョコレートなどほかの糖質であってもそのようなことが起こる可能性があると磯野先生は言います。そこで気になるのは、そのほかの食べ物や飲み物で尿意の調整ができるのか。避けるべき飲み物や食べ物、反対に、オススメできそうなものについて伺いました。

磯野先生:飲み物としては、カフェイン(コーヒー紅茶アルコール)やアルコール、エナジードリンクを避けたい。カフェインは腎臓の血流量を増やして、尿を作るのを促進してしまいます。

食べ物でいうと、カリウムの多い食べ物は利尿作用があると言われています。例えば、バナナやメロン、すいか、キュウリなどはカリウムが多く含まれています。そういったものでも、摂取してすぐに尿になるわけではないので、できれば、トイレに行けなくなる2~3時間前から控えた方がいいと思います。カフェインが入っていない麦茶とか、ルイボスティーとか水がオススメです。そのほか、牛乳やヨーグルトドリンクなどの乳製品は胃腸での吸収が比較的ゆっくりだと言われているので、水やお茶より、トイレに行きたくなる時間まで長くなる可能性があります。飲み方については、一気に飲むと余分な水分だと判断されて、すぐに尿として排出されるようになってしまうので、少しずつ飲むことでゆっくり吸収され、急な尿意は感じにくくなるかと思います。

大福やボンタンアメは、 尿意をおさえることができるのか? お医者さんに聞いてみた!

尿になるスピードなどで、尿意への変化はありそう。
しかし、そもそも食べ物などに関わらず、普段からトイレが近くてとにかく心配、という方もいらっしゃるかもしれません。そんな方は、膀胱周りを鍛えることで、改善できる可能性があると磯野先生は言います。

磯野先生:骨盤底筋と言って、骨盤の一番下を支える筋肉(膀胱膣大腸)が緩んでくると、尿の症状が強く出る方がいます。「骨盤底筋体操」といって、肛門や膣をぎゅっと締めるのをイメージして、それを一日の中で何回もやること。尿を止めたり、おならを我慢するような感覚で肛門や膣を締める。

10回を1セットとして、1日に4~5セットやることで、ゆっくりと骨盤底筋が鍛えられて、尿の症状も少しずつ良くなると言われている。

女性は妊娠出産、さらに、年齢に伴ったホルモンバランスの変化などで、尿意を感じやすくなる場合があるそう。男性に関しても年を重ねることなどで、骨盤底筋の緩みはでてくる可能性があるため、ぜひ、「骨盤底筋」を鍛えてほしいとのことでした。

大福やボンタンアメは、 尿意をおさえることができるのか? お医者さんに聞いてみた!

骨盤底筋体操をやってみよう!
1. 肛門や膣をぎゅっと閉めるように力を入れる(おしっこを途中で止めたり、おならを我慢するような感覚)
2. これを10回で1セットとし、1日に4~5セット行う
3. 座っていても立っていても可能。姿勢よりも筋肉を意識することが大切!

もう1つ、頻尿予防のポイント!
本来、膀胱はある程度の尿が溜まった時点で脳に信号が行くもの。尿が溜まりきっていない状態で排尿を繰り返していると、膀胱がその状態に慣れてしまい、少ししか尿が溜まっていないのに、尿意を感じやすく敏感な膀胱になってしまうこともあるのだそう。
我慢は良くないけれど、尿意がないのに念のため絞り出すというのを習慣にするのは、気を付けましょうとのことでした。

そして余談ですが、今回、スタッフ数名で実験を行っていたところ、とあるスタッフにこんな気づきが…
「水分をたくさん摂っているのに尿の量が少ない…しかも色が濃い。これって健全なことですか…?」
こちらについても磯野先生に伺ってみました!

磯野先生:よく患者さんにも言われるのが、今の時期、水分補給をしっかりとしているのに尿意が来ないなどと言われますが、体としては健全な証拠です。夏は体温を下げるために人間はたくさん汗をかきます。そうすると、体内の水分は優先的に汗として使われるので、その分尿が減ります。そして、尿の色は大事。

普段は薄い黄色は透明に近いが、汗をたくさんかいて。水分が足りなくなってくると、尿の色が濃い黄色や茶色っぽく濃くなります。尿の色が濃い時は水分が不足しているサインになります。そんな時にはもう少し意識して水分を摂ってみましょう。

大福やボンタンアメは、 尿意をおさえることができるのか? お医者さんに聞いてみた!

尿の状態から自分の体調チェックをするのも大切なこと!暑いこの季節には尿意が心配であっても、水分補給はこまめにようにしましょう。

少々話しは逸れましたが…尿意対策は、摂取するものやタイミングでも調整できる可能性がある!ということでした。長時間トイレに行けなそうな際など、参考にしてみてください!今回教えてくださった磯野先生、ありがとうございました!

(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

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