1980年代にイギリスで人気を集めた人形劇の風刺番組『スピッティング・イメージ(Spitting Image)』の最新シリーズが、24年ぶりに放送されることになった。政治家や王室メンバー、セレブ達が人形になって登場する風刺劇の最新作では、ヘンリー王子夫妻やトランプ米大統領、ボリス英首相、ビヨンセなど話題のセレブ達がパロディのターゲットになる予定だ。


世界の政治家やセレブを風刺する人形劇『スピッティング・イメージ』の最新シリーズは、英BBCとITVがローンチしたストリーミングサービス「BritBox」で今秋からイギリス国内で放送される。制作者は声明を発表し「世界がどんどん狭くなるにつれ、世の中が荒れてきている。英国を象徴する風刺劇が世界的な出来事を取り上げるのに、これほど最適なタイミングはない」と述べた。

新作エピソードではヘンリー王子夫妻のほか、アンドルー王子、プーチン露大統領、バーニー・サンダース米上院議員、歌手アデルリアリティスターのキム・カーダシアンミュージシャンのカニエ・ウェスト、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさん、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグなどのセレブを人形にした風刺劇が描かれる。

『スピッティング・イメージ』は、イギリスで1984年から1996年まで英ITVで18シリーズにわたって放送された人気番組である。政治家や王族メンバーなどを風刺した人形が登場し、時事ネタをパロディにしたストーリーが繰り広げられる。
その内容のきわどさから、物議を醸すこともあった。製作費は1回のエピソードで30万ポンド(約4120万円)がかけられており、当時コメディーやバラエティー、ゲーム番組、クイズ番組などのエンターテイメントを扱うTV番組の中では最も高いとされた。番組のピーク時にはおよそ1500万人が視聴している。

過去のシリーズでは、イギリス王室を風刺したエピソードが数多く作られている。エリザベス女王を模った人形は、頭にスカーフを被りピースマークの缶バッジをつけた姿がお決まりだ。ヘンリー王子が誕生したエピソードでは、女王が「私がヘンリーを洗礼します。
彼に神の祝福あれ」と言い、手に持っていたシャンパンボトルを赤ん坊のヘンリー王子の頭に叩きつけていた。割れたボトルから飛び出したシャンパンによって“洗礼”するという構図だ。

『スピッティング・イメージ』のエグゼクティブプロデューサーを務めるロジャー・ロウ氏は、新シリーズについてジョーク交じりにこう話している。

「公共風刺広告です。私は、何年もスピッティング・イメージを蘇生されることを拒んできました。しかし年金を使い果たしたときに、賄賂(わいろ)を贈られた老人はどうすれば良いのでしょう?」
「新しいスピッティング・イメージは、英国独自の視点を通してグローバル化したものになる。
以前の化身よりも非道で大胆不敵、さらに卑劣なものにするつもりだ。」
「スキャンダラスな脚本と大物有名人のキャラクターによる、大衆のための番組になるだろう。」

画像は『Toby Earle 2020年3月4日付Twitter「In ‘Buy a jumbo jet and bury all your clothes news’」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)