10日の発売を前にヘンリー王子の自叙伝『SPARE』がスペインの書店に並び、興味深い内容がすでにインターネット上で話題になっている。ゴシップ的な話が多いなか、ヘンリー王子が軍務に就いた時の詳細が物議を醸している。
今回の告白で「テロリストの標的になったのでは?」と心配する声があがっているが、「戦場での出来事を口にしない」という退役軍人達の長年の慣習に背いたとして非難が殺到している。

『SPARE』では、父チャールズ国王兄ウィリアム皇太子との確執、母ダイアナ妃の死など、ヘンリー王子が自身の子供時代から経験してきたことについて語っている。

その中でヘンリー王子がアフガニスタンで軍務に就いていた頃の話が物議を醸している。英メディア『The Mirror』、『Daily Mail Online』、米メディア『Suggest』が報じた。

2006年にサンドハースト王立陸軍士官学校を卒業後、英陸軍に入隊したヘンリー王子は2007年と2012年の2回アフガニスタンに派遣された。1回目の派遣ではイスラム主義組織「タリバン」部隊への爆撃を誘導する前線航空管制官の任務に就き、2回目の派遣では攻撃ヘリコプター「アパッチ(Apache)」のパイロットを務めた。


2回目の派遣時6つのミッションで飛行したヘンリー王子は、25人のタリバン兵を殺害したことを著書の中で明かしている。

ヘンリー王子は殺害した敵の戦闘員を「人」ではなく、盤面から取り除くべき「チェスの駒」として見ていたと言い、「軍は彼らを“物”として見るよう私を訓練してくれた」と明かした。

「任務に就いた日からタリバン兵のみを狙っていた。襲撃したとき周囲に民間人がいなかったか、自分は正しいことをしたのか…なんて考えたら眠れなくなるから、そんなことは考えないで眠りにつくようにしていたんだ。」

「私は手足を失ったり怪我したりせずに無事に英国に戻りたかったが、それ以上に自分の良心を保って帰りたかった。」

「自分が殺した敵の戦闘員の数を正確に言うことができた」というヘンリー王子は、「だから、私の数(殺害人数)は25だ。満足できる数ではないが、恥ずかしい数でもない」と記している。


ヘンリー王子は2001年9月11日イスラム過激派テロ組織「アルカイダ」によるアメリカ同時多発テロ事件を見て、「“人類の敵”をやっつけたいと思い、その数(殺害した人数)を恐れてはいけないと思った」と説明している。


アフガニスタンでの兵役について、ヘンリー王子がこれほど詳細に語ったのは初めてのことだ。ヘンリー王子は王室の一員であったことから、長い間テロリストの標的とみなされ、軍務に就くことでその危険性は一層高まった。

さらに今回の告白で、ヘンリー王子の身の安全が脅かされることを懸念する声や王子の家族も攻撃されるのではないかと危惧する人もいる。

一方で退役軍人達が行ってきた「戦争についてはあまり話さず、殺害については決して話さないという長年の慣習に背いた」としてヘンリー王子へ非難の声もあがっている。

元上級軍人は「ヘンリー王子のコメントは判断を誤ったものであり、海外の英国兵への攻撃につながる可能性がある」と指摘している。

画像2、3枚目は『The Duke and Duchess of Sussex 2019年10月28日付Instagram「Today marks the 355th birthday of the Royal Marines!」』『Penguin Random House 2022年10月27日付Instagram「We are excited to bring to readers」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 雨宮瑠亜奈)