チャールズ国王やウィリアム皇太子をはじめとする英王室メンバーが、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催した戦没者追悼記念コンサートに出席した。当日の会場では、今年9月8日に崩御したエリザベス女王を追悼するアーカイブ映像が流された。
歴代で英国軍最高指揮官を最も長く務めた女王にとって、戦没者追悼記念日「リメンバランス・デー」は最も重要な行事のひとつであった。

英国と連邦国では1918年11月11日に第一次世界大戦の休戦協定が締結されたことを記念し、この日は戦没者を追悼する「リメンバランス・デー」に制定されている。

これにちなみ退役軍人と家族を支援する慈善団体「英王立在郷軍人会(Royal British Legion)」では、毎年恒例のイベント「フェスティバル・オブ・リメンバランス」を開催している。

同イベントはロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われ、夜の部には英王室メンバーがロイヤル・ボックスからパフォーマンスを観覧するのが恒例だ。ロンドンの戦没者慰霊碑前“セノタフ(The Cenotaph)”前で開催する「リメンバランス・サンデー」の追悼式に先立ち、君主をはじめとする王族が出席する一連のイベントのひとつとして知られている。

現地時間12日に開催した今回のイベントでは、会場のロイヤル・ボックスの最前列にチャールズ国王カミラ王妃ウィリアム皇太子キャサリン皇太子妃が座り、後部にはアン王女と夫ティム・ローレンス副提督が着席。
この他、エドワード王子とソフィー妃、グロスター公爵夫妻、ケント公爵らが出席した。

今回のイベントは、9月に崩御したエリザベス女王の献身的な奉仕を称えるとともに、フォークランド紛争から40年が経ったことを記念するものとして開催された。

生前のエリザベス女王は、「リメンバランス・デー」にちなんで毎年11月の第2日曜日に開催される戦没者追悼式「リメンバランス・サンデー」を最も重要な行事と考えていたという。

昨年の女王は腰を痛めたことから式典への出席を断念したが、それ以前に欠席したのは、海外ツアー中の4回と妊娠中だった1959年と1963年の2回を含む合計6回のみだった。


女王は第二次世界大戦末期だった1945年2月、18歳で陸軍の女性部隊である補助地方義勇軍(Auxiliary Territorial Service、ATS)に入隊。トラック運転手と整備士になる訓練を受け、英王室初の女性軍属として下級司令官の階級に就いた。
君主の地位である英国軍最高指揮官を歴代で最も長く務め、「英王立在郷軍人会」のパトロンを70年間務めた。

この日、ロイヤル・アルバート・ホールの巨大スクリーンでは生前の女王のアーカイブ映像が流された。その中では女王が自身の在位中、軍隊が世界中で「英国の地位と評判に多大な貢献をした」と話す場面もあった。

さらに女王が「フィリップ殿下と私が結婚した時、英国は6年間の戦争に耐え、打ちひしがれながらも勝利を収めたところでした」と述べる映像も流れた。女王がフィリップ王配と結婚したのは、1945年に第二次世界大戦が終結した2年後の1947年11月だった。

映像で生前の女王は、次のように話し続けた。


「フィリップ殿下は極東で英国海軍に従軍し、その頃私はATSで救急車の運転を注意深く学んでいました。戦時中の世代、つまり私の世代は回復力があります。国全体、そしてすべての自由な世界全体を代表し、謙虚な気持ちと喜びをもって、私は皆さんに『ありがとう』と伝えます。」


イベントではイタリアのテノール歌手アンドレア・ボチェッリや俳優兼歌手のルーク・エヴァンス、ミュージカル歌手などが出演した他、英陸軍近衛師団や空軍、海軍の音楽隊による演奏や合唱団によるパフォーマンスが行われた。

画像は『Royal British Legion 2022年11月12日付Twitter「His Majesty The King arrives at the @RoyalAlbertHall」』『The Royal Family 2022年11月12日付Instagram「Tonight, The King and The Queen Consort」』『Royal British Legion 2022年11月12日付Instagram「We hope everyone enjoyed the Royal British Legion Festival of Remembrance this evening.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)