キャサリン皇太子妃が北アイルランドを訪問中、握手をした群衆の中の女性から、その場が緊張で凍り付くような言葉を投げかけられた。イギリスとアイルランド、そして北アイルランドをめぐり、今なお続く非常に政治色の濃いその女性の発言に対し、「王族は政治不介入」というプロトコルのもとキャサリン皇太子妃が見せた対応に、イギリス国内からは「プロフェッショナル」「王室の宝物だ」と称賛の声があがっている。

現地時間6日、ウィリアム皇太子キャサリン皇太子妃が北アイルランドに到着した。

まず夫妻は首都ベルファスト北部にある自殺防止の慈善団体「PIPS」を訪問し、スタッフやカウンセラーと対談。同団体が行っている救命活動や、自殺願望を抱く人々を支援するため、あらゆる障害を取り除く努力をしていることなどを聞いた。

この後、同団体の建物を出た夫妻は、沿道に集まった群衆達と握手や会話をして交流した。その際、最前列で握手を求めた女性がキャサリン皇太子妃に向けて、場の空気を一変させ、緊張状態で周囲を凍り付かせるような言葉を放った。

グリーンのトップスにマフラーをつけたその女性は、キャサリン皇太子妃と固い握手を交わすと、「お会いできて嬉しいわ。だけど、あなたは自国にいる時の方が良かったですね」と言い、片手に持つスマートフォンで撮影しながら「アイルランドは、アイルランド人のものよ」と加えた。

アイルランド島は長い間、英国により支配されてきたが、その歴史は1177年にさかのぼる。英国の貴族がベルファストを侵略したのが始まりだった。英国の植民地となったベルファスト周辺はアルスター地方と呼ばれ、英国人が移住するようになった。16世紀になると英国に対する反乱が勃発するも、アイルランドが敗北。カトリック教を信仰するアイルランドの人々は、英国人に土地を奪われた。その後アルスターを中心に反乱が頻発したことに加え、英国から移住したプロテスタントとの宗教間の争いも勃発した。

独立戦争後、1921年にアイルランドは独立国家となったが、プロテスタント教徒の多い北アイルランドは英国領として残された。これらは政治的な問題であるため王室は介入できないが、北アイルランドとの友好的な関係を築くため、王室メンバーは現地の人々と交流を行っている。


このような背景のなか、今回の発言を突如受けたキャサリン皇太子妃であったが、妃は冷静さを保ち、この女性と握手する間も笑顔で対応し、その手を離すと微笑みを崩さずに他の人々との交流を続けた。

この王族として自らに課された義務と役割を理解したキャサリン皇太子妃の対応に、SNSでは称賛のコメントが相次いだ。

「彼女はとても上手に対応している。よくやった。王室の宝物だよ」「状況に上手く対処した。冷静さを保ち、公務を続けたからね」「まさにプロフェッショナル。あの女性を無視してピシャリと断絶した」と称賛するコメントで溢れ返った。

一方、皇太子妃にこのような発言をした女性に対しては「なんて無礼なんだ!」「こんなひどいことをするために、わざわざ会いに行くなんて」「これは政府の問題であり、彼女に失礼だ。王族は多くのことを乗り越えてきたのに。無作法すぎる」と非難の声が高まっている。



画像は『The Prince and Princess of Wales 2022年10月6日付Instagram「Thank you for having us, Northern Ireland!」、「Counsellors, volunteers and brilliant Boxes of Hope which help @pips_charity’s service users to practice good mental health are at the centre of this truly inspiring charity in Belfast.」』『Sky News 2022年10月6日付Twitter「Not everyone was happy to see the Prince and Princess of Wales during their visit to Northern Ireland.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)