昨年8月に頭部が結合したまま誕生した双子の女児の分離手術が、イスラエルで初めて成功した。今回の成功は、2019年7月にイギリスのグレート・オーモンド・ストリート病院(Great Ormond Street Hospital)で行われた分離手術に次ぐもので、同病院の専門医の協力のもと行われたという。
『The Jerusalem Post』『The Mirror』などが伝えた。

去る9月2日、イスラエルのベエルシェバ市にあるソロカ大学医療センター(Soroka Medical Center)で1歳女児の結合双生児の分離手術が12時間かけて行われた。同センターで昨年8月に誕生した彼女たちは「クラニオパガス(Craniopagus)」と呼ばれる世界的にも珍しい頭部が結合した双子だ。カリフォルニア大学デイビス・ヘルス(UC Davis Health)が昨年発表した研究結果によると、そのような双子が生まれるのは250万件に1組程度とのことだ。

ソロカ大学医療センターの小児神経外科ミッキー・ギデオン医師(Mickey Gideon)は、手術前に「この手術は非常に珍しいもので、これまでに世界で20例ほどしか行われていません。1歳の赤ちゃんの手術はイスラエルでは初めてで、彼女らが最年少です。
術後数日間は彼女たちが回復する過程で最も重要となるでしょう」と述べていた。

今回の手術に際し、医師たちは頭蓋骨の再建と頭皮の移植を行うため3D画像とVR(仮想現実)技術を使って、結合双生児である2人をどのように分離するのが最適であるか数か月にわたって分析した。手術までの間、2人は心肺機能を含めた様々な検査を受け、分離後に頭皮を閉じるための余分な皮膚を作るよう組織拡張器が用いられた。

手術当日には脳神経外科、形成外科、小児麻酔科、小児集中治療科、脳画像診断科など約50人の専門医からなるチームが待機しており、結合している血管の分離に続いて骨の分離を行った。その後、医師たちは2つのチームに分かれて、それぞれの女児の頭蓋骨の再建と皮膚の縫合を行ったという。

同センターの形成外科部長であるエルダッド・シルバーステイン氏(Eldad Silberstein)は、現地メディアに対し「彼女たちは順調に回復しています。
呼吸や食事も自力で行っています」とコメントしている。

また英グレート・オーモンド・ストリート病院の小児神経外科医であるオワセ・ジーラニ医師(Owase Jeelani)は「非常にうまくいきました。チーム全体でやり遂げたことを嬉しく思います。本当に素晴らしいチームで、一員として参加できて幸せです」と述べた。

生まれた時からお互いの後頭部が結合しており、常に背中合わせで過ごしてきた彼女たちは、この手術の後にようやくお互いの顔を見ることができたという。


ソロカ大学医療センターのシュロモ・コデッシュ院長(Shlomo Kodesh)は「この困難で複雑な症例に携わったすべての専門家のチームをとても誇りに思います。
双子たちが完治し、ご家族みんなで元気に過ごせるよう願っています」と語っている。



画像は『The Mirror 2021年9月6日付「Conjoined twin sisters attached at head successfully separated after 12 hour operation」(Image: via REUTERS)(Image: Soroka Medical Centre)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)